リーダーは従業員のフィードバックを求めていると言う。一方で、従業員は自分たちの声が届いていないと感じている。これは単なるコミュニケーション不全ではない。企業にとって、高い成果を出す人材や競争力、そして業績そのものを失うコストになり得る。
Harris PollとTuras Leadership Consultingによる最近の調査では、部長級以上のシニアリーダーの過半数が、「弱く見える」といった印象を含む潜在的な反作用を懸念しなければ、重要な意思決定について従業員の意見をより頻繁に求めると回答した。さらに、シニアリーダーの90%は、会社に関する建設的なフィードバックをチームからもっと頻繁に共有してほしいと答えている。
それでも、働く人々は、自分の考えを伝える余地が与えられていないと感じることがある。TalentLMSとWorkTangoの調査レポート「Organizational Change: Cracks in the Transformation Playbook」によれば、従業員の約半数が、組織変革の影響についてフィードバックを求められなかったと答えている。
こうしたコミュニケーションの断絶は、企業が優秀な人材を失う原因になり得る。Gallupの調査では、自ら退職した従業員の45%が、上司からキャリアの将来、仕事の満足度、役割への期待について一度も話し合われなかったと回答している。こうしたケースでは、より良い傾聴の戦略が離職を減らせた可能性がある。
一方で、この断絶の「逆側」にも同じくらい重要な事実がある。強い傾聴の実践を築いた組織は、測定可能な競争優位を得るのだ。
従業員フィードバックを聞き、行動に移す企業は、そうでない企業を上回る
従業員の声を聴く戦略が強固な組織は、そうでない組織を上回る傾向がある。従業員向けピープルアナリティクス・プラットフォームであるPerceptyxのレポート「The State of Employee Listening 2025」によれば、従業員サーベイ、クラウドソーシング、1on1、行動観察に基づく傾聴などからデータを集め、実際に行動へつなげるといったベストプラクティスを採用する企業は、主要なビジネス目標と人材目標を前進させる可能性が9倍高い。
さらにPerceptyxの4段階の成熟度モデルは、散発的なフィードバックを受け取る段階(ステージ1)から、継続的な従業員インサイトを獲得し意味のあるインパクトを生む段階(ステージ4)へと、組織がどのように進化するかを追跡している。Perceptyxは、成熟度がステージ4の組織は、財務目標を達成し、人材を維持し、変化に適応する可能性が6倍高いことを見いだした。要するに、傾聴戦略をどれだけうまく適用できるかは、組織のパフォーマンスと直結している。
「欲しい」から「やる」へ:従業員フィードバックを求め、行動に移す方法
従業員フィードバックを聴き、行動に移す企業はより良い成果を上げているにもかかわらず、多くの組織がこの優位性を活かしきれていない。「弱く見える」ことへの懸念や、既存の方針がないといった理由で、フィードバックを求めたいのにためらうリーダーは、事業成長にとって重要な機会を逃している。朗報もある。従業員の声を聴くことは、難しく途方もない作業ではない。実証済みの手法を備えた体系的な実践であり、あらゆる階層のリーダーが採り入れられる。
まず企業は、全社的なAI導入のような急速な変革施策が、リーダーにどれほどのプレッシャーを与えるかを認識すべきだ。Turas Leadership ConsultingのCEO兼創業者であるEmily Scherberthは同社の調査の中で、それはリーダーシップスキルの問題ではなく、「変動性、不確実性、複雑性、曖昧性を背景に、いかにリーダーを育成するか」の問題だと指摘している。
Scherberthが付け加えるところによれば、職場が揺れ動く局面でリーダーが従業員とつながる力を高めるには、「何をすべきか」を教えるだけでなく、「状況がますます困難になる中でも、持続的に実行できる内的な力を築く」ための支援が必要だ。この内的な力を築くことが、弱く見えることへの恐れを乗り越え、真の傾聴に必要な自信ある脆さへと踏み出すことを可能にする。
さらにPerceptyxはレポートで、従業員フィードバックを聴き、行動に移す力を高めるための6つのステップを提言している。すなわち、明確な傾聴目標を設定すること、フィードバックを事業戦略と結びつけること、経営層の支援を確保すること、複数のチャネル(従業員サーベイ、1on1、クラウドソーシングなど)で聴くこと、分析能力に投資すること、そして重要なのは、上意下達だけでなくボトムアップで行動を促すことである。本当の変化は、フィードバックが上に吸い上げられ経営層が処理するだけの状態では起きない。あらゆる階層の従業員が、自分たちが聞き、経験していることにもとづいて行動できるときに起きる。
リーダーは、強く見せることと、真に耳を傾けることのどちらかを選ぶ必要はない。従業員も、自分たちの声が届かない状態をこれ以上受け入れるべきではない。先行する組織は、リーダーがチームに意見を求め、それにもとづいて行動し、その過程で従業員の力を引き上げる組織である。
手引きはすでにある。ビジネス上の根拠も明白だ。次に必要なのは、意図を実装へと移し、従業員の声を聴くことを真の競争力に変える仕組みとリーダー育成へ投資することである。



