現代の仕事文化ではマルチタスクがますます称賛されるようになっている。会議中にメールに返信し、レポートを書きながらメッセージを確認し、1時間に何十回もタブを行ったり来たりするのが癖になっている。補助業務、あるいはちょっとした気晴らしのためにマルチタスクは効率的、あるいは必要なことのように感じられるかもしれない。だが認知の観点から言えば、人間の脳は真にマルチタスクを行うことはできない。同時にタスクを行っているのではなく、タスクを切り替えている。そして、その切り替えには必ず隠れたコストが伴う。
そうしたコストは「注意残余」と呼ばれる。これは、あるタスクから別のタスクへ移行した後も残り続ける認知的活性のことだ。次のタスクに移ったと思っていても、注意の一部はまだ前のタスクにとどまっている。その結果、思考速度は遅くなり、正確性は低下する。そして精神的な疲労感が1日を通して蓄積していく。
この現象を理解するために私は「注意残余クイズ」を作成した。あなたにとって注意をタスクから切り離すことが簡単なのか、それとも難しいのかを明らかにできる。だがより重要なのは、そもそもなぜ脳がこのように働くのかという心理的背景を理解することにある。
タスク切り替えが悪い習慣である理由
この分野で最も画期的な発見の1つは、ソフィー・ルロイが打ち出した注意残余という概念だ。専門誌『Organizational Behavior and Human Decision Processes』に2009年に掲載されたルロイの代表的な研究では、タスクをうまく切り替えるための鍵は前のタスクが完全に終わる前であっても心理的に離れることにあることが示された。
職場を模した実験では、参加者は未完了の作業から注意を引き離すことに苦労し、それが次のタスクのパフォーマンスに悪影響を及ぼしていた。
驚くべきことに、単にタスクを完了するだけではこの干渉は消えなかった。最も重要だったのは本人が認知的な区切りを感じているかどうかだった。時間的なプレッシャーが参加者に前の目標から離れることを強制し、それによって区切りが生み出されるケースもあった。
なぜこうしたことになるのかについては、目標が脳内でどのように表象されるかを明らかにした研究で説明されている。専門誌『Neuropsychopharmacology』に2021年に掲載された研究では、目標指向の行動は主に前頭前野を中心とした分散型ネットワークに依存していることが示された。
この領域はワーキングメモリにタスク情報を保持し、抑制制御プロセスによって注意を調整する。しかしこれらのシステムの容量には限界があるため、複数の目標が部分的に同時に活性化していると、互いに干渉する。これは、メモリ容量の少ないコンピューターで多くのアプリを同時に起動している状態によく似ている。
特に抑制制御はタスクを切り替える際に重要とみられる。そのため実行機能が優れている人ほど、効率よく「手放す」ことができる。これは多くの人が経験する感覚でもある。新しいタスクを始めた直後の数分間は頭がぼんやりしたり集中できなかったりする。この状態が注意残余であり、怠けと誤解されやすい。
タスクからどれだけ早く離れられるかは人によって異なることも心に留めておきたい。タスク間でかなりの精神的な重なりを抱える人もいる。誠実性や神経症傾向といった性格特性も、未完了の目標がどれほど強く認知的に活性化し続けるかに影響するかもしれない。つまり生産性は動機だけでなく認知構造にも左右される。



