リーダーシップ

2026.02.27 22:12

リーダーの能力を蝕む「キャパシティ侵食」に対抗する3つの戦略

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いま台頭するリーダーにとって、世界は重い。AI(人工知能)の電光石火の統合、絶え間ない組織再編、かつてないほど分断が深まったように感じられる政治状況。その狭間で、リーダーたちは静かだが壊滅的な現象に直面している。キャパシティ侵食だ。

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私は最近、友人であり盟友、そしてインディアナ大学の同窓でもあるキャスリン・ランディスと対話した。彼女はCスイート向けのエグゼクティブコーチであり、ニューヨーク大学の教授でもある。どれほど経験豊富なリーダーであっても、なぜ圧迫感を覚えるのか。その理由を掘り下げるためだ。キャパシティ侵食は単発の出来事ではない。ランディスはそれを、精神的・感情的な蓄えが少しずつ削られていくプロセスだと説明する。誰かを不満にさせることが避けられない意思決定を重ねながら、現実を定義し、かつてないストレスの時代に希望を示そうとする重みである。

リーダーシップを取り戻し、このバーンアウトに対抗するには、「前例のない状況」を言い訳にする段階を超え、高業績チームの基本に立ち返る必要がある。ランディスは、キャパシティ侵食を抑える3つの戦略を共有してくれた。

自分にしかできない仕事を極める

ストレス下では、脳は生産性によるドーパミンの快感を求める。その結果、受信箱を片づけたり、スライド資料を微調整したりと、「生産的に感じられること」に傾きがちだ。だがシニアリーダーにとって、ランディスはそれらを、$100の思考(より高度な認知スキル)が求められる世界における「$1の活動」だとみる。

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キャパシティ侵食を生き延びるには、容赦なく優先順位をつけなければならない。自分の1日を、チームが担えるタスクに費やしていないか。それとも、自分の立場にいる人間にしかさばけない、部門横断の高度なすり合わせやCEOマネジメントに集中できているか。

「自分にしかできない仕事が何かを、徹底的に明確にすることだ。つまり、その場の誘惑ではなく、最も大きく状況を動かすことに集中するという意味だ」とランディスは説明した。

チームのオーナーシップを徹底的に明確にする

キャパシティ侵食はトップだけに起きるものではない。下方への波及効果がある。リーダーが圧力を感じると、手綱を締めたくなるのが本能だ。しかし、マイクロマネジメントは成功の戦略ではなく、恐れの症状である。ランディスが指摘するように、多くのリーダーはマクロレベルのリスクが見えるがゆえに意思決定に関与したがる。だがそれはボトルネックを生み、チームの成長を抑え込む。シニアリーダーの予定表に載せられる時間には限りがある。

ランディスは、キャパシティ侵食に悩む高業績チームを支援するために、エビデンスに基づくアプローチを用いている。Cスイートのリーダーと仕事をするなかで、チームが力を発揮するための特定の条件があることを見いだしており、その出発点は明確な目的だという。チームが成功の姿を知らない、あるいは自分たちの権限の境界がわからないなら、自然と「上への委任」に流れ、あなたの仕事は増える一方になる。意思決定権を定義し、チームが$1札(低い認知負荷のタスク)を主体的に扱えるようにし、あなたは大局に集中しなければならない。

ランディスはクライアントにこう問いかける。「人々は明確な目的を持っているか。なぜチームなのかを理解しているか。多くの人は職務記述書の内容は知っているが、チームの目標が本当は何なのかを知らない。問われても、成功の姿がわからないのだ」

振り返るために邪魔を排する(「街灯柱」原則)

「もし誰かが毎日同じ時間に1時間、街灯柱に向かって話しかけたとしても、コーチングの効果の60%は得られるだろう……ただ、どこに時間を使っているかを意図的に考えるための空間と時間をつくり、自分の行動を振り返るだけでいいのだ」とランディスは打ち明けた。

最も多忙なリーダーほど、内省する時間が最もないと信じがちだ。だが実際には、そうした人たちこそ最も必要としている。買い物リスト、メール、授業準備といった雑務の渦に巻き込まれ、私たちは意図を持って導く力を失ってしまうことが多い。

ランディスは、コロンビア大学でのコーチング資格取得で学んだ強力な秘密として「街灯柱」原則を共有した。専用の、意図的な振り返りという行為そのものが、コーチングの恩恵の大半をもたらすという考え方だ。コーチやセラピストがいないなら、少なくとも自分の「街灯柱」を持つ必要がある。つまり、雑音から離れ、リーダーシップのパターンを見つめるために確保した、予定された時間枠である。

高業績チームの6つの条件

チームがいまどこにあり、キャパシティ侵食に対抗するためにどこへエネルギーを集中すべきかを評価する助けとして、ランディスの研究で示された高い効果を生むチームの6つの条件を以下に整理する。

  • 明確な目的:チームは、個々の職務記述書を超えて、ユニットとしてなぜ存在するのかを正確に理解しなければならない。チームにとっての成功の姿が具体的にわかっている必要がある。
  • 本当のチーム:メンバーの仕事が相互依存であること。個々人の寄せ集めではなく、共同の成功が互いにかかっている状態である。
  • 適切な組み合わせ:必要なのは、スキルや視点の適切なブレンドと、効果的に協働できる力である。
  • 明確な意思決定権と説明責任:誰が特定の意思決定を行う権限を持つのか、そしてその選択に伴う結果や機会が何かが、透明でなければならない。
  • リソースと情報:リーダーはチームのために「障害を取り除き、現場を整える」必要がある。適切なデータ、人材、ツールが揃うようにすることだ。
  • 振り返りと調整:チームは定期的に一歩引いて、パフォーマンスを振り返り、働き方を調整する機会が必要である。

この評価を使うために、ランディスはリーダーとしてこれら6領域について10分間振り返ることを提案する。すべてを一度に直そうとしてはならない。代わりに、チームが最も苦戦している領域を特定し、最も大きなインパクトを生むために、まずそこへリーダーシップの力を集中させるのだ。チームと所見を照らし合わせ、弱さを見せ、意見を求めてほしい。率直な答えに驚かされるかもしれない。

キャパシティ侵食は、リーダーの持続性と組織の健全性にとって現実の脅威である。しかし、$1のタスクと$100のタスクを区別し、明確な目標でチームをエンパワーし、予定のなかで「街灯柱」を尊重することで、私たちは雑務の渦を、真のインパクトへと交換できる。

この前例のないリーダーシップの時代を進むにあたり、自問してほしい。あなたは忙しいのか、それとも導いているのか。その答えが、キャパシティを侵食するのか、拡張するのかの分かれ目になるかもしれない。

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forbes.com 原文

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