この問題には政治的な側面もある。
ドナルド・トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニアは、2025年8月にポリマーケットに出資し、アドバイザーに就任した。出資額について暗号資産専門ニュースメディアのザ・ブロック(The Block)は「数千万ドル」と伝えている。トランプ・ジュニアの就任後、トランプ政権はポリマーケットの運営に関するジョー・バイデン前政権時代に司法省とCFTCがそれぞれ着手した2件の調査を打ち切った。
マイク・レビン下院議員(民主党)によると「司法省とCFTCは、ポリマーケットに対する積極的な調査を行っていたが、トランプ大統領の就任後に中止された」という。民主党は利益相反の可能性があるとみており、政権関係者が米軍の作戦の事前情報をもとに利益を得ている可能性を指摘する声もある。
ポリマーケットの疑わしいウォレットと米政府高官・政治家を結びつける証拠は公には出ていない。アカウントの背後にいる人物の正体は不明のままだ。
ブロックチェーンが示すもの
オンチェーンデータから把握できるのは取引そのものの手法だ。予測を的中させたウォレットの行動には一貫したパターンがある。新規ウォレットに資金を投入し、特定の日付に大きな賭けを行い、隣接する日付で小規模な賭けを行って、後は待つというものだ。
2月28日の市場では、この日までに米国がイランを攻撃するという予測に「YES」のシェアを購入した上位20人のポジションが4万2000~6万2000ドルだったのに対し、「NO」シェアを購入した上位アカウントは、より幅が広く多様なポジションを取っていた。最大の損失額は103万ドル(約1億6200万円)に達した。
「YES」派の対称性は、同じ取引タイムスタンプや最小限の取引履歴と相まって、協調行動があったことを示唆している。その協調が、機密情報へのアクセスを伴うものか、あるいは軍事計画に精通した人脈を持つ情報源によるものなのかは、CFTC、米連邦捜査局(FBI)、そしておそらく米議会が解明すべき課題だ。
賭けは決着した。ウォレットには資金が投入された。そして、誰が賭けを行ったのか、どうやって正しい予測結果を知ったのか──その答えが公になることは、永遠にないかもしれない。
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