経営・戦略

2026.03.03 21:29

「ダブル・ピラミッド」戦略:AI導入はトップダウンかボトムアップか

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組織がAIを受け入れるとき──そして受け入れることになるのだが──それはどのように起こるのか。上から降りてくるのか。上層部や中央の企画部門によるお達しなのか。それとも、実際に生産のプロセスに従事する最前線の人々から、下から湧き上がってくるのか。

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かつて株式市場には、「up the down staircase(下り階段を上る)」といった言い回しに押し込められた種類の原則があった(安く買って高く売る、そして群れから距離を取って行動する──言い換えれば、投資家が集団で何かをしているのが見えたら、反対方向へ行け、ということだ)。

AIにもまた、こうした格言が必要なのかもしれない。

Forbes寄稿者でありForbes Councilsメンバーでもあるアティフ・サードは、これら正反対のアプローチそれぞれについてユースケースを提示し、例えば「トップダウンのイノベーションは、明確な戦略的方向性と実証済みのユースケースがあるときに最も有効だ」と指摘している。

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サードはボトムアップのアプローチも支持する。

「批評家はしばしば、ボトムアップのAIイノベーションを『ハンマーを手にしたら、すべてが釘に見える』という話として退ける」とサードは書く。「だがそれは、効果的なボトムアップのイノベーションがどう機能するのかを根本的に誤解している。適切なボトムアップのイノベーションはむしろ、『自分がハンマーだと分かっていて、積極的に釘を探しているハンマー』に近い」

ダボス発

こうした区分はあるにせよ、結局のところトップダウンとボトムアップの両方が──しかも同時に──必要だと主張する人もいる。

ダボスで開催されたImagination in Actionのイベントで、WorkHelix共同創業者のアンドリュー・マカフィーは、LogicMonitorのCEOであるクリスティーナ・コスモウスキーと、この種の意思決定について語り合った(Imagination in Actionは、スイス・ダボスで開かれるサミットの枠内で行われるイベントで、筆者も運営に関わっている)。

「ボトムアップだけで、『とりあえず実験してみよう』という程度では、状況は動かないし、そんな時間はない」と彼女は自身の過去の経験を引きつつ述べた。「だから私は、『ここでは本当にトップダウンのリーダーシップが必要だ』と言った」

ただし、コスモウスキーは留保も付けた。

「それでもボトムアップのアプローチは必要だ」と彼女は述べ、同社では従業員が使えるようGPTを展開していると説明した。

「ボトムアップのエネルギーを取り込み、それを非常に明確なトップダウンの方向性とリーダーシップと組み合わせ、AIの新時代へ素早く移行するという素晴らしい機会がある」とマカフィーは後に付け加えた。

ロボットに追いつく

序盤でコスモウスキーは、人間がテクノロジーの後ろを追いかけ、追いつこうとする難しさについて語った。

「AIの世界では、流れ込んでくるデータ量と、そのデータの種類が、これまで見たことのない規模だ」と彼女は言う。「だから、それに人間が追いつくことは不可能だ。機械の速度では動けない。AIはこの高速で進んでいるのに、私たちのオペレーティングシステムはそのために作られていない。だから、これまでの変革とはまったく違う形で、物事を考えなければならない」

とはいえコスモウスキーは、LogicMonitorが顧客に提供している価値について前向きな姿を描いた。

「私たちは、すべての顧客に対してこれをやっている」と彼女は言う。「それについての考え方や、事業のレジリエンス(回復力)をどう捉えるかを、私たちは大きく変革している。このAI変革を通じて顧客を導かなければならないし、より速くイノベーションも起こさなければならない。そのためには、AIファーストの企業である必要がある」

そして彼女は改めて、そのスピードが驚異的だと指摘した。

「私たちの時代に起きている、情報面での最大の変革の中を、顧客を導かなければならない」と彼女は言う。「怖さがあり、速いペースで動き、緊急性もある。だからこそ、顧客を導く私たち自身が、本当に勇敢でなければならない」

2002年にSalesforceに在籍し、クラウドが立ち上がっていくのを目の当たりにしたコスモウスキーは、いまは賭け金が違うと考えた。

「賭け金ははるかに大きい」と彼女は言う。「事業にとっての存亡の脅威に関わる賭け金だ。世界のどこであれ、どんな業界であれ、どんな規模であれ、いま脅威にさらされていないビジネスはない。顧客にとっては、収益と評判に関わる賭け金で、これまでにないレベルだ」

会話の残りも多くは同様の流れで、2人はAI時代にどう実務的に前へ進むかを議論した。筆者の頭に浮かんだのは「ダブル・ピラミッド」だった。ひとつは頂点が下にあり、もうひとつは上の頂点から広がっていく(ダビデの星にも似ている)。この複雑な協調はどう機能するのか。ある企業において、誰がAIを「所有」するのか。するとマカフィーとコスモウスキーは、まさにこの点についてさらに踏み込んだ。

飛行機とAI

中盤でマカフィーは、AIと航空機開発を結びつけるアナロジーについて、かなり詳細な提案を始めた。

「人は『AIはXのようなものだ』と言うのが好きだよね」と彼は前置きした。「『AIは蒸気機関のようなものだ』とか『産業革命のようなものだ』とか。ある意味で、私はAIは飛行機に似ていると思う」

この考えを補うため、彼はウィルバーとオーヴィルのライト兄弟の仕事を引き合いに出した。

「1903年に運輸業界で働いていたり、国家安全保障に携わっていたりしたなら、2人の兄弟が『飛行機』と呼ばれるものを飛ばして、それが空に上がり、人間をそこに留めたという事実に、ものすごく興奮したかもしれない」と彼は言う。「そして少しでも注意を払っていたなら、『こりゃ世界が変わる』と思ったはずだ。世界中で人を移動させる方法も、物を運ぶ方法も、紛争に関わるやり方も、すべてが変わり、しかも急速に変わる、と」

初期には、飛行機への期待は大きかったが、飛行がどう機能するのかという詳細な理解に基づく周到なプロセスは乏しかった、と彼は説明した。そこから時代を進めると、航空管制官、高精度のシミュレーション、訓練などが整っている。

「人々に、何も分からないまま飛行機を飛ばせと言うのは、おそらく悪い考えだ」と彼は言う。

やがて規制も追いついたが、それには時間がかかった。

「今日のリーダーにとっての課題は、飛行機が登場し、次にジェット機、次にヘリコプター、次にドローン(無人機)、そして今度はドローンの群れが、次々と出てきていることに似ている。宿題は、自社がどう変革されるのかを見極めることだが、それは本当に難しい宿題だ。地形があまりに速く動いているからだ」

こうした課題に対しては、先回りできる有能なリーダーシップが企業に必要だと彼は述べた。

「非常に明確な目標と、非常に明確な期待値と説明責任がなければ、驚くほどの速さで物事は隙間からこぼれ落ちていく」と彼は言い、古いポルトガルのことわざとして「犬に飼い主が2人いると、飢える」と引用した。

そうした前提のもと、マカフィーとコスモウスキーは、少人数の中核的なパワーユーザー集団を持つことの有用性を議論した。コスモウスキーによれば、彼女は自社でおそらく最も熱心なGPTユーザーであるという。結びにあたり2人は、AIを使いこなす道筋を考えた。最も主体的に取り組む人々が、その成果を他者に広めていくという構図だ。

親愛なる読者に委ねたい。AIワークフォースの未来は、いったいどのような姿になるのだろうか。

forbes.com 原文

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