宇宙

2026.02.28 10:30

ボーイング宇宙船の危険度は「チャレンジャー号爆発事故」と同レベル、NASAが断定

2024年7月3日撮影 (c)NASA

今回の報告書では、ボーイングの体質も問題視しており、推進器の劣化を「許容範囲内」と断定し、データを軽視した姿勢は、コロンビア号事故で「断熱材脱落を放置した体質」と酷似していると結論づけた。また、NASAとボーイングの「意思決定の崩壊」に関しても言及。その一例として、リスクを指摘するNASAの若手エンジニアを、ボーイングの担当者が会議の場で怒鳴りつけ、口封じを試みたという証言も記録されている。NASA長官ジャレッド・アイザックマンは、こうした「組織文化」をとくに問題視している。

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NASAの商業乗員輸送計画(CCP:Commercial Crew Program)においては、ボーイングはスターライナーを開発するだけでなく、事業主体として同機体を運用することで収益を上げることになる。NASAはその開発に対して補助金を提供するとともに、そのサービスを一定期間にわたり有償利用することで、民間による宇宙事業を成立させようとしている。

ただし、この契約は「固定価格制」によるため、いかに開発コストが増減しようとも補助される金額は変わらない。ボーイングはNASAから42億ドル(約6510億円)を受け取っているが、開発遅延のために運用の目途が立たず、同機開発における累計損失はすでに20億ドル(約3100億円)に膨らんでいる。その結果、コスト削減を優先させ、エンジニアの声が届かない環境がボーイング内に構築されたと報告書は指摘。契約形態に起因する構造的な問題にも課題が残ると、調査チームは分析した。

ISSにドッキング中のスターライナー。窓には星条旗が掲げられた。2024年7月2日撮影 (c)NASA
ISSにドッキング中のスターライナー。窓には星条旗が掲げられた。2024年7月2日撮影 (c)NASA

今回の報告書を通じて調査チームは、「安全文化の再構築」や「設計の根本的見直し」など、61項目におよぶ勧告をボーイングに対して提示した。また、NASA長官アイザックマン氏は会見の場で、「ボーイングと協力し、是正措置を実施し、準備が整った時点で、スターライナーを再び飛行させることを楽しみにしている」と語った。ただし、ボーイングはこの課題を乗り越えることができるのか? もしくは、この課題を乗り越える意思はあるのか。長きにわたり米国の宇宙産業を牽引しつつも、現在はエッジに立たされる巨大企業の振る舞いに、今後も引き続き世界の注目が集まることになる。

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編集=安井克至

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