経済・社会

2026.02.27 22:33

移民を減らしても米国人労働者は潤わない──最新研究が明かす経済の現実

Tada Images - stock.adobe.com

Tada Images - stock.adobe.com

新たな研究は、移民の削減が経済にも米国の労働者にも好ましくないことを確認した。ここ数週間で公表された複数の研究は、入国を減らし大規模な強制送還を進めるより、より多くの移民を受け入れたほうが米国は繁栄するという結論に達している。最新の経済データによれば、2025年に外国生まれの労働者が減少しても、米国生まれの労働者が恩恵を受けた形跡はない。

全米移民政策財団(NFAP)の分析によると、米国生まれの労働者の失業率は2025年1月の4.3%から2026年1月には4.7%へ上昇した一方、外国生まれの労働者数は12万2000人減少した。NFAPの報告書は「この減少は、過去数カ月に報じられたものより小さいとはいえ、政府推計で見込まれていた労働力の増加と比べると、外国生まれの労働者が140万人超少ないことを意味する」と結論づけている。

議会予算局(CBO)と社会保障庁(SSA)は人口推計に基づき、この期間に外国生まれの労働者が約130万人増えると想定していたが、最新の労働統計局(BLS)データでは外国生まれの労働者が10万人超減少している。

トランプ政権当局者が予測していたのとは逆に、労働力人口に占める外国生まれの労働者が減っても、米国生まれの労働者が繁栄したとは言えない。外国生まれの労働者数が減少するなかで、米国の労働者が労働市場へ戻ったわけでもない。16歳以上の米国生まれの労働力率は、2025年1月の61.4%から2026年1月には61.2%へ低下した。

労働力人口の増加は米国経済にとって不可欠である。経済成長は労働力人口の増加と生産性の向上に依存し、移民はいずれにも欠かせない。2025年のNFAPによる分析によれば、「不法・合法移民に関するトランプ政権の政策は、米国内の労働者数の見通しを2028年までに680万人、2035年までに1570万人減らし、年間の経済成長率をほぼ3分の1押し下げ、米国の生活水準を損なう」という。

トランプ政権の移民政策がもたらす経済への悪影響は、建設のようなセクターで最も明確に表れている。テキサス公共ラジオは「州内各地の建設現場での移民摘発が経済を傷つけ、住宅コストを押し上げ、開発に打撃を与え、プロジェクトを遅らせていると、建設業者、融資担当者、サウステキサスのビジネスリーダーが指摘している」と報じている。彼らによると、問題は移民・関税執行局(ICE)による標的型の摘発が、たとえ市民であったり就労書類を持っていたりしても、労働者に現場を避けさせていることだという。サウステキサス建設業協会のマリオ・ゲレロは、サプライチェーン上の企業から売上減少や倒産さえ報告されていると述べた。建設ローンは約30%減少している。

移民研究が最近の経済的苦境を説明する

移民の削減が経済活動と雇用の伸びを抑えてきたことを示す研究は複数ある。サンフランシスコ連邦準備銀行のダニエル・ウィルソンと、ダラス連銀のシャオチン・ジョウによる分析は、無許可の移民労働者が与える影響を検証した。

ウィルソンとジョウは「両期間において、無許可移民労働者の流入が雇用増加にほぼ1対1で因果的に作用していることがわかった。産業レベルの推計では、最近の移民の減速により、建設と製造業で雇用が不均衡に減少していることが示唆される」と述べる。「これらの結果は、無許可移民労働者の流入が現在のように減少し続ける限り、米国の雇用増加は引き続き下押し圧力に直面する可能性が高いことを示している」

研究が示すのは、雇用の総数が固定されているわけではなく、移民は消費支出や起業などを通じて雇用を増やすという点である。経済学者は、企業や起業家が十分な労働供給を確保できないと、投資を減らし、新規事業の立ち上げも減り、事業拡大を行わないと指摘する。結果として雇用の伸びと経済のダイナミズムが制限される。

