リーダーシップ

2026.03.01 21:51

五輪ホッケー決勝に見る、真のリーダーが持つ4つの資質

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日曜の早朝、スマホが鳴り始めた。

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カナダで過ごした時期の友人や、4年に1度だけホッケーを見るような同僚たちまで、皆が男子オリンピックのホッケー決勝を見ているはずだと思っていたのだ。

「面白いね……何が起きているのかは10%くらいしか分からないけど」と、ある人は言った。

カナダが敗れた後には、別のメッセージが届いた。「トム・ブレイディがスーパーボウルで負けるのを見るみたいだ」

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私はカナダに住んでいた。今は米国に住んでいる。だから、どちらを応援するかは単純ではない。

しかし今回の決勝は、単なるライバル史の1章以上のものだった。誇りと歴史と期待が、氷上の60分に凝縮された「1試合限りの国民投票」だったと言っていい。そして、これほど拮抗した勝負では、リーダーシップは抽象論ではない。シフトごとに、その姿が現れる。

1980年の五輪米国代表でキャプテンの「C」を付けたマイク・エルツィオーネはかつて、こう語った。「キャプテンとは信頼できる存在だ。すべてがうまくいっているときは率いるのは簡単だが、常にキャプテンでなければならない」

この定義は今も通用する。2026年の代表でオースティン・マシューズが「C」を託されたとき、彼もまた地に足のついた言葉で役割を語った。「自分の行動で示し、氷上でも氷上以外でも正しいことをするようにしている。ユニフォームに文字が付いていようがいまいが、リーダーでありたい」

日曜の試合では、あらゆるシフトに2つの国の期待がのしかかっていた。だからこそ、ロッカールームでのスピーチ以上に、そうした揺るがぬ存在感が重要だった。

マシューズの前に立ちはだかったのは、カナダのキャプテンで、競技屈指の支配力を持つコナー・マクデイビッドだ。彼はほぼ10年にわたり、期待の重圧を背負ってきたリーダーでもある。

マクデイビッドは19歳でエドモントン・オイラーズのキャプテンに指名された。当時彼は冗談交じりに、「そろそろ親元を出る頃かもしれない」と言った。家族と住宅ローンを抱える大人たちを率いながら、一方で敗戦後に家に帰れば母親から「大変な試合だったね。シーツ洗っておいたよ」と言われるのだ。

それでも、そのユーモアの下には、あらゆるリーダーが理解するものがあった。苦しい時間帯のあとロッカールームを見渡して、誰かが踏み出して何かを言わなくてはと思ったという。そこで気づくのだ。ああ、そうか。それが自分なんだ。

準備ができているかどうかにかかわらず、リーダーシップは求められる。

もっとささやかな話だが、私は23歳で新聞の編集長に指名されたことを思い出す。私の下には、子どもや住宅ローンを抱える記者やデザイナー、事務スタッフがいた。私はワンルームのアパートに住み、フロントガラスに大学の駐車許可証のステッカーが貼られたままのジープに乗っていた。

リーダーシップは、人が準備万端になるまで待ってはくれない。多くの場合、予期せずやって来る。そしてそのとき、チームは見ている。

では、あらゆる分野のリーダーはホッケーのキャプテンたちから何を学べるのか。4つの教訓を挙げたい。

1. リーダーシップは肩書ではなく、「引き受ける覚悟」である

マシューズは「C」を授与されたその日に、急に才能が増したわけではない。しかし、責任は増した。エルツィオーネもチームで最も有名な選手ではなかったが、最も信頼されていた。共通点は「自分ごととして引き受けた」ことだ。リーダーは、たとえ居心地が悪くても、結果への責任を引き受ける。

この五輪決勝でも、流れが変わり会場の熱が上がったとき、試合後に誰が質問に答えるのか、次のシフトで誰が基準を示すのかを、全員が分かっていた。ビジネスでも、厳しい四半期や失敗した施策のあとにチームがこちらを見る瞬間、同じ選択を迫られる。

2. 他者を率いる前に、まず自分を律する

マクデイビッドは、負けた痛みが勝つ喜びより重く感じられることがあると率直に語ってきた。だが同時に、キャプテンとしては舞い上がりすぎても沈み込みすぎてもいけないとも言う。感情の安定こそ、リーダーシップの中心にある。チームは責任者の振る舞いから合図を読み取る。あなたがパニックになれば、彼らもパニックになる。あなたが場を落ち着かせれば、託された人々は次に立ち向かう力を感じられる。

3. 優れたリーダーは、役割の中で成長していく

シドニー・クロスビー(彼もカナダで「C」を付けた)は、ロッカールームでは若手がベテランのすべてを見ていると語っている。言うことだけではない。準備の仕方や、プレッシャーへの反応もだ。そうした静かな「模範」が文化を形づくる。マクデイビッドも、初めて「C」を付けたときは重く感じたと認めている。ほぼ10年が過ぎたいま、彼はそれがまったく違う意味を持つと言う。初期は自分を証明することに必死だったが、いまはチームを鼓舞し、一緒に勝つことがテーマになっている。

4. 人間らしくていい

最高のリーダーは、成長が仕事の一部であり、傷が物語の一部であることを理解している。それらを燃料に変え、翌日にはより良くなると決めて現れる。

マクデイビッドのリーダーシップで最も清々しい点は、率直さかもしれない。子どもの頃、負けたあとに泣いたこと。第7戦で敗れた後に苦しんだこと。ホッケーと人生の他の喜びをどう両立させるか、いつも分かっているわけではないこと。そうしたことを彼は包み隠さず語ってきた。そして、キャプテンとして重要なのは、ホッケーのロボットではなく、人間であることだとも言う。

多くの組織では、リーダーは揺るがない存在に見せ、仕事に過剰に献身して私生活がないかのように振る舞う圧力を感じがちだ。しかし、信頼は完璧さから生まれるのでも、すべてを犠牲にした献身から生まれるのでもない。信頼は真正性によって築かれる。

氷上であれ職場であれ、リーダーシップは完全な自信から始まることはほとんどない。リーダーが一歩前に出て責任を引き受けるときに始まる。大勢が一斉にこちらへ視線を向ける瞬間、建設的な何かを口にする人が必要なら、それは自分でなければならないと悟る。

この最新のライバル対決は、プレッシャー下のリーダーシップが普遍的であることを思い出させる。ユニフォームを着ているか、スーツを着ているかは関係ない。いつか、期待という圧力を感じる局面が訪れる。

問うべきは、準備ができているかどうかではない。本当の問いは、それでも前に出るかどうかだ。

forbes.com 原文

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