VITUREはコンシューマー向けハードウェアにとどまらず、法人や医療分野にも進出している。昨年10月には、エヌビディアとスタンフォード大学医学部との共同プロジェクトを発表し、研究室のワークフロー最適化を目的に、ARとAI技術を融合させた取り組みを進めている。同プロジェクトはエヌビディアのジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)による基調講演でも紹介された。ワンによれば、今年3月に開催されるカンファレンス「NVIDIA GTC」において、新たにロボットアームを組み込んだデモが披露される予定だという。
今回の資金調達は、競合のXrealとの特許紛争が続く中で発表された。今年初め、ドイツの裁判所は「VITURE Pro」に採用されているバードバス光学系に関する仮差止命令を下し、同国内における製品販売が一時的に制限された。さらにXrealは、テキサス州においてもVITUREの米国事業を標的とした特許侵害訴訟を起こしている。これに対し、VITUREは米法律事務所Cooley LLPを顧問弁護士として起用し、中国で独自の法的手続きを開始してXreal側の主張に対して争う姿勢を示している。
ワンは訴訟の詳細については明言を避けつつ、次のような声明を発表した。「Xrealによる提訴への対応として、VITUREは自社の権利を守るべく、既に積極的な対抗手段を講じている。具体的には、中国国内でのXrealに対する特許侵害訴訟の提起に加え、同社がVITURE製品に関して行っている虚偽かつ有害な言説に対処するための対応も含まれる。当社は訴訟に巻き込まれることを望んではいないが、自社の知的財産権を保護し、正当と認められるあらゆる法的措置を追求することに躊躇はしない」。
VITUREの戦略は、ゲームやメディア視聴、さらに特定の法人向け用途など、実需が確立されたセグメントに軸足を置いている。過去6ヵ月で2億ドル超を調達し、IDCのデータでも米国市場でのシェア拡大が裏付けられるなか、同社は豊富な資金と活発な製品開発計画を背景に、2026年にさらなる成長を目指している。ディスプレイグラスがニッチなアクセサリーにとどまるのか、それとも広範な空間コンピューティング・プラットフォームへと進化するのか、業界全体がその行方を注視している。


