アジア

2026.03.05 08:00

中国はなぜイランの支援に消極的なのか?

イランの首都テヘランで会談する同国の最高指導者アリ・ハメネイ師(右)と中国の習近平国家主席。2016年1月23日撮影(Pool / Supreme Leader Press Office/Anadolu Agency/Getty Image)

中国の防空システムは特に欧米製のものと比較すると費用対効果に優れているかもしれないが、有効性と強度に欠ける点が以前から指摘されてきた。同国はイランなどの国々に対し、安全保障供給国の選択肢として自らを売り込んできたが、依然として軍事行動より外交と対抗を戦略としている。中国が軍事行動を通じて中東問題に介入すれば、イランに輸出した装備の欠陥や不具合が露呈し、自国の評判が損なわれる恐れがある。

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中国の優先事項は台湾問題

中国の軍事的優先課題は他にある。米イスラエルによるイラン攻撃の2日前、中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)は、習主席が進める軍幹部の汚職摘発の一環として、人民解放軍の幹部10人の全人代代表資格を剝奪した。こうした状況下で中国は国内の対立と軍事改革に注力せざるを得ず、他国に介入する余裕が失われている。

また、台湾に焦点を当てていることも、中国が他の地域に介入する能力を低下させている。イラン情勢は中国にとって台湾問題を上回るものではなく、中国はより差し迫った問題から注意をそらすことを望んでいない。中東に権力や資源、関心を注いだとしても、中国が得られる利益は限定的で、台湾への注意をそらす要因にもなりかねない。こうしたことも、中国のイランへの関与が限られている原因になっている。

中国の軍事戦略には選択の余地もある。イランと戦う米国、イスラエル、アラブ諸国が中東での紛争に足を取られるか、不安定な状態に陥ることで、中国は大きな利益を得るだろう。そうなれば、中国は米国の関与を避けつつ、台湾に圧力をかける余裕が生まれることになる。他方で、たとえイランと戦う連合軍が勝利したとしても、中国のエネルギー輸入が断たれることはないとみられる。

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現在の中東での紛争は既に中国がどこまで介入し、何をしないのかを示している。同国はイランやアラブ諸国との関係を見据えつつも、地理的に自国に近い問題を優先しながら、慎重かつ控えめな姿勢を取っている。自ら積極的に動いて米国の失敗を招こうとするよりも、米国の失敗に賭けているのだ。中国は緊張緩和を呼びかけ、米国とイスラエルによるイランへの攻撃をある程度非難しているものの、行動は伴っていない。中国の意思決定は、自国の利益の優先順位に基づいて行われる。同国にとっては、イラン支援よりペルシャ湾岸地域の安定とエネルギー資源の確保の方が重要なのだ。中国製の軍事装備の不具合が露呈する可能性や台湾問題、軍内部の再編も大きな懸念材料となっている。中東の対立が激化し長期化するにつれ、中国は名ばかりのイランの同盟国であり続けるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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