宇宙

2026.02.28 10:30

ボーイング宇宙船の危険度は「チャレンジャー号爆発事故」と同レベル、NASAが断定

2024年7月3日撮影 (c)NASA

ただし、スターライナーの不具合はこれで終わらなかった。無人状態でISSから分離し、大気圏再突入に向けて軌道離脱噴射を行う際、今後はCMのスラスタ1基が作動しなくなったのだ。結果的にスターライナーは予定されたホワイトサンズ・ミサイル射場(ニューメキシコ州)に無事着陸したが、その降下中、CMの推進システムは「故障許容性ゼロ」の状態に陥った。つまり、次に何かが起こればリカバリーできない瀬戸際に立たされたといえる。

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2024年9月6日、ホワイトサンズに着陸した無人のスターライナー。この帰還によりトラブルの原因を探る重要なデータが回収された (c)(NASA/Aubrey Gemignani
2024年9月6日、ホワイトサンズに着陸した無人のスターライナー。この帰還によりトラブルの原因を探る重要なデータが回収された (c)(NASA/Aubrey Gemignani

軌道離脱噴射はクルーの生命に直結する最重要操作のため、システムに不具合が発生しても他で補完可能な「二重故障耐性」が必須とされる。しかし、スターライナーにその機能が備わっていないことが、打ち上げ直前まで誰にも認識されていなかった。過去のOFT(無人飛行テスト)でスラスタが故障し、同じくゼロ耐性の状態に陥ったにも関わらず、その異常事態が顕著化しなかったため、未解決のまま持ち越されたのだ。これを調査チームは「初期開発段階から存在していた設計上の欠陥」と結論付けた。

スラスタが作動しなかったのは、ヘリウムの漏洩が原因ではなく、バルブ内に残留していた推進剤が二酸化炭素と反応して新たな物質(カルバジン酸)を生成し、それがバルブを固着させ、燃料ラインを塞いだ結果だと報告されている。つまり、今回問題視されているスターライナーの飛行テストでは、原因が異なる重大な不具合が多重的に発生したことになる。

「タイプA事故」の理由

有人飛行試験でありながら、宇宙船の推進システムに致命的な懸念が生じたことで、スターライナーの飛行テストは「極めて重大な失敗」とみなされた。なぜなら有人による帰還の断念は、そのままクルーの死を意味するからだ。

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ただし、この事案がコロンビア号などの爆発事故と同レベルの失態とラベリングされたのは、クルーに対する危険度だけが理由ではない。最悪の場合、ISSに衝突してその船体に損傷を与え、滞在クルーの生命にも危険を及ぼす可能性があったからでもある。

2024年9月6日、無人のままISSのハーモニー・モジュールから分離するスターライナー (c)NASA
2024年9月6日、無人のままISSのハーモニー・モジュールから分離するスターライナー (c)NASA
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編集=安井克至

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