AIエージェントは素晴らしい。定型的で単調な作業を引き受け、人はより高次のビジネスニーズに集中できるようになる。膨大なデータセットを素早く精査し、関連する要点や洞察を引き出す。従業員や顧客とのコミュニケーションも個別最適化する。
いずれも優れた点だが、それが従業員の混乱を招く。自分の役割は何か、新たに加わったAIという同僚をどう扱うべきかが見えにくくなるのだ。以前の調査が示すように、管理職は慎重で、AIエージェントのチームを率いるという発想に二の足を踏んでいる。しかし、対象はエージェントだけではない。現実には、当面の間、管理職は人とAIエージェントからなる混成チームを率いることになる。不幸なことに、AI時代にはチームワークが忘れられた技術になりかねない。AIを中心に人間のチームワークを築くことは可能であるだけでなく、あらゆるAIの取り組みを成功させるうえで不可欠である。
そう語るのは、アンドレアス・ウェルシュだ。最新作『The Human Agentic AI Edge』で彼はこう述べている。「AIが確立された働き方のモデルを覆すとき、リーダーは自分自身のメンタルモデルだけでなく、チームメンバーのそれも進化させる必要がある。仕事が努力の問題ではなくなれば、目的が焦点に入る。AIが人間と同等の成果を生み出すようになれば、差別化要因は品質と提供スピードになる。報酬がタスクの達成に基づかなくなったとき、本当に重要なのはそのインパクトである」
これが、2020年代後半に向けて、あらゆる階層の管理職が直面する課題である。チームにAIやAIエージェントを取り入れることは多段階のプロセスであり、ウェルシュは次のように整理している。
- チームメンバーにAIの活用を促す:テクノロジーに関する経験を共有することで実現する。重要なのは、ウェルシュが「AIの利用は怠慢や無能のしるしではない」と述べている点である。
- 模範を示して導く:チームリーダーは現状を揺さぶる用意と意欲を持つ必要がある。ウェルシュは「AIが新しい働き方であることをチームメンバーに示せ」と述べる。「模範を示して導き、チームメンバーの取り組みを可視化し、会議の場でその革新性を認めることが重要だ」。ウェルシュは、リーダーがAI利用を促すと、従業員がAIを使う可能性は2倍になり、仕事に有用だと感じる可能性は6倍になるというギャラップの調査を引用している。
- AIをいつ、どこで、どのように使うかの期待値を設定する:「たとえば、自分自身の調査、検証、専門知識と組み合わせて、アイデアの生成や洗練にAIツールを使うとよい」とウェルシュは促す。AIが生み出した成果物も、他のあらゆる成果物と同様に扱うべきだ。チームメンバーがいつAIエージェントに委任すべきか、いつAIからのインプットを求めるべきか、いつ独力でタスクを完了すべきかを明確にし、透明性を確保する。
- AIを含むすべてのアウトプットについて、各チームメンバーの説明責任を担保する:「十分に良い」とAIツールが、より少ないリソースでより多くをこなすための新たな近道になりつつあるいま、その期待を伝えることが鍵となる。
- スキル向上を提供する:チームメンバーがAIエージェントを実際に使い、課題と機会を理解するために不可欠である。ウェルシュは、研修ニーズはステークホルダーのグループによって異なり、スチュワード、オーケストレーター、ビルダー、マルチプライヤー、日常的な利用者まで幅があると助言する。
- 「チームAI憲章」を作成する:ウェルシュによれば、この基礎文書はチームメンバー全員の期待値をそろえ、日々の業務でAIをどう使うかを定義する。憲章の目的は、期待値を設定し、チームのAI戦略の目的を明確化し、品質基準を定め、最終的に「なぜAIを使うのか、そしてどこで利用を止めるべきか」を定義することにある。
AIとAIエージェントの台頭は、畏敬と恐怖が入り混じる反応をもたらした。熟慮された責任あるAIへのアプローチは、誰もが最良の力を発揮できるよう後押しするだろう。



