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2026.03.04 18:00

IQよりも重要なのは「思考スタイル」──3分間のテストで自分の特性を知ろう

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異なる「思考スタイル」の科学

専門誌『Personality and Social Psychology Bulletin』に2023年に掲載された研究では、人は直感的思考と分析的思考のどちらかの傾向が強いというわけではなく、複数の次元に沿って差異を示している。研究は4つの異なる認知パターンを特定している。

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1. 積極的なオープンマインドの思考
2. 頑なな思考
3. 努力を要する思考を好む傾向
4. 直感的な思考を好む傾向

この多次元的な枠組みは、思考スタイルの研究がこれまで矛盾した結果を生んできた理由を説明するのに役立つ。思考スタイルを「直感的」と「分析的」が対局にある1つの軸で測るだけでは実際の心の機微をとらえられない。

思考スタイルの個人差は、判断や意思決定の予想の違いから、信念や価値観の変化、学業成績、幸福感、健康、寿命にまで影響する。認知スタイルの理解は学術的好奇心にとどまらず、人生の根本的な帰結を形づくる。

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視覚型思考と言語型思考

「左脳型 vs 右脳型」という通説は誤りだと指摘する声も少なくない。だが視覚処理型と言語処理型の区別には科学的根拠がある。これは認知心理学者アラン・パイヴィオの二重符号化理論に由来する。この理論によると、脳は言語情報と非言語情報を別々の経路で処理する。

・言語型の思考をする人は情報を言葉や文章として表す。語りや法律、複雑な指示が中心の環境で力を発揮する。

・視覚型の思考をする人は「頭の中のイメージ」で考える。こうした人は、鮮やかな色彩や細部を思い浮かべる物体視覚型と、物体間の構造的関係を把握する空間視覚型に分けられる。

空間視覚スタイルが未発達であれば、IQが高くても言語型思考者が建築製図で秀でることは難しい。この意味で、自分の主要な処理経路を理解すれば、脳が実際に消化できる形式へと情報を翻訳することができる。

全体的思考と局所的思考

認知スタイルのもう1つの重要な次元は細部への向き合い方だ。これは「ナヴォン課題」によって測定されることが多い。小さな文字で構成された大きな別の文字、例えば小さな「S」を並べて作られた大きな「H」を見せるという手法だ。

この課題で研究者は人を次の2つのタイプに区別することができる。

・全体を処理する人:最初に「H」を見る。戦略や長期的な傾向の把握に優れている大局的に考える人だ。

・局所を処理する人:最初に「S」を見る。編集者やコーダー、品質管理担当のように、他者が見逃す誤りを見つける人だ。

多くの企業環境での摩擦はこれらのスタイルの不一致から生じる。大局的に考える最高経営責任者(CEO)は、局所的に考える最高財務責任者(CFO)を細かすぎると感じるかもしれない。一方CFOは、CEOを曖昧で非現実的な人と見るかもしれない。どちらも知能が低いわけではない。ただ同じデータを異なるレンズで見ているだけだ。

スピード思考と深掘り思考

最後に、認知スタイルを理解するためには心理学者ダニエル・カーネマンが広めたシステム1(速く直感的)とシステム2(遅く分析的)のモードも考慮する必要がある。努力を要する思考をどれだけ好むかを測る認知欲求に関する研究は、それが能力であると同時に選択でもあることを示している。

専門誌『Scientific Reports』に2015年に掲載された研究では、創造性の高い人々が独特の認知スタイルを持つことが示された。そうした人はデフォルト・モード・ネットワーク(想像)とエグゼクティブ・コントロール・ネットワーク(集中)の間を流動的に行き来できる。

多くの人にとって、これらのネットワークを同時に活性化するのは難しい。この観点から、自分が「深く考えるタイプ」か「速く考えるタイプ」かを理解すれば、脳の自然なリズムに合わせて1日の仕事を構造化できる。

数十年にわたる認知科学の結論は明確で、自己認識こそが究極の認知を増幅させるものだ。空間処理が得意で言語処理が苦手だと分かれば、分厚いマニュアルに苦戦しても自分を責める必要はない。図解を使えばいい。認知欲求が高いと分かれば、過度な分析に陥らないよう意思決定にかける時間を「割り当て」ればいい。

IQは配られたカードだ。認知スタイルはそのカードの切り方だ。自分の思考の具体的な仕組みを理解すれば、持って組まれた特性に逆らうのではなく、それを活用できるようになる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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