米国は再び中東で戦争状態に入った。ドナルド・トランプ米大統領は、米軍とイスラエル軍によるイランへの合同軍事作戦が同国に自由をもたらし、中東を安定化させると主張している。だが、初期の兆候は、米イスラエル両軍の攻撃により平和と安定がさらに遠のくことを示唆している。紛争は既に拡大し、イスラエルの都市や中東各地に駐留する米軍、湾岸産油国に対する報復攻撃を引き起こしている。
トランプ大統領は、イランが核開発を巡る協議を迅速に進めていないことに満足しなかったとして、米国の行動を正当化している。同大統領は、イランが核開発計画を再構築しながら、欧州の同盟国や外国に駐留する米軍を脅かす長距離ミサイルの開発を継続しており、「間もなく」米本土にも到達し得ると主張した。しかし、この発言は、イランが長距離ミサイルを製造できる能力を獲得するまでには何年もかかるという2025年の米政府の評価と矛盾している。
致死兵器の拡散を阻止するという名目で、現在のイラン政権を武力で排除することは、混乱や紛争を招くだけで核不拡散を実現することにはならない。2003年のイラク戦争は、イラクが核兵器や化学兵器、生物兵器を保有しているという米国の誤った主張がきっかけで始まった。米ホワイトハウスは、イランの核兵器取得を阻止するために軍事力を行使することに伴うリスクについて再考すべきだった。
「核武装したイラン」という脅威からわれわれを救うためのトランプ大統領の戦いによる影響は、既に中東全域に及んでいる。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が米イスラエル両軍の攻撃で死亡した。米人権団体「人権活動家通信(HRANA)」によると、イランでは南部の小学校で100人以上の生徒が死亡するなど、多数の民間人の犠牲者が出ている。トランプ大統領は、米イスラエル両軍の合同軍事作戦によりイラン指導者48人が死亡したと主張しているが、完全には確認されていない。
これに対し、イランの報復攻撃はイスラエルや周辺地域の米軍基地だけでなく、キプロス、カタール、バーレーン、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)といった近隣諸国にも及んでいる。UAEでは、高級ホテルやドバイ国際空港などの民間施設が標的となっている。



