経営・戦略

2026.02.28 11:56

取締役会から現場まで一貫させる「エクイティ重視のマネジメント」

AdobeStock

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組織のエクイティを実務として機能させ、ステークホルダーに持続的な価値を生み出すためには、取締役会で設定された目標が、日々の意思決定を導く指標と直接結び付いていることを、リーダーが確実にしなければならない。

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以前の記事で筆者は、ミッションとマネジメントの間にあるギャップを埋める必要性を強調した。これは、ステークホルダーに意図する価値をエクイティの観点で定義し、そのエクイティを社会的善としてのみ捉えるのではなく、貸借対照表の定義を用いて位置付けることを意味する。

筆者の30年のキャリアを通じて、社会的ミッション、オペレーション上の現実、財務パフォーマンスを包含し、長期的な価値創造へのコミットメントを備えた最適な戦略フレームワークを見つけるのに苦労してきた。その結果、取締役会、顧客、従業員、経営陣、市場の期待の間で不整合が繰り返し生じた。そこには常にトレードオフがあり、戦略イニシアチブの大半は短期的かつ漸進的だった。長期的価値をもたらしているようには見えなかった。

アライメント・フレームワーク

アライメント・フレームワークを開発する土台となったのは、あらゆる戦略が長期的で定量化可能な価値創造を支える形で構造化されていることを確実にすることである。

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財務パフォーマンス、オペレーション上の現実、組織の目的を別個の論点として扱う従来の戦略計画モデルとは異なり、本フレームワークは、義務を果たした後にステークホルダーのために生み出される残余価値として定義されるエクイティを、組織の全レベルを貫く統一指標として統合する。

アライメント・フレームワークは、相互に連関する3つのレベルを強調することで、戦略の一貫性を確保する。

1. 戦略レベル

2. マネジメントレベル

3. オペレーションレベル

戦略レベル

組織がエクイティの実装へと進むにあたり、ハイレベルな戦略を具体的で測定可能なエクイティ目標へと落とし込むことが不可欠になる。ミッションに基づく戦略を解釈の余地があるままにするのではなく、組織はそれらのコミットメントが実務上何を意味し、達成をどのように測定するのかを明確にすべきである。

例えば、「持続可能な成長」を重視する組織戦略を考えてみよう。この意図に明確さと焦点を与えるためには、持続可能な成長が測定可能な言葉でどのような姿なのかを定義しなければならない。

より実行可能なアプローチは、持続可能な成長を、年次のエクイティ成長率で特定の比率(例えば12%)を達成し、かつ負債資本比率を0.8未満の所定水準に維持することとして明示することである。この定量化により、SMART目標(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限がある)を策定できる。

志を数値目標へと落とし込むことで、組織は進捗を追跡し、説明責任を確保し、すべての活動を包括的なエクイティ重視のミッションと整合させることができる。

マネジメントレベル

筆者が見てきたところ、取締役会と経営チームの効果的な整合こそが、ハイレベルなエクイティ目標を日々の優先事項へと変える。両者が、実務において「エクイティ」が何を意味するかで一致していないと、期待はずれていく。取締役会はある結果が出ると考える一方で、経営陣は別の方向へ舵を切っている。そのギャップは、目標未達、部門リーダーの混乱、従業員や顧客のフラストレーションとして表面化する。

部門ごとの明確なエクイティ目標は、各機能がエクイティをどのように生み出し、守ることを求められているのかを具体的に示すことで、そのギャップを埋める。検討に値する部門別エクイティ目標の例を以下に示す。

・マーケティング:マーケティングのエクイティ目標は、新規口座数を増やすことではなく、顧客との関係ごとの価値を高めることにある。これは、顧客獲得コストを顧客が生涯にもたらすエクイティと照らして管理し、ブランドロイヤルティを強化し、マージンを維持する価格決定力を支えることを意味する。

・オペレーション:オペレーションのエクイティ目標は、中核サービスの効率と信頼性を改善し、売上の1ドルごとに、より持続的な価値を生み出すことにある。マージンを拡大し、無駄を減らし、資産の稼働率を守る効率向上は、すべて強固なバランスシートへと直接つながる。

・人事(HR):HRのエクイティ目標は、能力、定着、パフォーマンスとして回収できる形で人材に投資することである。タレント戦略は、エクイティへの貢献で評価される。望ましくない離職の低下、従業員1人当たりの生産性向上、重要ポジションの欠員に伴うコストとリスクを下げるリーダー育成パイプラインなどである。

オペレーションレベル

オペレーションレベルでは、日々の意思決定が、事前に設定された組織のエクイティ成果と明示的に結び付いていることが重要である。シニアリーダーは、各部門がエクイティ目標に向けて意味のある前進を遂げていることを確実にするため、進捗監視に能動的に関与すべきである。この監督は、組織が長期のエクイティ目標に集中し続ける助けとなる。

マネジャーは、チーム内でエクイティ影響フレームワークを適用する責任を負うべきである。そうすることで、各従業員が自分の個々の活動が組織全体のエクイティ目標にどう貢献するのかを理解し、整合できる。例えば、コールセンターの担当者は、一次対応で解決する割合が顧客維持につながり、それが顧客生涯価値を押し上げ、エクイティを構築することを理解すべきである。この因果連鎖が明確であれば、チームメンバーはより賢く、エクイティを意識した意思決定ができる。

取締役会からすべての従業員に至るまで、直接の「見通し線(line of sight)」を確立することが決定的に重要である。役割にかかわらず、各メンバーが自らの行動が組織の価値創造にどう寄与するかを認識すべきである。このつながりが組織全体で維持されると、エクイティ目標の達成に向けた統一的なアプローチを支える。

組織システム全体へのエクイティの埋め込み

組織の長期的成功は、中核システムとプロセス全体にわたり、エクイティを一貫して適用できるかどうかにかかっている。報酬制度、表彰プログラム、資源配分の慣行はいずれも、短期的な結果だけでなく、エクイティを築く行動を促し、強化するよう設計されるべきである。これらの仕組みが整合すると、エクイティは掲げるだけの志から、日々の業務で目に見えて報われ、資源が配されるものへと変わる。

この変化を持続させるには、エクイティ重視のマネジメント・アプローチを組織文化に織り込まなければならない。エクイティは、リーダーがトレードオフをどう判断するか、マネジャーが優先順位をどう設定するか、チームが仕事をどう語るかに表れるべきであり、戦略文書やハイレベルな計画の中だけに存在するものではない。エクイティが現実の意思決定を導いていると人々が見て取れるとき、それは単独の取り組みではなく、組織の共有価値の一部となる。

アライメント・フレームワークは、戦略、マネジメント、オペレーションの各レベルに同時に焦点を当てることで、これを実現する実践的な方法を提示する。エクイティ目標を、取締役会レベルのターゲット、部門KPI、現場の行動へと結び付けることで、誰もがエクイティ創造への貢献の仕方を理解できる、一貫したシステムを構築できる。

今後1年の最初の一手として、全社レベルで1つの明確なエクイティ目標を設定し、主要部門それぞれに、その目標への測定可能な貢献を平易な言葉で定義するよう求めよ。そのコミットメントを、インセンティブ、表彰、投資判断の形成に活用するのである。

forbes.com 原文

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