マーケティング

2026.03.03 21:12

AIが決める「誰が信頼されるか」──マーケティングの新たな門番をブランドはどう味方につけるか

stock.adobe.com

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AIの不具合に反応してダウ平均が小幅に乱高下する場面は最近もあったが、今月に入って間もなく、スーパーボウルはAIそのものをこれまで以上に消費者の目に触れさせた。マーケターにとって実行すべきより深い変化とは、AIがいま、どのクリエイターやブランドが可視化され、そして信頼されるかを決めているという点だ。

発見における新たな「門番」としてのAI、その輪郭はますます明確になっている。

その現実を凝縮された勢いで浮かび上がらせたのが、スーパーボウルだった。

全米向け広告枠のおよそ4本に1本(約23%)が、人工知能と直接結びついていた。AIが製品そのものである場合もあれば、メッセージを駆動する技術である場合もある。OpenAIとAnthropicはChatGPTとClaudeを大衆に向けて訴求した。GoogleとAmazonはGeminiとAlexa+を日常生活に組み込まれたアシスタントとして位置付けた。Metaは、AI対応スマートグラスを体験型テクノロジーとして披露した。

エンタープライズ向けプラットフォームも同様に目立っていた。Salesforce、Ramp、Rippling、WixはAIを業務効率化のツールとして打ち出した。Ringは、消費者向け製品の内部にある見えない知能レイヤーとしてAIを強調した。Svedkaはあるケースで、AIツールを用いて大部分を制作したとして自社CMを位置付けた。

AIが文化的瞬間を席巻した。

しかし本当の変化は広告費ではない。発見と権威を誰が握るのか、という点だ。

AIシステムは発見そのものをますます媒介するようになり、どのクリエイター、出版社、ブランドが表に出され、引用され、信頼されるかを決めている。マーケターにとって戦場は、検索で注目を勝ち取ることから、権威の領域で優位に立つことへと移った。

AIが機能する領域と消費者が反発する領域

その違いは、Zenni Opticalでアフィリエイトおよびパートナーシップ担当シニアマネジャーを務めるケイラ・カストロ氏との最近の対話で鮮明になった。

Zenniが2024年にAI活用をより意図的に進めた際、目的は創造性の自動化ではなかった。歴史的に実店舗での試着に依存してきたカテゴリにおいて、摩擦を減らすことだった。

最初のテストは、AI生成によるモデル画像だった。

反応は即座に現れた。

「私たちはすぐに、当社のオーディエンスが眼鏡をかけたAIの人物を好まないことがわかりました」とカストロ氏は語る。「人々は、本物の人の顔で製品がどう見えるのかを本当に見たがっているのです」

高度にリアルな画像であっても、不快感を引き起こした。多くの消費者にとって、その体験は人工的に感じられた。

Zenniは迅速に軌道修正した。人間をシミュレートするのではなく、AIの活用を製品発見へと振り向けた。数千SKUにわたる3Dイメージングを構築し、バーチャル試着ツールを改善し、顔型や好みに基づいてスタイルを絞り込めるよう消費者を支援した。

「AIをマーケティングツールとして使うことから、製品発見と体験のしやすさへと、より重心を移しました」とカストロ氏は説明する。

教訓は明白だ。AIは体験を高められる。しかし真正性を作り出すことはできない。

Z世代はAIツールに精通しているかもしれないが、精通は信頼と同義ではない。AI生成コンテンツが増殖するなかで、目に見える人間の存在が、ますます信頼性のシグナルとなっている。真正性はノスタルジーではなく、戦略である。

AIの静かな権力移動:権威とパートナーシップ

ZenniにとってAIが予想外に強力だったのは、クリエイティブ制作ではなかった。パートナーの発見だった。

消費者がAIシステム内で眼鏡や目の健康についてより微妙な質問をするようになると、Zenniはそれらのシステムがどの情報源を引用しているのかを調べた。そこで、同社がこれまで検討していなかったアフィリエイトの機会が浮かび上がった。

カストロ氏は、AI生成の回答が眼鏡に関連するFox Newsの記事を繰り返し参照していることに気付いた。その時点で初めて、Zenniは同社がアフィリエイトプログラムを開始していたことを知った。ホリデーシーズン前に参加手続きを済ませたところ、提携は測定可能な成果を生み始めた。

「それは、それまで私たちのレーダーに入っていなかったパートナーでした」と彼女は語る。

消費者はいまや、検索エンジンにぶっきらぼうで取引的なクエリを打ち込むだけではない。文脈を伴う会話的な質問を投げかけ、統合されたガイダンスを期待している。AIシステムは、信頼できる出版社、専門家レビュー、アフィリエイト対応コンテンツから引きながら応答する。

購買への道筋は圧縮されている。かつては複数回のクリックが必要だったことが、いまや単一のAI生成回答の中で起きることが多い。その環境では権威が複利的に蓄積される。最も一貫して引用されるブランドやクリエイターが、不釣り合いな可視性を得る。

規模と信頼の問題

インフルエンサーマーケティングには、AIが解決していない制約がなおある。人間の稼働余力だ。

Zenniは、常時稼働の成果報酬型アフィリエイトモデルを通じて数百人のインフルエンサーと協業している。しかし、より深いキャンペーン関係となると、候補は急速に絞り込まれる。

「インフルエンサーは何百万人もいます」とカストロ氏は指摘する。「しかし難しいのは、そのうちどの10件の関係が、時間とコストをかけて意味のある形で築く価値があるのかを見極めることです」

AIは、コンテンツ履歴とブランド適合性に基づいて何千ものクリエイターを管理可能な短いリストへと絞り込むことで、その選別を助ける。だが最終判断は人間に残る。

AIは選別をスケールできる。信頼はスケールできない。

プラットフォームが見ていて、ブランドが見落としがちなこと

プラットフォーム側から見ると、impact.comのCEOであるデイブ・ヨバンノ氏も、同じ緊張関係が規模を伴って展開していると見ている。

彼はAIをパワーツールだと表現する。手作業のリサーチより速く、効率的だが、熟練したオペレーターに依存する点は変わらない。AI生成コンテンツがより一般的になるほど、人間の信頼性は価値が下がるどころか高まる。

大規模言語モデルは権威を発明しない。集約するのである。すでに信頼されているクリエイター、出版社、コミュニティが語っていることを浮かび上がらせる。つまりブランドは、AI生成の回答の中で自社がどのように見えているのか、そしてどの声がその回答を形作っているのかを理解しなければならない。

この環境では権威が複利的に蓄積される。購買への道筋は、ますますAIの回答そのものの中で完結するようになっている。

マーケターへの示唆

要点をまとめると、こうなる。

  • 文化は依然として注目を生む
  • クリエイターと専門家が注目を信念へと転換する
  • AIシステムが、どの声が可視化され拡張されるかを決める
  • パートナーシップが、信頼を測定可能な成果へと変える

先行するブランドは、AIかインフルエンサーかの二者択一をしているのではない。AIが発見と効率を駆動しつつ、人間が判断、真正性、関係性に責任を持つシステムを設計している。

カストロ氏の言葉を借りれば、「マーケティングとはストーリーであり、ストーリーは人によって語られる必要がある」

AIはスーパーボウルで放映枠を買えたかもしれない。だが、すべてのCMが終わった後も勝者を決めるのは、権威と信頼である。

forbes.com 原文

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