ウクライナは現代史上類を見ないロシアの攻撃に耐えている。この国が存続できているのは高度で常に進化している「盾」のおかげであり、この盾は脅威の増大に応じて絶え間なく改良していく必要がある。
過去4年にわたりロシアが続けてきた戦略攻撃の規模は凄まじい。ロシアは前線付近で膨大な数の短距離爆弾を使用しているのに加え、ウクライナの都市などを1万3671発前後にのぼるミサイル、8万8218機前後に達する攻撃ドローン(無人機)で攻撃してきた。
ミサイル攻撃の頻度は、在庫の減少や、製造される端から発射される状態のため低下している。一方、飛来するドローンの数は、ロシアによる生産増強にともない、年を追うごとに劇的に増えてきた。2026年、ロシアが2月22日までに発射したミサイルは365発、攻撃ドローンはなんと1万815機を数える。
それでもウクライナは持ちこたえている。ロシアによる攻撃は増えているが、それを阻止する数もこれまで以上に増えている。
大規模で精密な攻撃
ロシアによるウクライナに対する戦略攻撃の規模と精度は、過去に例のないものだ。
第二次世界大戦中、ナチ・ドイツはV1飛行爆弾やV-2弾道ミサイルを用いて、類似の攻撃を英イングランドに対して行った。英国側で「ドゥードゥルバグ(ブンブン虫)」などと呼ばれたV1は、ジェット推進の「無人航空機」で、現代の攻撃ドローンの先駆けだ。V1の発射数はおよそ9500機、V2はおよそ1500発だった。
1980年代のイラン・イラク戦争の「都市攻撃戦」では、双方が互いに相手側の人口密集地を弾道ミサイルで攻撃した。イラクが発射した弾道ミサイルは600発弱、イランの発射数は200発弱だった。
1991年の湾岸戦争の間、イラクはサウジアラビアやイスラエルなどの国々に対してスカッド弾道ミサイルを発射したが、その数は100発に満たなかった。
これらの兵器の場合、命中精度もきわめて低かった。V1の平均ミスディスタンス(射弾が目標の中心から外れた距離)は約13kmもあり、V2も5km弱だった。都市規模の目標に当てるのがやっとという水準だった。イラクのスカッドの半数必中界(発射した半数の着弾が見込める範囲。CEP)もせいぜい1km程度だったとされる。



