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2026.03.05 11:30

利益倍増でも従業員4割解雇、ジャック・ドーシーのBlockが断行した「AI代替」の果実と危険な罠

Joe Raedle / Getty Images

Joe Raedle / Getty Images

多くの小売店で利用されている決済システム「Square(スクエア)」をはじめ、複数の金融サービスを展開するブロック(Block)が、大規模な人員削減に踏み切った。同社は全従業員約1万人のうち、4000人を削減した。

ブロックの共同創業者兼会長であり、ツイッター(現X)の共同創業者兼元CEOとしても知られるジャック・ドーシーが株主に宛てた書簡によれば、対象となる4000人の従業員に対し、会社側は退職、もしくは協議への参加を求めたという。これは、一部の人員については引き続き業務上の必要性が認められる可能性があるものの、正社員としての待遇は継続されないことを意味している。

ドーシーは書簡の中で2025年を「好調な年」と総括し、第1四半期から第4四半期にかけて売上総利益が2倍以上に拡大したと述べた。また、あらゆる事業が順調に推移しており、2025年第4四半期には前年同期比で24%の成長、17%の営業利益率を記録。通年でも売上総利益は前年比17%増、営業利益率は16%に達したという。

ドーシーは、好調な業績の背景について、今年推進してきた製品開発スピードの向上がようやく反映され始めたとの認識を示した。その上で、「先日開催した投資家説明会で掲げた財務目標の達成に自信を持っている。我々の戦略は、日々顧客に提供する価値として具現化し始めており、その手応えを実感している」と述べている。

彼はさらに、AIをはじめとする「インテリジェンス・ツール」の進化にも言及し、「現在開発中のツールを活用すれば、従来よりもはるかに少ない人数で、より多くの成果を、より高い品質で実現できるようになる」との考えを示した。

彼は次のような言葉で書簡を締めくくった。「ブロックは、より小規模かつ迅速で、AI活用を前提としたインテリジェンス・ネイティブな企業へと進化することで、今よりもはるかに大きな価値を生み出すと確信している。今後我々が行うすべての施策は、その実現のためにある」。

筆者は、ブロックの経営状況を把握するため、「収益」、「純利益」、「従業員数」という3つの主要指標の推移を確認してみた。なお、財務データはS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの数値を参照し、従業員数については同社の年次報告書の記載に基づいている。

データをみると、従業員数の増加に伴い、売上が拡大し、やがて利益も増加していったことが見て取れる。ドーシーは、2月26日に退職する従業員に向けた公開書簡をXに投稿した。「去り行く皆さんへ──これまでの貢献に感謝するとともに、このような結果に至ったことをお詫びする。この会社を築いてきたのは皆さんであり、その事実を私は生涯忘れない。今回の決定は、皆さんの功績を否定するものではない。皆さんは今後、どの組織においても大いに活躍されるだろう」。

ドーシーは、解雇対象となる従業員が会社の成功を支えてきた功労者であることを、会社としても自身としても認めていると強調した。その上で、人員削減の背景にはコロナ禍での過剰採用があったと説明し、状況に応じて段階的な削減を繰り返すか、早期に大幅な削減を断行するのかという選択を迫られたと明かした。そして、「断続的な人員削減は士気や集中力を低下させるだけでなく、顧客や株主が我々のリーダーシップに寄せる信頼を損なう」との認識を示した。

ブロックは、退職金として約5〜6ヵ月分の給与相当額に加え、5000ドル(約78万7000円)の現金、6ヵ月間の医療保険、さらに会社支給の端末を提供している。

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編集=朝香実

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