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2026.03.02 10:56

次の100年も繁栄は続くか?ビジネスリーダーが握る進歩の鍵

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豊かさの100年:次なる進歩の時代におけるビジネスリーダーの役割
クウェイリン・エリングラッド

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100年前の1925年、世界は今よりはるかに厳しい場所だった。人々の寿命は短く、所得は低く、機会ははるかに限られていた。この100年間で、人類の創意工夫と経済発展は、曽祖父母の世代には想像もできなかったほど日常生活を一変させた。今日、平均的な人の寿命は数十年も延び、数十億人が貧困から脱却した。

A Century of Plenty(豊かさの世紀)』において、私の同僚たちはマッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)が積み重ねてきた数十年にわたる研究を踏まえ、この進歩がいかにして実現したのかを検証し、さらに大胆な問いを投げかけている。すなわち、同じような100年をもう一度実現できるのか、という問いだ。

彼らの答えは「できる」である。ただし、彼らが「進歩の機械(progress machine)」と呼ぶものを意図的にアップグレードする場合に限る。

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同書は、進歩を偶然の産物ではなく、ひとつのシステムの結果として描いている。労働者とスキル、投資と発明、エネルギーと都市、貿易と市場──これらが企業と制度によって調整される。これらの要素が組み合わさることで、繁栄と生活の質において並外れた向上がもたらされてきた。

この機械の中心にあるのが企業である。

企業は単なる経済主体ではない。人材、資本、イノベーションを大規模に調整する「超人的なエージェント」である。科学的ブレークスルーを現実世界のインパクトに変換し、研究と事業運営を統合し、製品やサービスを市場に届ける。国の生産性成長の大部分に貢献しているのは、少数の企業だ。ドイツ、英国、米国の大企業8300社を対象としたサンプルにおいて、生産性の「傑出企業(Standouts)」は100社にも満たないが、成長の3分の2を占めている。彼らはイノベーションをスケールさせ、資本を最も価値の高い用途に再配分することでこれを実現している。

こうした傑出企業の重要性は、時代とともに劇的に高まってきた。今日の世界最大級の企業の規模、影響力、経済的な重みは、100年前の企業とは桁違いに大きい。例えば、フォーチュン500企業の売上高は世界GDPのかなりの割合を占めており、米国GDPに対する比率は1955年の40%から現在は66%に拡大している。これは、ビジネスがいかに深く経済的帰結と結びついているかを示している。企業は進歩の物語における中心的な主体なのである。

ビジネスリーダーにとって、この洞察は響くはずだ。成長は必然ではない。構築されるものである。

生産性の成長が繁栄を支えている。そして生産性は投資に大きく依存する。物的資本、デジタルインフラ、研究開発、スキル、組織能力への投資だ。企業が効果的に投資すれば、労働者は1時間あたりより多くの価値を生み出せる。投資を避けたり遅らせたりすれば、成長は鈍化する。

分岐点:新たな時代における意思決定

過去100年を振り返っても、真の転換点は数えるほどしかない。ゲームのルールが根本から変わった瞬間である。1940年代後半の戦後における制度のリセット、1970年代のマクロ経済とエネルギーの再編、そして1989年以降に訪れた「市場の時代(era of markets)」における地政学と市場の開放。いま、私たちは再びそうした転換点に立っている。

今日の混乱は現実であり、多面的である。ほぼすべての先進国で高齢化と若年人口の減少という人口動態の変化、地政学的緊張と分断の高まり、逼迫する財政、不均一な生産性成長、そして人工知能が牽引する急速な技術変化が起きている。制度への信頼や上方移動への確信は、世界の一部で弱まっている。サプライチェーンは再構築されつつある。エネルギーシステムは再設計されている。将来のスキルと仕事が変化する中で、働くことそのものが再定義されつつある。

環境がより不確実に感じられるのは驚くことではない。しかし、これはリセットの瞬間でもある。1989年以降の「市場の時代」を動かしたのと同じ力──イノベーション、投資、制度改革、ビジネスのダイナミズム──を新たな時代に向けて再構築できる。例えば人工知能や次世代ロボティクスには、電化やそれ以前の汎用技術が過去数十年でもたらしたように、生産性成長を意味のある形で加速させる可能性がある。人口動態の逆風は、労働参加率の向上、自動化の活用による生産性向上、スキルへの新たな投資によって緩和できる。

鍵となるのは意思決定である。

分岐点においては、リーダーの選択が結果を不釣り合いなほど大きく左右する。不確実性を前に企業は後退するのか、それとも能力構築に一層注力するのか。AIをコスト削減の手段として扱うのか、それとも成長エンジンとして位置づけるのか。政策の明確化を待つのか、それとも形成に関与するのか。

過去の時代において、変化に前のめりで取り組んだ企業──新技術に投資し、新市場に進出し、オペレーティングモデルを再設計した企業──は、次の成長サイクルの設計者として台頭した。古い均衡にしがみついた企業は、往々にして後れを取った。シームレスなグローバル化と豊富な労働力を前提に調整された戦略は、人口制約、地政学の複雑化、画期的技術が同居する世界には適合しないかもしれない。今日のリーダーシップには、構造的に異なる環境に向けて資本を再配分し、人材モデルを再考することが求められる。

豊かさを選ぶ

この100年間のような成長と経済発展をもう1世紀にわたって形づくり、駆動する機会は目の前にある。成長を動かす機械をアップグレードすれば、2100年までに、今日最も貧しい国々でさえはるかに豊かになり得る。

歴史は、企業が大胆に投資し、制度が市場を効果的に機能させ、リーダーが単なる維持ではなく構築を選ぶときに、進歩が加速することを示している。ビジネスリーダーは、資本を配分し、イノベーションをスケールさせ、人材を形成し、政策論争に影響を与えるという極めて重要な役割を担っている。

100年前、リーダーたちは電化、高速道路、国際貿易、科学的管理法に賭けた。今日の賭けは、AI、クリーンエネルギー、人的資本、強靱なサプライチェーン、そして制度の刷新である。

私たちが自らに語る物語は重要だ。欠乏の物語を選ぶこともできるし、可能性の物語を選ぶこともできる。次の「豊かさの100年」は自動的には訪れない。だが、この分岐点で正しい決断を下せば、それは手の届くところにある。進歩の機械をアップグレードするのは、私たち自身なのだ。

forbes.com 原文

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