ハビエル・クラビーノ(ミシガン大学)、アンドレイ・A・レフチェンコ(ミシガン大学)、フランセスク・オルテガ(ノートルダム大学)、ニティア・パンダライ=ナヤール(テキサス大学オースティン校)によるNBERの研究は、大規模な強制送還というトランプ政権の目標を実現すれば、経済的な結果が悪化することを見いだした。同研究によれば、無許可移民の50%を排除した場合、米国生まれの労働者の実質賃金は短期的には全米で0.15%上昇するにとどまる。その小さな上昇は長続きしない。

同NBER研究は「しかし長期的には、人口減少に対応して資本が取り崩される(減少する)ため、ネイティブ(米国生まれ)の実質賃金は全ての州で低下し、全米では0.33%低下する」と述べる。「農業のように無許可労働者への依存度が高いセクターでは、消費者物価が平均的な消費バスケットの価格に対して約1%上昇する一方、他の大半のセクターでは相対価格の変化はごく小さい」

別のNBERの研究は、トランプ政権が主に犯罪者を逮捕しているのではなく、犯罪で有罪判決を受けていない無許可労働者を逮捕していることを確認した。「我々の結果は、移民執行の現実が公的な語り口から大きく乖離していることを明らかにする。トランプ大統領の両任期の当初には逮捕が急増した一方、逮捕者における犯罪歴(有罪判決)の割合は大きく低下し、とりわけ2025年に顕著な低下がみられた」。研究はクロエ・N・イースト(コロラド大学ボルダー校)、ケイトリン・パトラー(カリフォルニア大学バークレー校)、エリザベス・コックス(コロラド大学ボルダー校)が実施した。

最近の研究は、ホワイトハウスのミラー大統領次席補佐官がしばしば称賛する1920年代の移民規制が、米国生まれの白人労働者を助けるどころか害したと結論づけた。ジェームズ・J・ファイゲンバウム(ボストン大学)、イージュ・フン(国立中正大学)、マルコ・タベリーニ(ハーバード・ビジネス・スクール)、モニア・トマセラ(スタンフォード大学)が、南・東欧からの移民を急激に制限した「1920年代の移民法による郡レベルの曝露度」を測定した。

経済学者らは「割当は米国生まれの白人男性における世代間移動を低下させた」一方で、黒人男性には影響しなかったと見いだした。「1940年国勢調査の証拠は、曝露した白人男性が成人期に就業している可能性が低く、賃金も低かったことを示しており、職業の格下げと職業内の生産性低下の双方と整合的である」。理由として「これらの影響は、移民とネイティブの補完性の低下と、規制対象外の移住による代替が不完全だったことの双方を通じて生じたことを示す」としている。

デイビッド・C・グラボウスキー(ハーバード・メディカル・スクール)、ジョナサン・グルーバー(MIT)、ブライアン・マクギャリー(ロチェスター大学)は、移民の受け入れ拡大が、特に高齢者を中心に米国人の命を救う助けになることを見いだした。研究によれば、「新たに移民を1000人受け入れると、外国出身の医療従事者が142人増えるが、ネイティブの医療従事者が排除される証拠はない」。「また、死亡率に対して顕著な影響も見いだした。米国への移民の定常的な流入が25%増えると、全米で死亡者が5000人減る。介護施設(ナーシングホーム)の利用が減少することが、この結果をもたらす主要なメカニズムだと特定した」

ペンシルベニア大学ウォートン校の経済学教授、ジーク・ヘルナンデスによれば、米国の出生率が低すぎるため、ほぼ全ての雇用増加は移民に依存している。企業が投資と雇用を続けるために必要な消費の伸びも同様である。彼は長期的に見て、移民がいなければ米国のイノベーション、投資、起業のエコシステムは減速すると結論づけている。

ヘルナンデスはインタビューでこう語った。「移民を受け入れる制度をどう設計すべきかについては正当な議論があり、国境に秩序が必要だという点では誰もが一致している。しかし、人々がどうやってこの国に入ってくるかを巡る争いのなかで、私たちは本質的なことを見失ってしまった。もっと多くの人が入ってくる必要があるのだ。実証的な証拠は、私たちの経済的な健全性が移民と密接に結びついていることを明確に示している」

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事