シリアのバッシャール・アサド前大統領がロシアとの友好関係には限界があることを悟ったように、イランも同じ教訓を得た。
米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はイランに対し、口頭で同情と支持を示したものの、それ以上の対応を見せなかった。英王立国際問題研究所(チャタムハウス)は、イランとの接触を保ちながらも過度に関与したくないロシアの姿勢を「戦略的回避」と表現した。
ロシアとイランは昨年1月、20年間にわたる包括的戦略パートナーシップ条約を結んでいた。だが、この合意は軍事同盟や相互軍事支援を約束するものではなかった。昨年6月にイスラエルとイランが軍事衝突した際も、ロシア側にはイランを防衛する資源も意欲も欠けていた。
一見すると、米国とイスラエルがイランとの軍事衝突から利益を得る一方で、ロシアが疎外されているように見えるかもしれない。もしイランが現在の紛争を無傷で乗り切ったとしても深刻な弱体化を免れず、米国との強制的な和解を迫られるならば、ロシアはイランだけでなく、中東全域で影響力を失いかねない。実際、ロシアはアサド政権崩壊以降、シリアでの影響力が弱まりつつあり、新指導者アハマド・シャラア暫定大統領の下で担っている役割は限定的な範囲にとどまっている。
イランの体制が完全に崩壊した場合、混乱に陥るか、ロシアに友好的でない政権に取って代わられるかに関わらず、ロシアは数多くの投資を失う危険に直面する。これには、ロシアとイランを結ぶ数十億ドル規模の鉄道建設や、イラン南部に原子炉4基を設置する250億ドル規模の契約などが含まれる。さらに、ロシアはイランのエネルギー業界で存在感を拡大する計画も立てていた。
しかし、中東の強権的な同盟国を失うことが、ロシアの影響力に決定的な打撃を与えるかどうかは定かではない。ロシアはシリアへの投資とアサド前政権に提供していた数百万ドルの融資を失ったものの、厄介なパートナーを取り除くことができた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は繰り返し、アサド前大統領に近隣諸国や反体制派との妥協を促そうとしたが、成果は得られなかった。
アサド前政権が崩壊した後も、ロシアは融資による影響力や武器供給を通じて、シリアである一定の役割を担い続けている。さらに、制約が増しているとはいえ、ロシアは依然としてシリアに基地を置いている。これらの基地の地位は当初不透明だったが、プーチン大統領とシャラア暫定大統領との会談はロシア側にとって実りあるものとなった。



