働き方

2026.02.27 21:14

集中力より「切り替え力」の時代へ AIエージェントが変える働き方の常識

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私の人生の大半において、そしておそらくあなたや私たちの親、祖父母の世代においても、最も価値あるプロフェッショナルスキルは集中力だった。認知的に負荷の高いタスクに何時間も没頭できる能力を、私たちは何より重んじてきた。

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気が散ることは敵だった。会議は敵だった。あらゆる中断には隠れたコストが伴った。会議前の準備、会議そのもの、そして終わった後の精神的なコンテキストを再構築する苦痛。次の会議がいつ入るかという絶え間ない不安は言うまでもない。

デジタル時代の注意散漫を研究するカリフォルニア大学アーバイン校のグロリア・マーク教授によると、たった1回の中断から完全に集中を取り戻すには23分以上かかるという。そんなに早く戻せる人がいることが、私には信じられない。

今日、AIエージェントの登場により、この「集中」への信仰は完全に逆転した。

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AIエージェントは並列で動く。別のエージェントを生成する。反復し、自らの作業をチェックし、生成した仲間の完了を待ち、時には何度もやり直す。その間、あなたは待っている。好奇心に駆られて彼らのデジタルな思考のカーテンの向こうを覗き見し、内部の思考トークンが何を語っているか確認したり、時折、天から降りてきて軽く方向修正したり、追加のコンテキストを与えたりする。

この新しい世界では、ボトルネックはもはや私たちの集中力ではない。多数のAIエージェントを監督する能力だ。新たに求められるプレミアムスキルは、コンテキストスイッチングである。

皮肉なことに、私たちは長年この行動を病的なものとして扱ってきた。今日でも、親、教育者、議員、その他の口出し屋の大多数は、10代の若者や子どもたちがTikTok、Instagramリール、YouTubeショート、SNS、デバイス、スクリーン、オンラインに時間を費やしすぎていると考えている。私たちは議論し、叫び、強制する。時には子どもたち自身も同意する。

自分自身に対しても、私たちは止めようとする。ウェブサイトブロッカーをインストールする。通知をオフにする。カレンダーに「集中タイム」を設定する。ドアを閉め、ヘッドホンをつけ、おしゃべり好きな同僚との偶発的なアイコンタクトを避ける。

それが、私たち働き蜂の働き方だった。しかし、キュービクルの近くには常にふらふら歩き回る人たちがいたのではないか。多くの場合、彼らは上司か、十分にシニアな人々で、あなたの近くに腰を下ろし、面白い話をし、あなたが集中する必要があることなど気にも留めていないように見えた。時折、誰かが彼らを呼び、彼らは去っていく。しかし彼らは常に動き回り、何の心配もないように見えた。

いま、それはあなたになれる。

あのふらふら歩き回る管理職たちは何をしていたのか。彼らはチェックインしていた。あなたの思考トークンを覗いていた。時折、軽く方向修正したり、追加のコンテキストを与えたりしていた。部下の誰かが見る価値のある結果を出すまで待っていたのだ。

それこそが、今のAIエージェントの働き方そのものである。あなたはタスクを開始する。エージェントが作業し、あなたは別のことに切り替える。時には別のAIエージェントへの新しいタスクだったり、他のAIエージェントの進捗を確認していたりする。クリックして回り、手下たちをチェックする。あなたは仕事を指揮しているのであって、実行しているのではない。あなたは軌道上にいる。

これは20年のプログラミング人生で、基本的なコーディングワークフローにおける最大の変化だ。そしてそれはわずか数週間で起きた。

アンドレイ・カルパシー

ディープワークの時代は終わった。エージェンティックな航空管制の世界へようこそ。

モノトロピズム vs. ポリトロピズム

認知科学者は、モノトロピズム(競合する刺激を排除して狭い範囲の関心に強烈に集中すること)と、ポリトロピズム(複数のチャンネルに広く注意を分散し、それらの間をサーフィンしながら切り替えること)を区別する。誰もがこの連続体のどこかに位置し、その位置は状況、年齢、時間帯、気分によって変化する。これは臨床的なカテゴリーではなく、人間が注意をどのように配分するかという正常な個人差を説明する有用な概念にすぎない。

