欧州

2026.03.02 08:00

冬季パラリンピック開会式ボイコット、欧州8カ国に拡大 ロシア参加に反発

ウクライナ侵攻で障害を負った自国のパラリンピック選手らとの記念撮影に臨むロシアのウラジーミル・プーチン大統領(中央)。2024年10月17日撮影(Contributor/Getty Images)

ウクライナ侵攻で障害を負った自国のパラリンピック選手らとの記念撮影に臨むロシアのウラジーミル・プーチン大統領(中央)。2024年10月17日撮影(Contributor/Getty Images)

国際パラリンピック委員会(IPC)6日、ミラノ・コルティナ冬季パラリンピックの開会式を開催する。10日間にわたる大会には、50カ国から600人以上の選手が参加する。選手たちはパラリンピックに参加することで、自国に誇りをもたらすことを願っている。

だが、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会と複数の欧州諸国の代表団は、今大会の開会式をボイコットすると表明した。これは、IPCがロシアとベラルーシの選手に対する出場禁止措置を解除し、パラリンピックへの完全復帰を認めた決定に対する反発とみられる。

2022年2月にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始した際、IPCをはじめとする複数の国際スポーツ組織は、ロシア人選手を競技会から排除すると発表した。ウクライナ侵攻を巡り、ベラルーシ政府がロシアへの支援を決定したことを受け、ベラルーシ人選手に対しても制裁が科された。これに伴い、ロシアとベラルーシの選手は2022年北京冬季パラリンピックに参加できなくなった。

ところが、ウクライナ侵攻が続いているにもかかわらず、IPCはロシアとベラルーシの選手に対する出場制限を段階的に緩和していった。まず、2024年パリ・パラリンピックを前に、IPCはロシアとベラルーシの選手に対し、中立の旗の下で出場することを許可した。これは、両国の選手が自国の国旗を掲げて競技に参加できないことを意味した。2025年9月には、IPCは両国の選手に対する出場禁止措置を解除することを決議。これにより、両国の選手のパラリンピックへの参加資格が完全に回復された。

IPCはロシアとベラルーシの選手に対する制限を緩和した唯一の国際スポーツ組織ではない。例えば、国際体操連盟は2024年、ロシアとベラルーシの選手に対する出場停止処分を解除した。国際柔道連盟、国際サンボ連盟、欧州体操連盟も2025年末、両国の選手に対する制限を撤廃した。処分解除の理由について、これらの組織は、ロシアとベラルーシの選手が自国政府の行った行為に対して罰せられるべきではないと説明した。

これに対し、スポーツ界や政界からは、これらの組織の決定に反対する声が上がっている。IPCがロシアとベラルーシの選手を全面的に復帰させると発表した際、ラトビアとドイツのパラリンピック委員会はIPCの決定を非難した。ウクライナ、ポーランド、北欧諸国、英国の政府関係者もこれに賛同した。こうした反発にもかかわらず、IPCは決定を覆さなかった。

これを受け、欧州各国のパラリンピック委員会や関係者が抗議の意思を示すため、ミラノ冬季パラリンピックの開会式をボイコットすると表明した。例えば、欧州委員会のグレン・ミカレフ・スポーツ担当委員は、今大会の開会式に出席しない。同委員はX(旧ツイッター)に、「ロシアがウクライナへの侵略戦争を続ける中、この紛争と切り離せない国家の象徴、国旗、国歌、ユニフォームの復活を支持することはできない」と投稿した。

ウクライナ、ポーランド、フィンランド、ラトビア、エストニア、チェコ、リトアニア、オランダの代表団も開会式への出席を見送ると発表した。これら8カ国の代表団は開会式には出席しないが、大会全体への不参加を示唆する動きは現時点では見られない。

こうした行動が何らかの効果をもたらすかどうかは不明だ。とはいえ、今大会の参加国の約5分の1に相当する代表団がボイコットを表明した意義は大きい。一方、スポーツ愛好家やウクライナ侵攻の状況を注視する人々は、今後数日間にわたる冬季パラリンピックで何が起こるのかを見守っていくことになる。ウクライナ侵攻の終結が見えない中、ロシアとベラルーシの選手参加を巡る議論が続く国際スポーツ界で、これが先例となるかどうかにも注目が集まるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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