食&酒

2026.03.08 16:00

6作めのアッサンブラージュで拓く、日本酒の新章:IWA 5 Assemblage 6

IWA 5 アッサンブラージュ6 

IWA 5 アッサンブラージュ6 

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は2月号(1月23日発売)より、「IWA 5 アッサンブラージュ6」。最低14カ月の瓶熟期間を経て、程よい複雑さとバランスを得た「IWA 5」は日本酒でありながら、ワインやシャンパーニュに通じる時間軸を内包している1本だ。


富山県立山町の白岩に蔵を構える日本酒「IWA 5」は、日本酒の歴史に新たな転換をもたらした存在として、国内外で注目を集めている。手がけるのは、シャンパーニュ「ドンペリニヨン」で醸造最高責任者を務めたリシャール・ジョフロワ。長年、世界最高峰のワインと向き合ってきた彼が日本酒という伝統に挑んだ際、革新をもたらしてくれた鍵が、アッサンブラージュ(複数原酒のブレンド)という技法だった。

日本酒は長らく、単一の酒米、単一の酵母、単一タンクで完結するつくりが主流だったが、「IWA 5」はその常識を覆し、山田錦、雄町、五百万石など複数の酒米、ワイン酵母を含む5種の酵母、発酵や熟成条件の異なる原酒を組み合わせることで、味わいの奥行きと調和を設計する。これは偶然に委ねるブレンドではなく、哲学と精度をもって構築されるアッサンブラージュであり、日本酒に構成美という新たな概念をもち込んだ点で実に画期的だ。 

2025年、「IWA 5」は6回目となるアッサンブラージュをリリースした。毎年同じ味を再現するのではなく、その年の米、水、気候と真摯に向き合いながら、常に進化し続ける姿勢はヴィンテージを重ねる酒ならでは。最低14カ月の瓶熟期間を経て、程よい複雑さとバランスを得た「IWA 5」は日本酒でありながら、ワインやシャンパーニュに通じる時間軸を内包している。

「純粋に日本酒としての魅力が際立っていて、つくり手の出自を意識することはありませんでした。澄んだ美しさと精緻なバランス。甘みや酸味が前に出ることなく、甘口・辛口といった既存の枠組みにもはまらない。完成度の高さはこれまでで最も素晴らしい出来だと感じます」と「IWA 5 アッサンブラージュ6」を語るのは「氣分」(東京・西麻布)のユーゴ・ペレ=ガリックスだ。

この日はスペシャリテでもある棒寿司をシマアジでつくってくれたが、菊花と生姜、大葉を刻み込んだ寿司飯に柑橘がふわりと香り、大きく切り出された魚の旨みを日本酒が大きく広げてくれるような、見事なペアリングであった。フランス人が手がけた日本酒を、フランス人の料理人がつくる寿司とともに味わう-その体験は、単なる国籍の交差では終わらない。そこにあるのは、日本文化を外から見つめ、内へと深く入り込もうとする真摯なまなざしだ。

「IWA 5」におけるその6つめの新章は、日本酒が世界の食卓で語られる未来を静かに、しかし確かに示している。

IWA 5 アッサンブラージュ6 

容量|720ml 
度数|15% 
価格|15730円(希望小売価格) 
問い合わせ|白岩 https://iwa-sake.jp

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写真=菅野祐二 文・構成=秋山都

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