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2026.03.05 14:31

映画のAI使用、最終判断は観客の手に

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ハリウッドは映画でのAI使用に怒りを募らせている。AI俳優のティリー・ノーウッド(制作者いわく「さらに40体が控えている」)や、SoraやSeedanceによる短編AI映画など、あらゆる方面から浸食が進んでいるからだ。だが心配はいらない。たとえ最終的にAIが、非AI映画と見分けがつかない完璧な長編映画を作り出すようになったとしても、観客はそれを受け入れないかもしれない──それがAIだと知っていれば、の話だが。

私は短編がAIで作られている(いまや珍しくない)と分かった瞬間、次の動画へ切り替える。AI制作だと知るだけで、たとえ映像が完璧にリアルに見えても、楽しさもドラマもすべて抜け落ちてしまうからだ。AIが作ったと分かっただけで、肩をすくめて「次」という態度になってしまう。

ワールドシリーズの熱戦を観ている最中に、「実はすべてAIが作ったもので、実在の選手はいない」と途中で告げられたらどうだろう。たとえ実際の試合とフレーム単位で同一だったとしても、ほぼ確実にテレビを消すはずだ。アクションも「ドラマ」も全部AIが作ったのなら、誰がわざわざ観たいと思うだろうか。退屈極まりない。

長編映画でも同じことが起きるだろう。AIで作られていると知るだけで、観客動員は落ち込むかもしれない。『ミッション:インポッシブル』シリーズの成功要因の一部は、トム・クルーズがスタントを自らこなしていると分かっていることにある。観客が「映画全体がAIで作られている」と思ったら、どれほど熱が冷めるか想像してみてほしい。

実際、将来の映画の売り文句は「AI要素ゼロ」であることになるかもしれない。とりわけAI要素を含む映画が一般的になった場合はなおさらだ。必要なのは、映画がAIを使用している際に観客へ公平な注意喚起を行うことだけであり、法制度もその方向へ進んでいる。

1. 多くの州で政治広告におけるAI使用の開示が求められており、ニューヨーク州はこの開示義務を、AIが作成した人間の画像を含むほぼすべての広告(政治広告か否かを問わない)へと拡大した。これを映画へ拡張するのは、さほど大きな飛躍ではないだろう。

2. EUは2026年8月から、すべての映画においてAI使用の開示を義務づける。文言は曖昧だが、エンドクレジットでの開示で十分とされる可能性が高い。問題は、観客は鑑賞前に知るべきだという点にある。そのため開示は、エンドクレジットではなく、メインタイトルなど映画の冒頭に置くべきだ。

3. 米国では連邦法(AIラベリング法)の制定が検討中で、映画を含むほぼすべてのコンテンツにおけるAI生成コンテンツの使用について、「明確で目立つ形での開示」を求める内容だ。この「明確で目立つ形での開示」という要件は、おそらくメインタイトルでの開示を必要とし、さらに映画内に音声のAIコンテンツがある場合には、音声による開示も求めている。

もしMPA(旧MPAA)が、この問題について連邦による義務的な立法(音声による警告義務を含む)を未然に防ぎたいのなら、何らかのAIを使用した映画に対して「AI」レーティングを追加すべきだ。1960年代に、現行のレーティング制度を用いて連邦による検閲を回避したのと同様である。この方式では、配給会社が映画に関連してAIが何らかの形で使用されたか否か(脚本、俳優、音楽、または背景を含む)を証明し、AIが使用されている場合は、通常のレーティング(例:「PG」や「R」)の横に「AI」レーティングを付す。こうして観客には少なくとも公平な注意喚起が与えられ、あとは市場が判断すればよい。

forbes.com 原文

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