AI

2026.03.04 03:18

業務変革にAIエージェントを導入する4つの企業

「仕事以外では、素早く動けるし、ツールを切り替えて、新しいモデルがリリースされた瞬間に導入できる」。自動車業界でシニアビジネスシステムアナリストを務めるデイビッド・ブランクは、個人プロジェクトでAIエージェントを取り入れてきた道のりと、職場で使用を許されているツールとの違いについて、こう語った。

多くの従業員が、仕事外で使えるツールによるスピードと、職場で許可されたツールによるスピードのギャップを実感している。こうしたツールを採用する企業は、そうでない企業をしばしば上回る。個人や企業がそれらを導入しない理由はさまざまだが、導入している側は、プロジェクトや事業が強化されていると感じている。

AIエージェントは大きく進化した。1年前、多くのエージェントははるかに脆弱だった。明確に定義されたワークフローがなければ、エージェントは失敗したり、役に立たない出力を生んだりしていた。2025年6月、Gartnerは、エージェント型AI(agentic AI)プロジェクトの40%が2027年末までに中止されると予測した。しかし、その予測は、より自律的なエージェントと、より優れたモデルがリリースされる前に出されたものだった。いまはClaude Code、OpenClaw、Manusのようなエージェントがより良い出力を生成し、タスク完了に関する意思決定も行うようになっているため、2027年末までの成功率はGartnerの予測より高くなる可能性がある。現在のエージェントは、ウェブ閲覧、ファイル管理、メール送信、コードの作成と実行、スライド作成、複数ステップの調査など、さらに多くのことができる。成功の姿を理解している明晰な思考の持ち主と組み合わされば、何時間分もの作業を数分に圧縮する。個人にとっては、時間がなくて手を付けられなかった仕事まで含まれる。

AIエージェントを導入する企業

AIプロジェクトの構築と助言に注力する起業家ダン・ペグインは、OpenClawを用いて両親の茶業ビジネスの変革を支援している。筆者がXで連絡したところ、彼は電話で両親の事業について共有することに同意した。事業は2つの店舗、オンラインショップ、そして約15人の従業員を抱える。父親は67歳で引退を検討しているが、事業を売却したり閉鎖したりするつもりはない。ペグインは、面倒な作業を自動化しつつ、父親が好きなことに集中できるよう手助けすることにした。彼はOpenClawを設定し、発注、在庫、仕入先へのメール、同様のタスクを管理させている。ペグインの試算では、年間5万ドル(約750万円)の節約になり、毎月2〜3日分の時間を取り戻して引退後の生活を楽しめるようになるという。「これはパーソナルAIアシスタントではない」とペグインは言う。「人々が想像していたAIそのものだ。生活をはるかに、はるかに良くしてくれる存在である」

Ethereal Computingの創業者エロス・マルチェロは当初、AIエージェントをめぐる誇張や、「AI従業員」という概念に懐疑的だったと、筆者へのメッセージで述べた。しかしOpenClawを使い始めると、「何の明示的な指示もないのに、ばらばらのデータセットの横断でパターンが浮かび上がり、製品選択に影響を与えるようになった」という。そこで初めて、単なるツールではなくなったのだと彼は話す。

多くの企業は、適切なチームが正しく使えば、AIエージェントによってより速く動けるようになると実感している。

AIエージェント導入のリスクは現実のものだ

エージェントを使うことによるリターンは確かにあるが、リスクも同様に存在する。データ漏洩、プロンプトインジェクション攻撃のような意図しない行動などにつながり得る。今週、MetaのAI安全性・アライメント責任者であるサマー・ユエは、OpenClawによって個人の受信箱全体を誤って削除してしまったと、Xで公に共有した。ビジネスにおいては、エージェントによる災害の可能性や金銭的影響はさらに大きい。

LEMA LogicのCEOブライアン・ギャラガーは、事業を加速させるエージェントとしてClaude Codeを使っている。OpenClawよりも安全性は高いものの、ギャラガーは筆者との1対1の会話で「セキュリティは間違いなく大きな懸念事項だ」と語った。さらに「完全自律のオペレーションは一切認めていない。すべてのプロセスで人間がループに入り、たとえ外に出る前の最終承認だけであっても、人が関与する」と付け加えた。

エージェントによるセキュリティリスクから自分自身と組織を守るための重要な方法がある。AIネイティブなライティング/編集プラットフォームLexの創業者ネイサン・バシェは、Claude Codeによって15〜20倍速く動けると感じているが、スタートアップとして重要なセキュリティルールを順守している。インタビューでバシェは、ソフトウェア開発者サイモン・ウィリソンによる「Lethal Trifecta(致命的な3要素)」のフレームワークについて語った。そこでは、エージェントが(1)プライベートデータへのアクセスを持ち、(2)信頼できない外部コンテンツを処理し、(3)外部に向けて通信できる場合に危険になるとされる。この3つのうちどれか1つを取り除けば、全体のリスクは大きく下がる。彼は、エージェントがこの3つを同時に持たないようにしている。

複利で広がるAIエージェント導入ギャップ

エージェント利用のリスクがあるにもかかわらず、多くの企業はそれを乗りこなし、競合を上回ろうとしている。エージェント利用のリスクよりも、出遅れるリスクのほうが大きいと見る向きもある。「多くの組織は、いま何が可能なのかというスループット(処理量)を十分に理解する段階に、まだ到達していない」とバシェは言う。「多くの大企業が十分に向き合い切れていない課題だと思う」

競合がわずかに速く動く状態を継続し、しかも正しい方向に進んでいれば、その優位は複利で積み上がっていく。2店舗を持ち、67歳のオーナーが経営するその茶店は、いまや多くの大企業が解き放ち方を見いだせていない能力を獲得して運営している。

エージェント型AIのギャップはすでに存在し、AIエージェントを導入する企業と、導入しない企業の間で拡大している。

forbes.com 原文

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