アジア

2026.03.05 08:00

中国はなぜイランの支援に消極的なのか?

イランの首都テヘランで会談する同国の最高指導者アリ・ハメネイ師(右)と中国の習近平国家主席。2016年1月23日撮影(Pool / Supreme Leader Press Office/Anadolu Agency/Getty Image)

イランの首都テヘランで会談する同国の最高指導者アリ・ハメネイ師(右)と中国の習近平国家主席。2016年1月23日撮影(Pool / Supreme Leader Press Office/Anadolu Agency/Getty Image)

米軍とイスラエル軍は2月28日、イランを攻撃した。同国の核開発計画を阻止することを目的とした米イスラエルの軍事作戦は現在も続いている。中東では緊張が高まり、ペルシャ湾岸のエネルギー生産施設が打撃を受け、同湾に位置するホルムズ海峡が封鎖された。

同海峡の封鎖は国際石油市場、特に中国に深刻な打撃を与える。ホルムズ海峡を通過する石油の37%が同国に向けられているからだ。これにより、当然のことながら中国の動向に注目が集まり、同国が自国の経済的利益を守るために中東の対立に積極的に介入するのではないかとの憶測を呼んでいる。

ところが、中国政府はイランとの戦略的協力協定があるにもかかわらず、同盟や政治的合意より物価の安定を優先し、緊張緩和を呼びかけている。中国の慎重かつ限定的な発言は、中東の緊張が高まる中で、同国が何を優先するのかを示している。中国の態度は意図的であり、同国にはイランのために首を突っ込む経済的動機も軍事的余裕もないことを示唆している。

中国にとって重要なのはアラブかイランか

中国の習近平国家主席が2023年にサウジアラビアとイランの外交正常化を仲介したことで、中国は中東で中立的な立場を確立することに成功した。この仲介を通じて中国が目指したのはイランを支援することではなく、自国のエネルギー安全保障を大きく左右するペルシャ湾岸地域の安定化を図ることだった。これにより、中国では楽観論が広がった。中国式外交によって、一見解決不能なアラブとイランの相互排他的な関係を橋渡しできるかもしれないという期待からだ。

だが、そう簡単にはいかなかった。中国はイランだけでなく、イスラエルや他の中東諸国ともつながりがあるため、イランのみを支援するわけにはいかない。中国はサウジアラビアを含む多くのアラブ諸国にとって最大の石油輸入国であり、イラン産よりアラブ産の石油に大きく依存している。中国の石油輸入の約50%はアラブ諸国産で、イランからの輸入は約17%に過ぎない。アラブ諸国から中国へは日量400万バレル以上の石油が輸送されているのに対し、イランからの輸入量は同138万バレル程度だ。

中国製軍事機器の評判

中国の王毅外相は米国のイラン攻撃に反対し、停止を呼びかけているものの、中国のイランに対する支持は口先だけにとどまっているようだ。中国が介入に消極的な姿勢を示す一因には、同国の軍事状況も挙げられる。中国が海外に輸出している防空システムは、性能が議論の的となっている。同国は10年以上、イランに最新鋭の軍事機器を輸出していないが、主に防空システムや旧世代のドローン(無人機)など、過去に輸出した機器は期待通りの性能を発揮していない。本稿執筆時点では、イランで使用されている中国の防空システムは、イスラエル、米国、アラブ諸国の軍用機を1機も阻止できていない。

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翻訳・編集=安藤清香

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