暗号資産

2026.03.02 17:23

Crypto.comが米国連邦銀行免許に王手、暗号資産カストディ競争が新局面へ

Ascannio - stock.adobe.com

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2026年2月23日、Crypto.comは条件付き承認を、米通貨監督庁(OCC)から受けた。デジタル資産のカストディ(保管)および受託者(フィデューシャリー)サービスに特化した「米国ナショナル・トラスト・バンク」の設立に向けたものだ。Research and Marketsによれば、デジタル資産カストディにおける機関投資家資金は昨年、8000億ドルを超えた。そして、それを取り込むためのインフラ競争は、いま転換点を迎えた。

投資家にとっても、エコシステム全体で構築を担う人々にとっても、これは注視すべきシグナルである。

ナショナル・トラストの認可がCrypto.comにもたらすもの

カストディは、機関投資家によるデジタル資産採用において最も重要なインフラ層である。年金基金、大学基金、資産運用会社は、ガバナンスおよびコンプライアンス基準を満たすために規制下にあるカストディアンを必要としている。多くの機関投資家は、まさにこのような連邦レベルの枠組みが整うのを待ち、様子見を続けてきた。

ナショナル・トラスト・バンクの認可は、Crypto.comに連邦の監督をもたらし、州ごとのライセンス取得という煩雑な手続きを不要にする。複数の管轄にまたがる顧客へのサービス提供において、単一の規制枠組みが適用されることになる。さらに、デジタル資産の決済、監督下でのステーキング支援、機関投資家ポートフォリオ向けに設計された構造化カストディの提供への道も開く。

競争圧力は即座に生じる。Coinbase Custody、BitGo、Fireworksは、連邦の銀行資格を備えたライバルと向き合うことになる。この地位に並ぼうとする競争は、業界全体で認可申請の波を誘発しかねない。

Crypto.comの次の一手

条件付き承認は、暗号資産企業が直面し得る段階のなかでも最も厳しい局面の1つを開始させる。最終的な認可を得るには、Crypto.comは自己資本の十分性、ガバナンス、リスク管理、マネーロンダリング対策(AML)統制、業務のレジリエンス(強靭性)をめぐるOCCの要件を満たさねばならない。連邦の銀行監督とは、終わりのない継続的な検査を意味する。

Anchorage Digitalの歩みは、困難と報酬の双方を示している。Anchorageは連邦の認可を受けた暗号資産特化型銀行の先駆けとなり、その後、コンプライアンス上の不備に関連して同意命令を受けた。コンプライアンス基盤への多額の投資を経て、Anchorageはその同意命令を解消した。暗号資産と連邦監督が両立し得ることを、同社はいま証明したのである。その結果は、Crypto.comがたどるべきロードマップとなる。

Crypto.comとDeFiの橋渡し

デジタル資産コミュニティにとって興味深いのはここからである。ステーキングを支援する連邦監督下のカストディ・プラットフォームは、機関投資家資金がオンチェーン利回りに参加するための規制された入口となり、大規模な資金解放をもたらし得る。

Crypto.comが、連邦認可を受けた主体を通じて、機関投資家に対しステーキング報酬、リキッド・ステーキングのデリバティブ、あるいは構造化されたDeFiエクスポージャーへの準拠したアクセスを提供できるなら、オンチェーン・プロトコルの対象市場は劇的に拡大する。規制されたゲートウェイは、機関投資家の流動性をDeFiへと導き、その流動性は、エコシステムが長年目指してきた規模でのプロトコル採用を加速させる可能性がある。

Crypto.comは「波」が「潮流」になった動きの一部である

Crypto.comは、連邦認可を確保するデジタル資産企業の急増するグループにおける最新例である。2025年12月、OCCはCircle、Ripple、BitGo、Fidelity、Paxosに対し、5件のナショナル・トラスト・バンク認可を条件付きで承認した。Stripeのステーブルコイン子会社Bridgeは先週、条件付き承認を受けた。CoinbaseとWorld Liberty Financialも申請を提出している。

この波を駆動した規制上の触媒は2つある。2025年5月、OCCはナショナル・バンクが顧客の暗号資産を保有できることを確認した。7月にはGENIUS法の署名により、ステーブルコインの発行と取引に関する連邦の枠組みが確立された。これらの動きが相まって、デジタル資産を銀行システムへ統合するうえで、業界がこれまでに見たなかで最も明確な規制ルートが形成された。

この勢いは、伝統的金融にも見逃されてはいない。米国銀行協会(American Bankers Association)とBank Policy Instituteは、要件が関係するリスクに適切に合わせ込まれていない可能性があるとして、OCCに対し、認可承認のペースを落とし透明性を高めるよう求めた。前進を図る暗号資産企業と、反発する伝統的銀行との緊張関係は、今後何年にもわたり規制環境を形作ることになる。

Crypto.comと、次に注視すべき点

Crypto.comには、この認可が約束を果たすかどうかを左右する3つの試験が待つ。第1は実行である。条件付き承認の期限内に、資本、ガバナンス、AML統制に関するOCC基準を満たせるか。第2は規制の明確性である。政策当局がデジタル資産トラスト・バンクに一貫した枠組みを整備するのか、それとも重要な論点を未解決のまま残すのか。

第3は競争上の反応である。すでに約10社が連邦認可の取得を目指す、あるいは保有するなかで、カストディの競争環境そのものが再編されつつある。銀行水準の基準でカストディを解決する企業が、機関投資家向けデジタル資産の次の時代を定義する。この認可は、Crypto.comをその一角を担う立場へと押し上げた。

forbes.com 原文

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