経営・戦略

2026.03.04 18:07

幸せな従業員が幸せな顧客を生む──組織と顧客をつなぐエンゲージメントの好循環

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組織の内側で起きていることは、顧客という外側にも伝わる。

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私はこの考え方を長年説いてきた。従業員にとって充実した体験をつくれば、従業員は自らの役割や責任により深く関与するようになり、それが結果として顧客とのエンゲージメントを加速し、増幅させる。たとえ従業員が顧客と直接やり取りしなくても、自分の役割が顧客対応を担う人々に影響すること、あるいは他の従業員や顧客を支える仕組みに影響を与えていることを理解している。

先日のAmazing Business Radioで、Stickology: How to Build Unbreakable Connections with Employees and Customers for Lifeの著者であるスティーブン・ベア氏にインタビューし、より良い顧客体験を生み出すうえで職場文化が果たす重要性について議論した。以下は、インタビューの主要な論点に私のコメントを添えたものだ。

社内のエンゲージメントが顧客体験を動かす
従業員が幸せであれば、顧客も幸せになる。従業員が仕事により深く関与するほど、顧客との関わりも深まる。さらに、エンゲージメントの高いチームは収益を押し上げ、離職率を下げ、社内においてもより充実した体験を提供する。結果として顧客満足度も高まる。ベア氏はこう語る。「社内と社外のエンゲージメントは完全に結びついている。従業員への接し方と顧客がどのように扱われるかは切り離せない」

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「つながり」と「エンゲージメント」の違い

誰かとつながることは、第一歩にすぎない。ベア氏は、つながりとエンゲージメントの違いを説明する比喩として、マジックテープと接着剤の違いを用いた。マジックテープはくっつくが、簡単にはがれてしまう。接着剤は適切に塗り、固まるまでに時間がかかる。しかし一度固まれば、容易には離れない。本当のエンゲージメントは接着剤のようなものだ。信頼と確信を築くには時間がかかるが、それを獲得できたとき、従業員や顧客との絆が生まれる。

パーソナライゼーションは「名前を呼ぶこと」以上のものだ

私のCXに関する年次調査によれば、消費者の82%は、体験をパーソナライズする企業を好むという。顧客を覚えていて名前で呼ぶのは素晴らしいが、それは真のパーソナライゼーションではない。必要なのは顧客を理解することであり、そのためには、顧客とのあらゆるやり取りに細心の注意を払う必要がある。自分が相手を理解し、評価していることを示せば、感情的なつながりのレベルが築かれ始める。顧客は、自分を理解している企業やブランドと取引することに心地よさを感じる。要するに、何らかの感情的なつながりを生み出すことが重要なのだ。

人間的なつながりはロイヤルティプログラムを上回る

ポイントや特典を提供するロイヤルティプログラムでは、真に人間的な関係の代わりにはならない。だからといって、ロイヤルティプログラムが機能しないという意味ではない。実際、リピート購買を促進する効果はある。しかし、そこに人間的なエンゲージメントの要素を加え、従業員が進んで顧客を助け、感謝を示すようになったらどうだろうか。その体験と従来のロイヤルティプログラムを組み合わせることで、リピート顧客を真のロイヤルカスタマーへと変えられる。

エンゲージメントの好循環

ベア氏は、彼が「エンゲージメントの好循環」と呼ぶ概念を説明した。企業が従業員に実験、協働、顧客の問題解決を行う権限を与えることに投資すれば、その結果としてより良い顧客体験が生まれる。幸せで権限を与えられた従業員は、満足度の高いロイヤルカスタマーを生み出す。そうした顧客のリピートとロイヤルティが、従業員エンゲージメントへのさらなる投資を支える。これは継続し、改善し続ける循環である。

最後に

エンゲージメントの低いチームが生み出すのは、取引的で、その場限りの体験だ。そこにあるのは関係ではなく、その瞬間に何が起きているかに尽きる。従業員は注文を受けて処理する作業を惰性的にこなし、それ以上には発展しない。それは望むべき姿ではない。ベア氏は次のように要約する。「従業員が権限を与えられ、信頼されていると、顧客はその情熱と配慮を感じ取れる。人に投資することは、ロイヤルティと成功を生む驚くべき顧客体験へと、直接つながる」

forbes.com 原文

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