カタール国営の天然ガス企業は米国時間3月2日、中東で続く紛争のさなか、自社施設がイランによる攻撃を受けたとする事態を受け、液化天然ガス(LNG)の生産を停止した。
この動きは、米国時間2月28日に米国とイスラエルがイランに対して実施した空爆に続くものだ。これを受け、イランは報復として、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーン、サウジアラビアといった石油・ガス生産国の近隣諸国、イスラエル、そして米国の中東軍事基地への散発的な攻撃に踏み切った。
イランはまた、世界の石油・ガス輸送における主要な海上ルートの1つであるホルムズ海峡の航行を妨害すると脅迫している。世界の原油およびLNG供給の5分の1がこの海峡を通過している。 そのLNG供給の大半は、米国に次ぐ世界第2位の生産国であるカタールからのものだ。
QatarEnergyは3月2日の声明で「カタール国ラスラファン工業都市およびメサイード工業都市にあるカタールエナジーの操業施設に対する軍事攻撃により、カタールエナジーはLNGおよび関連製品の生産を停止した」 「カタールエナジーはすべてのステークホルダーとの関係を重視しており、入手可能な最新情報の共有を継続する」と述べている。
天然ガスの価格が急騰
ホルムズ海峡での混乱を受けてすでに上昇基調にあった天然ガス価格は、さらに上昇した。米国時間3月2日、オランダ先物市場における欧州の指標価格は25%高で寄り付いたものの、上げ幅の一部を縮小した。 しかしその後、さらに大幅な40%の上昇が続き、天然ガス価格は1メガワット時あたり40ユーロを超えた。これは2023年8月以来最大の日中上昇幅となっている。
英国では、4月渡しの天然ガスが米国東部時間3月2日午前7時時点で41%上昇して取引された。 カタールの主要顧客は南アジア、東アジア、そして欧州に集中している。今回のような供給途絶は、買い手が他の調達先を探さざるを得なくなるため、世界市場での価格上昇につながる可能性が高い。 この状況は、イスラエルの一部天然ガス生産施設が閉鎖されたことで、さらに複雑化している。この措置は安全保障上の予防策として発表された。
OPECは原油問題に対応
一方、中東危機による石油市場の混乱の可能性を受け、OPEC+の原油生産国グループは3月1日の会合で増産を発表したもようだ。
ロシア主導の一部産油国とサウジアラビアが主導する石油輸出国機構(OPEC)で構成されるOPEC+は、11月に増産を一時停止する決定を下した後、生産を引き上げると表明した。 2023年4月と11月に追加減産を発表していた8カ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、UAE、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、日量20万6000バレルの「生産調整」に合意したと発表した。 「この調整は4月に実施される。各国は引き続き市場状況を注視し、評価していく」と付け加えた。ただし、OPEC+が発表した声明では、増産の理由として中東危機への明確な言及はなかった。
米国東部時間3月2日午前9時21分時点で、ブレント原油の期近先物は危機を受けて8.84%上昇(+6.44ドル)し、1バレル当たり79.31ドルとなった。紛争以前は、今年の石油市場は供給過剰になるとの見方が広がっていた。
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