従来の知識労働はモノトロピズムに報いてきた。

  1. コードベース全体のアーキテクチャを頭の中に保持できるプログラマー。
  2. 自分のモデルの隅々まで知り尽くしたアナリスト。
  3. 壮大なシリーズ全体のキャラクターの特徴やプロットの展開をすべて引用できる作家。

彼らの共通点は何か。フローである。

心理学者のミハイ・チクセントミハイ(1934-2021)は「フロー」という概念を提唱した。時間の感覚が消え、パフォーマンスがピークに達する完全没入の状態だ。彼は、食事や睡眠を忘れるほど仕事に没頭するアーティストを研究した。フローは、最適な仕事のあり方についての私たちの考え方を数十年にわたって形作ってきた。そしてチクセントミハイが定義したフローは、明確にモノトロピック的である。その核心的条件の1つは「分散したり散漫になったりするのではなく、高度に集中した注意」だ。フローはマルチタスクによって阻害される。

私が最も好きなフローの例は、1989年のNBAファイナル第3戦のジョー・デュマースだ。まだオールスターにも選ばれておらず、主にディフェンスのスペシャリストとして知られていた彼は、その朝目覚めて決めたようだった。もう十分だ。外すのは終わりだ、と。

彼はファイナルでレイカーズ相手に17連続得点を決め、MVPを獲得した。

「彼が外すのをずっと待っていた」と、当時レイカーズのアシスタントGMだったミッチ・カプチャックはスポーツ・イラストレイテッド誌に語った。「会場全体が待っているのが感じられた。しかし彼は、外し方を忘れてしまったかのようだった。恐ろしかった」

スポーツ・イラストレイテッド誌のブルース・ニューマンによるその記事は、フローを忘れがたい形で説明している。デュマースはあまりにも深くゾーンに入っていたため、ニューマンはこう書いた。「リーグのオールディフェンシブチームに5度選ばれたLAのガード、マイケル・クーパーがずっと自分をマークしていたと後で知った時、彼はショックを受けたようだった」

これこそ教科書通りのフローだ。完全な没入、自意識の喪失、無理のない遂行。美しいフロー状態である。

フロー vs. オービット

しかし、もはやそれは重要なスキルではないのかもしれない。重要なのは外し方を忘れることではなく、切り替えることを忘れないことかもしれない。フローではなくオービット(軌道)だ。

それはどんな感覚だろうか。

歴史的な例がある。ナポレオンは調子の良い日には4人の秘書に同時に口述筆記させることができたと主張した。大プリニウスによれば、ユリウス・カエサルは7人の異なる秘書に同時に口述筆記させることができたという。あなたは今、何体のAIエージェントを動かしているだろうか。

現代のヒーローもいる。2001年9月11日、ベン・スライニーはFAA(連邦航空局)の国家運用管理者として新しい仕事を始めた。就任から2時間以内に、彼は約5000機の航空機を直ちに着陸させるという前例のない命令を下した。彼のその日を想像してほしい。彼自身が航空管制をしていたわけではない。オーケストレーションしていたのだ。システム全体を読み取り、数十のソースからの不完全な情報を、グローバルな戦場の霧の中で処理し、重要な決断を下していた。素早い判断。複数のコンテキスト。

10代の若者たちもいる。なぜか彼らはいつも最初に気づく。彼らの生き方を見てほしい。彼らは友人や周囲の人々と一緒にいながら、同時に常にオンラインで、テキストを送り、DMし、IMし、TikTokをし、自分を録画し、自分の動画を見返している。彼らこそが未来だ。

デュマースは誰が自分をマークしているか知らなかった。それがポイントだった。

スライニーはすべてと全員を把握していた。それもまたポイントだった。

どちらも熟達の形である。しかし、AIとともにスケールするのは一方だけだ。

何十年もの間、私たちは集中力を大切に守ろうとしてきた。通知をオフにする。ドアを閉める。世界をミュートする。その時代には良いアドバイスだった。

最も希少なリソースはもはや注意力ではない。コンテキストを横断する判断力だ。軌道を回ることを学べ。TikTokを開け。

forbes.com 原文

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