宇宙

2026.02.28 10:30

ボーイング宇宙船の危険度は「チャレンジャー号爆発事故」と同レベル、NASAが断定

2024年7月3日撮影 (c)NASA

これと並行して、スラスタにも不具合が生じた。スターライナーは、クルーが搭乗するCM(コマンド・モジュール)と、その底部に接続するSM(サービス・モジュール:機械船)の2部で構成されているが、ISSへ接近する際、全28基あるスラスタのうち、SMに搭載された5つのスラスタが故障した。

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前後左右と上下への移動と、3軸(ピッチ、ロール、ヨー)に対する回転というすべての運動能力(6自由度制御)を一時的に喪失したスターライナーは、安全性が確認できないとしてISSへのアプローチが許されず、ISSの機首から150m離れた「キーポイント2」で待機するよう命じられた。その間にクルー2名は、停止したスラスタをシステムが故障と認識して切り離さないよう、ソフトウェアを書き換えながらスラスタの再起動を試み、その結果、5基のうち4基を復帰させることに成功。予定より約1時間19分遅れて、辛うじてISSへのドッキングを成功させた。

キーポイント2で待機するスターライナー (c)NASA/PIT
キーポイント2で待機するスターライナー (c)NASA/PIT

この事案に関して調査チームは、そもそも推進システムの資格試験が不十分だったと指摘。実際のミッション環境を再現せず、一部の検証データを代用したことを問題視した。また、飛行中のテレメトリ(遠隔測定データ)のサンプリングレートが低すぎ、機上でのデータ保存容量が不足していたため、地上チームがスラスタの異常挙動をリアルタイムで正確に把握・診断できず、推測に頼らざるを得なかったとも報告している。

リカバリー不能な「故障許容性ゼロ」の状態

スターライナーのCFTに搭乗したNASAのベテラン宇宙飛行士スニ・ウィリアムズ(左)とブッチ・ウィルモア。予定外の長期滞在にも関わらず、2人は船外活動を実施し、スニはISS船長も務めた。2024年6月27日撮影 (c)NASA
スターライナーのCFTに搭乗したNASAのベテラン宇宙飛行士スニ・ウィリアムズ(左)とブッチ・ウィルモア。予定外の長期滞在にも関わらず、2人は船外活動を実施し、スニはISS船長も務めた。2024年6月27日撮影 (c)NASA

不具合が発生した機体にクルーを乗せられないと判断したNASAは、スターライナーを無人で地表へ戻す決定を下した。その結果、クルー2名は後続機(クルー9)で帰還することになり、当初8日間が予定されたISS滞在が、結果的に約9カ月間、2025年3月まで軌道上に留まることになった。

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編集=安井克至

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