マルコス・レドンド氏はZenith Prep Academyの社長である。
かつて、多くの人は同じ雇用主のもとで何十年も働いた。ミルトン・フリードマンは、人々が2、3年で転職する現代的な労働文化を「当たり前」にした人物として広く語られている。私たちはそれを気軽に、どこか自己弁護めいて語る。まるで、絶え間ない離職は今やビジネスのコストにすぎないかのように。
私はそうは思わない。
私が懸念しているのは、従業員が動くこと自体ではない。ある程度の流動性は健全である。人生にはいろいろある。人は成長する。しかし、従業員の離職を「シグナル」として捉えるのではなく、事業戦略の一部として扱うことは、短期的な利益に目を奪われ、企業の長期的成功を脇に追いやってしまうと私は主張したい。優れた成果を出す人材を育成し続けるのではなく、置き換えるという教義に安易に流れると、リーダーが失うのは人材だけではない。勢い、企業アイデンティティ、そして長期的な業績も失う。
私自身、とりわけこの1年、チームを立ち上げ拡大していく中でそれを実感してきた。そして間近で見れば見るほど、今の雇用環境において「定着」は、企業が持ち得る最も過小評価された競争優位の1つだという確信が強まっている。
なぜ離職にこれほど慣れてしまったのか
いまの人々は、摩擦に対する許容度が非常に低い。そしてそれは職場に限らず、あらゆる場面で見られる。関係が難しければ次へ進む。会話が居心地悪ければ距離を置く。仕事が完璧に合致しなければ、新しい仕事を探し始める。
社会全体を覆う期待は「すべてはすぐにしっくりくるべきだ」というものだ。そしてそうならない場合は、何かが壊れているという前提になる。
その発想が職場にも入り込んだ。人がいかに素早く転職するか、企業がいかに素早く置き換えるかに、それが表れている。だが、その離職の循環の中で私たちは、時間をかけて初めて会社にもたらされる価値を失っている。組織知、信頼、実行スピード、そしてプロセスの当事者であることから生まれる誇りである。
組織における長期在籍とは、複利の話だ。
人を入れ替えることの本当のコスト
紙の上では、従業員の入れ替えは効率的に見える。高い給与を削り、より安い人を雇い、業務を続ける。しかし、その数字が成り立つのは、スプレッドシートにきれいに載らないものをすべて無視すると決めた場合に限られる。
長期在籍の従業員は、より良い意思決定をより速く下す。どこに地雷があるかを知り、回避の仕方もわかっている。顧客、システム、社内の力学を理解しており、それはオンボーディングでは再現できない。彼らの存在は摩擦を減らす。システムの機微を知り、より賢く働くことを学んでおり、採用と研修のサイクルと比べれば、驚くほど自然に周囲を引き上げることができるからだ。
会社とともに成長してきた強いチームを見ると、ミスは少なく、顧客の成果は良く、イノベーションもより熟慮されている。それは偶然ではない。人々が、個人としてもプロとしても十分にコミットし、投資していると感じる会社の成功を自分事として共有するときに起こるのだ。
リーダーとして長期戦を戦う
リーダーは、近視眼的な発想から離れ、より大きな戦略の一環として、人材の「生涯価値」に焦点を当てる必要がある。日本の哲学であるカイゼンは、この原則をよく体現している。
このアプローチは、明確さを提供することから始まる。従業員は、自分がどこにいて、どこへ向かうのかを知る必要がある。誰かが入社した瞬間から、成長についての実質的な対話があるべきだ。曖昧な約束ではなく、6カ月、1年、2年といった節目における具体的な期待を示す。こうした対話が、従業員の育成と成長のためのアラインメントをつくる。
従業員が自分の未来を描けるとき、働く会社と協働してそれを築こうという意欲が高まる。これは非効率を減らし、離職では物理的に再現できない、規律ある成功の文化を育む。
現実の世界での「定着」とは
ここ数カ月で私は何十人も採用し、その多くは20代前半だった。彼らから繰り返し聞くのは、報酬の話だけではない。確かに経済的安定は重要だ。だが、バランス、目的意識、そして「見てもらえている」と感じることも同じくらい重要だ。
それはリーダーが無視できない世代的変化である。
キューバ移民の息子として育った私にとって、バランスは議題にすらならなかった。働く。支える。それが契約だった。だが、いま労働市場に入ってくる人々は同じようにはできていない。それは欠陥ではない。理解すべき重要な情報である。
従業員を定着させることは、何が彼らの本当の動機なのかを理解することから始まる。
実務的なレバーの1つはメンターシップだ。高い成果を出す人すべてをすぐに昇進させられるわけではないが、リーダーとしての責任を託すことはできる。彼らがどうコミュニケーションし、どう対立を扱うのかを観察すれば、将来のリーダーについて多くを学べるし、より大きな責任に準備ができているかも見極めやすくなる。
もう1つのレバーは、横の異動のスティグマをなくすことだ。私たちは進歩を肩書と同一視しがちである。だが、最高のリーダーの中には、一直線にリーダーになったわけではない人も多い。職能をまたいで移り、ビジネスの別の側面を学んだ。そうすることで、単一の役割では決して得られない形で挑戦を受けたのだ。
当社では、昇進の88%が社内から生まれている。意図的である。昇格させる前に、人が異なる文脈でどう振る舞うのかを見たいのだ。
コミットメントに報いる報酬
私がよく目にする間違いの1つは、報酬を短期のアウトプットだけに結びつけることだ。そうすると、人は数字を達成するために必要な最低限へ最適化し、そこへ至るコストに関心を持たなくなる。
報酬は、時間を通じた貢献を反映すべきだと私は考える。だからこそ、勤続年数に基づくインセンティブやリテンション・ボーナスを私は強く支持している。象徴的なジェスチャーとしてではなく、従業員に対して「あなたの貢献は評価されている」「長く在籍することには重みがある」という現実のシグナルとして。
人々が、残り、成長し、長期的に貢献することに報いがあるとわかれば、マインドセットが変わる。取引的に考えるのをやめ、オーナーのように考え始める。
心理的安全性は戦略である
パフォーマンスの最も強力な推進要因の1つは心理的安全性だ。人がミスを認めたり、問題を表面化させたりすることを恐れると、問題は複利で増幅する。
私は、従業員が問題を隠すのは不注意だからではないと学んだ。安全ではないと感じているから隠すのだ。
人が「聞いてもらえている」と感じれば、当事者意識を持つ。「使い捨て」だと感じれば、関与をやめる。その違いは、品質から士気、そして最終的には売上に至るまで、あらゆるところに表れる。
忠誠は双方向に働く
リーダーとしての私のお気に入りの瞬間の1つは、競合が当社のマネジャーの1人を引き抜こうとしたときだった。そのマネジャーは黙って去るのではなく、そのメールを社内で共有し、笑い飛ばした。
それがカルチャーだ。
会社が人に投資すれば、人も投資し返す。ミッションを守り、懸念を早い段階で提起し、残る。
定着は、再発明より安い。そしてそれを理解するリーダーは、チームをつくりながら、事業の粘り強さも高めている。
これは終身雇用を復活させようという呼びかけではない。意図して育成された人は、極めて模倣困難な競争優位になるという事実を認識しよう、という呼びかけである。



