経済・社会

2026.03.01 22:23

「AI世紀」を中央計画に委ねてはならない理由

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中央計画は悲惨な失敗に終わる。いつでも、どこでもだ。そして共和党が実践しても正当性を得ることはない。

右派寄りの媒体である『ワシントン・エグザミナー』に掲載された論説記事の見出しを考えてみよう。「トランプ、AI世紀の動力源として原子力に賭ける」というものだ。残念ながら、この論説は共和党の政治家たちが市場の知見を自らの狭い知識で置き換えようとしていることへの嘆きではなかった。

むしろこの論説は、トランプ大統領が最近ダボス会議の「エリート」たちに向けて、米国は「原子力に大きく舵を切る」と宣言したことを称賛していた。これは問題である。

トランプ大統領をはじめとする共和党員が人工知能(AI)と、目の前で展開しつつある「AI世紀」の可能性にこれほど熱狂している理由を考えれば、問題の本質が見えてくる。世界中で(そしておそらく宇宙空間でも)データセンターが急増していることが示すように、AI世紀がその可能性を実現するには膨大な電力が必要となる。

ここでトランプ大統領に対して、一見すると明白な疑問が浮かび上がる。AIがこれからの時代にとってそれほど重要であるなら、なぜそこに産業計画を重ね合わせようとするのか。

AIはいまなお黎明期の入り口にあるが、いくら強調しても足りないことがある。2022年11月29日(OpenAIのChatGPTがリリースされる前日)には米国人の99.9%が聞いたこともなかったものが、2026年には家庭で語られる概念にまで急速に飛躍した。これは驚くべき規模の民間セクターのイノベーションを物語っている。私たちのために働くだけでなく、私たちのために考えることができる機械。その経済的意味を立ち止まって想像してほしい。アダム・スミスが教えてくれる。

スミスは『国富論』の冒頭でピン工場を訪れた話を記している。彼が観察したところによると、そこで一人の男が単独で働けば1日に1本のピンを作れるかどうかだが、複数の男が専門的に分業して働けば、1日に数万本を生産できたし、実際にそうしていた。分業の意味について少し考えてほしい。そしてAIの潜在的な意味について考える前に。

エヌビディアのジェンスン・ファンCEOが明言しているように、AIは「労働」である。さらに重要なのは、AIは私たちのために働くだけでなく、私たちのために考えるということだ。そうなれば、何兆ドルもの価値を持つAI「思考者」と人間が思考を分業することで生まれる、無数の飛躍的進歩について現実的に考え始めることができる。陳腐な表現かもしれないが、未来は明るい。

だからこそ、AI世紀の動力源となるエネルギー形態を政府の力で強制しようとするトランプ大統領の狙いには、真剣に疑問を呈さざるを得ない。お断りだ。さらに言えば、原子力が必ずしもエネルギーの未来を代表するわけではない。

先月、米国エネルギー情報局は太陽光発電が米国の電力において最も成長の速い電源であると報告した。トランプ大統領を含む共和党にとってより重要かもしれないのは、未来の動力源に関する想定されるコンセンサスが、必ずしも想定通りではないということだ。最近、保守派の人気論客ケイティ・ミラーは、トランプ支持者の過半数が太陽光発電を支持しているという『Axios』の世論調査を引用した。そして『ブライトバート・ニュース』も、トランプ政権の元高官ケリーアン・コンウェイが実施した調査で、トランプ支持者の75%が太陽光発電の拡大を支持していることを示す結果を報じたばかりだ。

これらの調査結果について、いくら強調しても足りないことがある。真実は頭数を数えることで得られるものではない。つまり本稿は世論調査に依拠するつもりはない。しかし、情報と真実の創造者としての市場には依拠する。その観点から、ホワイトハウスの住人がエネルギー使用を計画すること、ましてや実際の市場が経済の未来にとって極めて重要と見なしている進歩(AI)のためのエネルギー使用を計画することは、自由市場とは程遠いのである。

forbes.com 原文

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