AI

2026.03.03 08:22

「発明者」の再定義:AI時代の特許取得で知っておくべきこと

AdobeStock

AdobeStock

昨年、米国特許商標庁(USPTO)は、AI支援による発明における発明者認定に関する改訂ガイダンスを公表し、2024年2月のガイダンスを撤回した。改訂文書は文言を明確化しただけではない。発明プロセスでAIが用いられる場合に、発明者認定をどのように分析すべきかを根本から変更したのである。

とりわけ注目すべきは、USPTOが共同発明者を判断するためのPannu v. Iolab Corp.に基づく3段階の枠組みから離れた点だ。新ガイダンスはその代わり、人間による「着想(conception)」のみに焦点を当てる新たなテストを提示している。この変更は、AIシステムを用いてアイデアを生み出したり、技術的解決策を提案させたり、設計の代替案を探索したりするあらゆる企業や研究グループにとって重要な含意を持つと、私は考えている。

「重要な人間の貢献」から「着想のみ」の基準へ

Pannu要素に基づく従前の発明者認定ガイダンスでは、その他の考慮事項に加え、発明の着想または実施への還元(reduction to practice)に何らかの重要な形で寄与した者は発明者に該当するとされた。平たく言えば、発明者認定は「重要な人間の貢献」に基づいて行われ、その貢献は、初期のアイデア創出、概念の洗練や絞り込み、実験、修正や代替案の確立、あるいは実施への還元など、発明者認定のライフサイクルのさまざまな段階で認定され得た。

これに対し改訂ガイダンスの下でUSPTOが問うのは、自然人が、請求される発明の完全な着想を有していたかどうかだけである。ガイダンスはこのテストを次のように定義している。「問題は、自然人がクレームされた発明のすべての限定事項について、『発明者の心の中で明確に定義され、大規模な研究や実験を行うことなく、通常の技能のみで発明を実施化できる』ほどの知識を有していたかどうかである」

従来、イノベーションは連続体の中で生じ得て、複数の段階にまたがり得た。すなわち、着想とアイデア創出、概念の定義や絞り込み、実験、修正や代替案の確立、そして最終的な実施への還元である。これらのいずれの段階においても重要な人間の貢献が示されれば、発明者認定は成立し得た。いまや発明者認定は、着想段階で発明者が何をしたかのみによって全面的に決定される。

実験や実施への還元における重要な人間の貢献は、いずれも重要ではなくなる可能性がある。さらに、十分な着想には、発明者が「発明を特定して記述」できることが求められる。したがって、現行のUSPTOの発明者認定枠組みの下で発明者となるには、発明全体を特定して着想していなければならない。

完全な発明が人間の頭の中で形成されているかどうかを重視するこの考え方は、アイデア創出におけるAI利用の全体に、AIの利用が発明者認定の分析にどう影響し得るかという観点から疑義を投げかける可能性がある。

アイデア創出におけるAIの役割

当然ながら、発明者が発明を着想する方法は、例えばトーマス・エジソンの時代に、問題を考え、ほとんど助けを借りずに解決策を考案して電球を着想した、といった過去の発明者の姿とは異なる。今日の世界では、発明者は技術課題の調査や、技術課題に対する解決策の提案、ブレーンストーミングなどにAIを用いることが少なくない。

実際、アイデア創出におけるAI利用は、創薬と開発、大量生産製品、ソフトウェアアーキテクチャ、消費者向け製品デザインに至るまで、業界や技術分野を横断して広く浸透している。生成モデルは、新たな構造、構成、ユースケース、技術的アプローチを提案するために産業全体で日常的に用いられ、その後、人間のエンジニアやプロダクト開発者、デザイナーがそれらの新しい概念を評価し、洗練し、実装している。

多くのクリエイティブ産業では、生成AIの利用はイノベーションプロセスの一般的かつ日常的な一部であり、大幅な効率向上と結び付けられ、複数の技術分野にわたって研究開発を加速させてきた。

しかし、新たな発明者認定テストの下では、イノベーションプロセスの着想段階でAIを用いた、すなわちAIを使って技術課題への解決策を提案させた場合、発明者認定に関して実質的な問題が生じ得る。

AI駆動のイノベーションにおける中心的な問い

特許取得を目指す企業や事業者にとって、発明者認定の問題は結局のところ、これに尽きる。何がクレーム(請求)されているのか、である。特許の発明者認定は、開示(disclosed)された内容ではなく、クレームされた内容に基づいて決まる。

発明者認定テストの下では、発明者がクレームできるのは、特定して着想され、かつAIの助けを借りずに着想されたものに限られる。したがって、発明の着想段階における人間の貢献を記録として残し、その人間の着想がクレーム対象とどのように一致するのか(ここでも「特定して」)を文書化することは、多くの企業にとって、イノベーションのライフサイクルにおける価値あるステップとなるだろう。

ここに記載された情報は法的助言ではなく、特定の事項に関する弁護士の助言に代わるものではない。法的助言については、具体的な状況について弁護士に相談されたい。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事