経済・社会

2026.03.05 15:22

フィンテックが応えるべきクリエイターエコノミーの課題:必要なのは「インフラ」だ

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Angel Riveraは、クリエイターと起業家のための現代的な金融インフラを構築するフィンテック企業Vadera Capitalの創業者兼CEOである。

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私は日々の大半を、従来の銀行がリスクモデルを設計した当時には存在しなかったキャリアを歩む人々と話して過ごしている。彼らはクリエイターであり、教育者であり、つくり手である。専門性を収入源へと変えてきた人々だ。私はトレンドを見てクリエイター向けフィンテックをつくろうとしたわけではない。そうしたのは、同じパターンを繰り返し目にしたからだ。才能ある人々が実際に収益を生み、実際にオーディエンスを築いているのに、1987年に設計されたテンプレートに合致しない収入であるという理由で、基本的な金融サービスを断られてしまう。

ここでは、なぜ現行の仕組みがこうした起業家にとって機能していないのか、そしてフィンテック企業が彼らのニーズに応えるうえで、なぜ機会が拡大しているのかを述べたい。

構造的なミスマッチ

従来の銀行は、予測可能性というレンズを通してリスクを評価する。安定した給与、W-2(源泉徴収票)、一直線に見える雇用履歴。コースのローンチである月に1万5000ドルを稼ぎ、次の月はアフィリエイト収入やスポンサー収入で4000ドルを得るような人にとって、そのモデルは安定性を捉え損ねるだけではない。むしろ積極的に誤読する。

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年商50万ドルのクリエイターが、収入が「不規則」だという理由で、小規模事業向けの信用枠を断られるのを私は見てきた。問題は、銀行がリスクを重視することが間違いだという点にあるのではない。間違っているのは、測るべき対象だ。

3年にわたり一貫してマネタイズし、四半期ごとにオーディエンスを拡大し、複数プラットフォームに分散しているクリエイターは、ハイリスクではない。ハイコンプレキシティ(複雑性が高い)なのである。そして従来の金融機関は、その違いを見分けるためのツールを構築してこなかった。

タイミングの問題

私が常に目にするのはこういう展開だ。クリエイターがオーディエンスを築き、収入を生み始め、成長に投資したいと考える。支援を雇い、より良いコンテンツをつくり、新たなプラットフォームへ展開するには資本が必要だ。だが金融システムは彼らに待てと言う。「安定した収入が2年分できたら戻ってきなさい」「法人化してから戻ってきなさい」「売上の凸凹が減り、ビジネスモデルがより伝統的になり、成長がより緩やかになってから戻ってきなさい」。問題は、そうした条件を満たす頃には、機会の瞬間がすでに過ぎていることが多い点にある。

従来の金融は、支援を提供する前に安定の証明を待つ。だが安定とは、支援の結果として得られることが多く、支援の前にあるとは限らない。

仕事に合うツールが揃うと何が変わるのか

私は、クリエイターを特別な事業者階級として扱う必要があるとは思わない。必要なのは、彼らをただの事業者として扱うことだ。それだけのことである。つまり、他の誰もが得ているのと同じ金融ツールへのアクセスを提供すること。ただし、彼らの実際の営み方に合わせて設計されている必要がある。

クリエイターがプラットフォーム収益とオーディエンスのエンゲージメントに基づいて信用枠へアクセスできれば、燃え尽きてからではなく、燃え尽きる前に編集者を雇える。複数の収入源にまたがるキャッシュフローのリアルタイム洞察を得られれば、いつローンチし、いつ投資し、いつ踏みとどまるべきかについて、より良い意思決定ができる。これらは贅沢な機能ではない。2025年に事業を運営するうえでの最低条件である。

フィンテックのリーダーがこの層に到達し、彼らの成功を後押しする方法は次のとおりだ。

現代の収益のためのシステムを構築する

フィンテックの強みは、速さのための速さではない。現代の収益を理解するシステムを構築できる点にある。

プラットフォーム、決済プロセッサー、分析ツールからデータを直接取得できれば、18カ月前の確定申告書を必要としなくなる。リアルタイムのプラットフォームデータと決済データがあれば、不安定さと意図的な変動性を区別できるようになる。従来の与信審査は、その意図的な変動性をしばしばリスクと誤ってラベリングしてきた。

この転換はすべてを変える。3つの異なるプラットフォームで顧客に請求書を発行するコンサルタントが、複雑さゆえに不利になることはない。年収の60%を2回のローンチ期間で稼ぐコース制作者が、自動的に信頼性が低いと見なされることもない。推測を減らすことではない。より良く測ることなのだ。

クリエイターの成長を支援することに注力する

クリエイターをATMのように扱うフィンテックが存在する。高額な手数料、搾取的な条件、不規則な収入を支えるのではなくそこから価値を吸い上げるように設計されたプロダクト。だが私が仕事をしているクリエイターは洗練されたオペレーターである。公正な条件がどのようなものかを知っている。売りつけられているのか、それとも役に立つものを提示されているのかも見分けられる。

この領域で意味を持つフィンテック企業とは、クリエイターが成長するときに自社も成長する企業である。つまり、透明な価格設定、柔軟な条件、そしてクリエイターが直面している問題を実際に解決するプロダクトが必要だ。私たちがそうだと想定している問題ではない。

それはまた、耳を傾けることを意味する。私が世に送り出してきた最良のプロダクトアイデアは、オフィスのホワイトボードセッションから生まれたのではない。15人の異なるクリエイターから同じ痛点を聞き、私たちなら解決できると気づいたことから生まれた。

このカテゴリーがもはやニッチではないことを理解する

クリエイターエコノミーは、もはや例外的なケースではない。人々がキャリアを築く方法、商取引が起きる仕組み、価値が生まれ配分されるあり方における根本的な転換である。クリエイターに優れたサービスを提供するフィンテックは、ニッチに奉仕しているのではない。成長し続ける経済の重要な部分に向けたインフラを構築しているのだ。

従来の銀行も、いずれ適応する。すでに適応を始めているところもある。だが、レガシーシステムと、この時代のために設計されていないリスクモデルに縛られ、動きは遅い。フィンテックには、より速く動くチャンスがある。無謀だからではない。初日からクリエイターを念頭に、ゼロから構築できるからだ。

市場の現実に合わせて向き合う

金融サービスの未来は、無機質で自動化されたものにはならない。再び関係性ベースのものになる。ただし、より良いテクノロジーによって駆動される。クリエイターに必要なのは、彼らのビジネスを理解するパートナーであり、彼らを拒否するアルゴリズムではない。必要なのは、現実に合わせてしなやかに適応するツールであり、合わないカテゴリーへ無理に押し込む書式ではない。

フィンテックの機会は、破壊のための破壊として銀行をディスラプトすることではない。本来ずっと存在すべきだったものをつくることだ。人々の実際の働き方を例外ではなく正当なものとして扱う金融インフラである。

クリエイターはすでに商取引の未来を形づくっている。フィンテックの責務は、現代の働き方を正当で、スケール可能で、支援に値するものとして認めるインフラで、その現実に応えることだ。

forbes.com 原文

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