実際に取り締まりを行う上での障壁は大きい。ポリマーケットはオフショアで運営されており、ジオフェンシングによって米国内ユーザーをブロックしているが、この制限には多くの抜け道がある。また、2010年に制定された通称「エディ・マーフィー・ルール」(CFTC規則180.1)は、理論的には予測市場のインサイダー取引の訴追に利用できるが、これまでにその判例は1件もない。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とバンダービルト大学の法学者らは、予測市場において「十分な情報を持つ」トレーダーと「違法な情報を持つ」トレーダーの法律上の線引きは未定のままだと指摘している。
CFTCの職員数は、証券取引委員会(SEC)の約8分の1しかおらず、マイケル・セリグ委員長は、取り締まりを行うよりも規則の制定を優先する意向を示している。
こうした中、ジェフ・マークリー上院議員(民主党)ら12人の超党派議員団は2月24日、軍事行動や人の死に関連する予測市場契約の禁止を求める書簡をCFTCに送った。また、2月28日の攻撃を受けてクリス・マーフィー上院議員(民主党)も別途、立法化を要請した。下院ではリッチー・トーレス下院議員(民主党)が予測市場における政府機密情報の取引を連邦法に基づき犯罪とする法案を、少なくとも30人の下院民主党議員と共同で提出している。
ポリマーケット側の主張
ポリマーケット側は、インサイダー疑惑と自社の法的リスクに関して異なる見解を持っている。シェーン・コプランCEOはCBSの報道番組「60ミニッツ」で、「人々が市場に参入し、優位に立つのは良いことだ」と述べ、「どこで線引きをするかは非常に明確かつ厳格に」同社が試みていると付け加えた。
番組内でコプランはポリマーケットを「人類が現在有する最も正確な手段」と表現。また、ニュースサイトのアクシオスには「市場に情報を開示する経済的インセンティブを生み出す」プラットフォームだと語っている。
競合する予測市場プラットフォーム大手カルシは今回、ポリマーケットとは異なる対応を取ったが、こちらも議論を呼んでいる。カルシは2月28日のイラン攻撃後、取引高3600万ドルに達していたハメネイ師の死亡をめぐる契約について、取引を停止し、手数料を全額返金した。


