あらゆる職業を更新せよ!──既成の概念をぶち破り、従来の職業意識を変えることが、未来の社会を創造する。「道を究めるプロフェッショナル」たちは自らの仕事観を、いつ、なぜ、どのように変えようとするのか。『転職の思考法』などのベストセラーで「働く人への応援ソング」を執筆し続けている作家、北野唯我がナビゲートする(隔月掲載予定)。
北野唯我(以下、北野):どうして匿名で活動を?
のらえもん:実名を出せば、どうしても人間関係やビジネスへの配慮が生まれて、言葉に「手心」が加わるからです。マンション販売は多額の広告費が動く業界ですから、純粋に「好き」の発信者が、いつしか商売への誘導となることも多いです。
北野:匿名であることが、独立性の担保になる。
のらえもん:僕は「東京湾岸エリアに棲む妖精」を名乗っているし、実際にタワマンの一棟に住んでいます。近隣住民による「のらえもん」認知率は6割を超えているので、顔出しすると家族を含めて影響が大きすぎます。休日は誰にも知られず「ららぽーと豊洲」で買い物を楽しみたいんですよ(笑)。
北野:ネット上では今日もってきてもらったお面のキャラクターで活動されていますね。
のらえもん:このキャラが語るほうが、情報がポップかつスッと届けられます。マンションは高額だからこそ、プライドやヘイトを生むことがある。マンション評論という、ともすれば地域批判や対立を起こしかねない話題を「エンターテインメント」として成立させるアイコンのつもりです。
北野:今のキャリアが誕生したきっかけは?
のらえもん:2011年の東日本大震災です。当時のタワマンバッシングは本当にひどかった。浦安で起きた液状化現象と結びつけて「人が住める場所ではない」とあらゆるメディアにたたかれました。僕はその前から湾岸エリアのタワーマンションを購入していたので、親や親戚、職場の人にまで心配されました。家って「購入したら祝福されるもの」だと思うんですよ。でもあの時、 僕の買い物を喜んでくれる人がいなかった。それなら自分が住むエリアを肯定するメディアを自分の手でつくろうと考えたのです。
北野:東京オリンピックの影響はどうでしたか。
のらえもん:IOCのロゲ会長(当時)が、13年に「TOKYO 2020」と書いた紙を出した瞬間から空気が変わりました。熱視線と兆円規模の投資が一気に湾岸エリアに注がれましたから。単にマンション好きの備忘録だった僕のブログにも熱狂の余波が来て、PVは一気に10倍。15年に初の著書を出したころマンションブロガー同士でつくったプラットフォームの発起人にもなったし、ブログ外での活動が増えました。21年にはプロ化を宣言して、相談は有料、講演はギャラをいただく形式にしています。



