教育

2026.03.04 23:01

採用だけでは足りない──流通を支えるカルチャーと定着戦略

マイク・ヴィエトリは、AmeriLifeの流通担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであり、CEOオフィスのシニアアドバイザーである。

保険および金融サービスでは、採用が長らく成長の原動力となってきた。しかし、いまの環境は異なる様相を示している。

優秀な人材の確保は難しくなり、離職コストは高騰し、人材獲得競争は熾烈を極めている。人員増加にばかり注力するリーダーは、目の前にある真の成長機会を見落とす恐れがある。すでにいる人材を定着させ、育成し、力を発揮できるようにすることだ。

離職率を下げることは重要だが、真の定着とは、一貫性と信頼をもって人々に奉仕するという使命を体現することである。

離職の隠れたコスト

金融サービスにおける離職は新しい話ではないが、依然としてコストがかかる。2025年のある調査では、保険業界全体の自発的離職率は約8%で、全体平均の13%を下回った。

一見安定しているように見えても、顧客との関係喪失やオンボーディングのコストを考慮すると、依然として高いコストがかかっている。

LIMRA/Finsecaによれば、フルタイムの金融プロフェッショナルで、採用企業に4年後も在籍しているのは15%に過ぎない。この離職は、投資と勢いの損失を意味する。

訓練を受けたプロデューサーが去るたびに、リーダーがしているのは欠員補充だけではない。顧客ごとに信頼を築き直しているのである。

モデルによって異なる力学

定着のあり方は、流通モデルによっても異なる。独立系マーケティング組織(IMO)では、定着とはマーケターの関与を保つことを意味する。マーケターは、サービス、顧客への提供価値を高めるための先回りした機会、リソース、新鮮な販売アイデアを通じて、エージェントとの関係を維持することに注力する。

代理店レベルでは、リーダーはプロセスを合理化し、エージェントが最も重要なことに集中できるようにすることで人材を定着させる。共通しているのは、定着がリーダーシップの責務だという点である。各役割の人々を動機づけるものを理解し、それを支えるインフラを提供することを意味する。

採用は重要であり続けるが、人材の関与を保つことこそがカルチャーを守り、長期的成長を駆動する。

差別化要因としてのカルチャー

定着において最も見過ごされがちな要素は、関係性への注力だと私は考える。プロデューサーは、自分個人の生産量を超えた使命とつながっていると感じたい。その帰属意識が、不安定な市場や変化する顧客期待の中でも彼らを支える。

カルチャーは一度の会議で生まれるものではない。説明責任、称賛、共通の目的を通じて日々強化される。

カルチャーは、次のような日常の瞬間に表れる。

• プロデューサーの節目を認め、祝う

• 公平性と一貫性をもってチームに説明責任を求める

• 流通モデルを横断してベストプラクティスを共有する場をつくる

• 日々の業務を、顧客に奉仕するというより大きな使命へと結びつける

例えば私は、プロデューサーが契約や報酬のためだけではなく、自分を支える流通チームが本気で成長に投資し、商品や支払いをはるかに超える価値提案を提示しているからこそ残る場面を見てきた。

こうした日々の行動が、プロデューサーの関与を長期にわたって保つカルチャーを築く。

コストではなく投資としてのトレーニング

定着は一貫したトレーニングから生まれる。あまりに多くの場合、育成は任意扱いにされたり、個々の自助努力に委ねられたりする。そのやり方は、プロデューサーが一貫して求めていることを無視している。実務に根差した、手を動かすコーチングがパフォーマンスを高めるという点である。

私の経験では、キャリアを通じて重ねられる一貫したトレーニングは、市場のディスラプションを機会へと転じ得る。人は自分が備えられ、支えられていると感じるほど成果を上げ、より長くとどまる。

2025年初頭の調査では、保険会社の約9割が昨年、人員を維持または増加させる計画だったことが示され、多くがトレーニングを主要な定着戦略として挙げていた。学びに投資する企業は、生産性とロイヤルティという形で成果を得る。

プロデューサーが一貫して「最も価値がある」と語る育成リソースは、次のとおりである。

• 顧客との会話を想定したロールプレイ

• クロスセルと定着機会を特定するためのツール

• オンボーディングだけではない、キャリア各段階での継続的コーチング

• 変動する市場に適応するための実践的戦略

こうしたツールを提供することは、人材への本気の投資を示し、定着を強化する。

キャリアパスを構築する

プロデューサーは「次に何があるのか」を見通したい。仕事の満足度は目の前の関与を保つが、成長の道筋が見えることが、長期のコミットメントを生む。

私は、オンボーディング初日からキャリアトラックを描き出す組織を見てきた。プロデューサーは、シニア職、リーダー職、または専門市場へ進むために必要なマイルストーンを理解する。その明確さが不確実性を減らし、長期的に腰を据える後押しとなる。

キャリア開発が継続的な対話となるとき、定着は自然な帰結となる。

定着のツールとしてのサービス

強い顧客サービスは、2つの面でロイヤルティを築く。消費者に対して、そしてそれに携わるプロフェッショナルに対してである。

ここで中心的な役割を担うのがリーダーだ。契約内容の見直しを優先し、サービス依頼を簡素化し、先回りしたアウトリーチを支える仕組みを整えると、プロデューサーは残りやすくなる。事務的な障害ではなく、意味のある顧客業務に時間が使われていると実感できるからだ。

機会を見いだし新しいアイデアを共有できるよう流通を整えることは、「奉仕する」という使命を生きる一部として、定着を強める。

アンカーとしてのリーダーシップ

これらすべての要素——カルチャー、トレーニング、キャリア開発、サービスのインフラ——は、リーダーシップへと回帰する。すべての流通リーダーは、定着を人事の付随的な話ではなく、最重要の戦略的優先事項として扱うべきである。

優れたリーダーは、定着を売上と同じように扱う。明確な期待値を設定し、進捗を測定し、自らに説明責任を課す。トップ人材の定着が顧客関係を守り、成長を安定させ、コストを削減することを理解している。何より、ロイヤルティは人材への一貫した投資から生まれることを知っている。

ギャップを埋める

流通の状況は今後も進化し続ける。テクノロジーは加速し、顧客期待は変化し、競争は激化する。採用だけではギャップは埋まらない。リーダーは、有能な人材が残り、成長し、キャリアを築きたいと思える環境をつくらねばならない。

マッキンゼーが2034年までに10万人のファイナンシャルアドバイザー不足を予測しているように、定着の必要性は一段と強まるだろう。成功するのは、定着を成長の中核に据える組織である。つながりと支援を得たプロデューサーは力を発揮し、その強さは顧客の利益となって返ってくる。

forbes.com 原文

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事