Nashay Naeve(Tsubaki Nakashima社長)。大陸をまたいで高いパフォーマンスを発揮するグローバル製造チームを構築。
アイオワ州の農場で育った私は、機械が壊れたときは専門家を待つのではなく、自分で原因を突き止めるものだと学んだ。この「手を動かして解く」姿勢は私のエンジニアとしてのキャリアを形づくったが、リーダーシップの捉え方を変えたのはグローバル化だった。
中国が製造業の大国として台頭したとき、私は一風変わった決断をした。北京語を学び、現地に移り住んで工学を学び、重機製造の現場で働いたのだ。目的はビジネス取引のためだけではない。異なる文化的文脈の中で、チームがどう考え、問題をどう解き、どうイノベーションを生むのかを本当に理解するためだった。
その投資は、教科書では得られないことを教えてくれた。グローバル製造における競争優位は、テクノロジーや効率性だけではない。多様な視点を引き出し、文化の違いをイノベーションのエンジンへと転換する力にある。
異なる角度がもたらす力
キャリアの初期、私は生産性を最大化するために、エンジニアリングとサポートチームの座席配置を見直すプロジェクトに志願した。単純なロジスティクスの作業に思えたが、そこで学んだのは、「何に取り組むか」と同じくらい「誰と働くか」が重要だということだ。エンジニアが品質チームの隣に座り、オペレーションの担当者が営業の会話を耳にする。そうして異なるアイデアがぶつかり合うことで、イノベーションは加速する。
異なる視点は、あれば良いというものではない。競争優位そのものだ。異なる文化のレンズ、異なる職能の背景。それらが、飛躍的な発想を生む条件をつくる。この教訓は、アジア、欧州、米国にまたがるグローバルオペレーションのゼネラルマネジメントへと進む中で、決定的に重要になった。
国境を超えるチームをつくる
グローバル製造のマネジメントとは、どこでも同じ「やり方」を押し付けることではない。目的を明確にしつつ、各地域のチームが自分たちの文脈に合った方法で実行できるように権限を与えることだ。組織を工場単位の体制から、グローバルな職能別レポーティングへと再編した際、突破口になったのは議論を促したことだった。チームは私の考えに異議を唱え、私たちはより良い着地点にたどり着いた。
私の経験では、成長し続けるリーダーは、変化に適応できるチームを次の3つの形で築く人である。
• 現地での意思決定をエンパワーする:各チームに、自部門の意思決定を下す権限を与える。例えば、欧州チームが新たなESG要件への対応を迫られるなら、彼らは行動すべきだ。ただし、その経験を共有し、米国チームが学べるよう支援することも重要である。グローバルの方針メモは不要だ。
• 意図的にサイロを崩す:職能横断・文化横断の協働には、異なる視点が別々のサイロにとどまるのではなく、生産的に衝突するよう促す、意識的な構造設計が必要だと私は学んだ。
• 専門性と同じくらい適応力を重視する:深い技術知識は依然として不可欠だが、より重要なのはマインドセットである。規制が変わり、テクノロジーが進化する中で、チームは十分な速さで学び、適応できるだろうか。
競争の「堀」としての文化知性
テクノロジーと資本を手に入れられる時代において、持続可能な競争優位はしばしば組織能力に宿る。すなわち、複数の地域にまたがって同時に、競合よりも速く察知し、判断し、行動できる力である。
この能力は買えない。1つひとつの関係性、1つひとつの文化の橋渡し、1つひとつの権限移譲されたチームを積み重ねて築かれる。私は、優れたテクノロジーを持つ企業が、文化をまたいだ実行力に勝る競合に敗れる場面を目にしてきた。
言語と、言葉にならない文化的ダイナミクスの両方に通じていると、他者が見落とすものが聞こえてくる。アジアのチームが欧州のチームと異なる形でリスクに向き合う理由も理解できる。カリフォルニアの現場担当者が、イタリアのエンジニアを行き詰まらせた問題を解決する道筋も見えてくる。
これからの選択
製造業がよりグローバルに、より複雑になる中で、自問してほしい。あなたは、いまのやり方を実行できるチームをつくっているのか。それとも、次のやり方を書き上げられるチームをつくっているのか。
自動化された工場や、最大の拠点網を持つことが企業を繁栄させるわけではない。私の経験では、先行する企業とは、文化をまたいだ複雑さを乗り越えられるチームを持つ企業である。多様性を「管理すべき課題」ではなく、イノベーションそのものを生み出すエンジンとして捉えるチームだ。
それが、明日の製造組織である。そしてそれは、文化知性が「あれば良いもの」ではないと理解するリーダーによって、いまこの瞬間も築かれている。文化知性は、他のすべての基盤なのだ。



