宇宙

2026.02.28 10:30

ボーイング宇宙船の危険度は「チャレンジャー号爆発事故」と同レベル、NASAが断定

2024年7月3日撮影 (c)NASA

2024年7月3日撮影 (c)NASA

NASAは2月19日(米国時間)、ボーイングの新型宇宙船「CST-100 スターライナー」の有人飛行テスト(CFT)に関する調査報告書を発表した。

その結果、2024年6月の打ち上げに始まったISS(国際宇宙ステーション)への同飛行テストは、NASAのプログラム調査チームによって「タイプA」の事故等級に分類された。これはスペースシャトルのチャンレンジャー(1986年、7名殉職)やコロンビア号(2003年、7名殉職)と同レベルの評価であり、一歩間違えればクルーの生命を脅かすものだったと断定された。

あらゆる機体制御能力を一時的に喪失

今回NASAが発表したスターライナーの調査報告書は311ページにおよぶ。これほど詳細な調査報告書が一般に公開されるのは、「コロンビア号事故調査委員会(CAIB)報告書」以来であり、極めて異例な事態だ。NASAでは「タイプAの事故」(Type A Mishap)を以下のように定義しており、スターライナーの事案は主に3番目に該当する。

NASAによる「タイプAの事故」の定義

1. 死亡
2. 恒久的な完全障害
3. 直接費用総額が200万ドル(約3億1000万円)以上のミッション失敗および財産損害
4. 有人航空機または宇宙船の機体全損
5. 有人航空機/宇宙船の予期せぬ制御喪失飛行(ただし訓練などで予定されたものは除く)

ボーイングが開発したスターライナーは2024年6月、初めてヒトを乗せて飛行テストを行ったが、ISSに接近する途中、機体からヘリウムガスが漏れるトラブルが発生した。このヘリウムは、スラスタの推進剤タンクを加圧するためのものだが、報告書によると、じつはこのヘリウムの漏洩は打ち上げ前の地上チェックですでに検知されていた。

ただし、その漏洩は許容範囲内とされ、スターライナーは打ち上げられた。その結果、飛行中に状況が悪化し、独立した8系統のマニホールド(集合配管)バルブのうち7つから漏洩が発生。つまり、冗長性を持たせるための分岐ラインが1つを残して全滅したといえる。

ヘリウムによってタンクが適切に加圧されなければ、推進剤の減少にともなってタンク内の負圧が高まる結果、推進剤がスラスタ(姿勢制御用の小型エンジン)に供給されず、機体の推進や姿勢制御が失われる可能性があった。漏洩の原因は、酸化剤として使用される四酸化二窒素がヘリウムのラインに逆流し、バルブのシール(漏洩防止材)を腐食したと見られている。

報告書におけるスラスタの解析ページ。SMにおける「B1」と呼ばれるグループで酸素流量不足や漏洩が指摘されている。同報告書では同様なブランクが随所に施される (c)NASA/PIT
報告書におけるスラスタの解析ページ。SMにおける「B1」と呼ばれるグループで酸素流量不足や漏洩が指摘されている。同報告書では同様なブランクが随所に施される (c)NASA/PIT
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編集=安井克至

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