教育

2026.02.27 10:34

双方向のメンタリングが組織を変える──世代を超えた知恵の交換

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知恵が上から下へだけでなく、より多様な方向に流れるのだとしたら、なぜ多くの組織は正式なメンタリング・プログラムを導入しないのだろうか。

メンターシップは、意図的に設計されている場合、組織を年齢包摂的なものにするための鍵の1つである。経験豊富な従業員が持つ潜在的な知見を解き放ちつつ、若手や中堅の革新的な発想も引き出す。

しかし、メンタリングは高齢の従業員が若手に教えることだけであってはならない。年齢包摂的な組織では、最も効果的なメンタリングはあらゆる方向に流れる。

スイスの多国籍製薬企業であるノバルティスは、このバランスの取れた知恵の交換を企業文化に組み込んでいる。同社はバーゼル大学との正式な協働である「ZOOM@Novartis」イニシアチブを通じて、熟練の経営幹部と若い博士課程研究者を組み合わせ、相互メンタリングを体系的に実施している。

シニアリーダーはキャリア形成、人脈づくり、業界での立ち回りについて助言する一方で、最先端の科学研究に直接触れる機会も得る。ZOOM@Novartisプログラムは、若手と年長の参加者が対等に知識を交換できるようにし、関係者全員のスキルを高める新たなパートナーシップを生み出している。

実務的な観点から言えば、同社の構造化されたアプローチは、「年齢負債」に苦しむ組織に根強く存在する要素に正面から向き合っている。すなわち、若手は意味のある貢献をするために静かに「順番を待つべきだ」という思い込みである。

ノバルティスは、メンタリングを双方向の対話として確立することでこの障壁を積極的に取り除き、知恵は経験と同様に積み重なるものであり、特定の年齢層に閉じ込められるものではないことを明確にしている。

ソデクソは別の道を選んだが、その意義は同じくらい大きい。フードサービス、施設管理、ホスピタリティ関連のアメニティで知られる従業員数が約50万人に迫るこのグローバル企業は、シニアリーダー層におけるデジタルスキルのギャップに取り組むことにした。

ノバルティスと同様に、ソデクソも意図的な相互メンタリング・プログラムを導入した。デジタルに精通した若手従業員が、共同作業プラットフォームからデータ分析ツールに至るまで、さまざまなテーマでシニアリーダーを指導した。その見返りとして、シニアリーダーは業界に関する繊細な洞察や文脈に即した知見を伝えた。

加齢にまつわる語りをネガティブからポジティブへ転換することを目的とする企業Top Sixty Over Sixtyの創業者ヘレン・ハーシュ・スペンスは、こうしたブレンド型のメンターシップ・モデルを支持する。

「組織には社内に未活用のリソースがあります」と彼女は語る。「世代間で重要な知識や知恵を移転するために、意図的なメンターシップが持つ力を、十分に活用し切れていないだけなのです」

彼女は、メンターシップが「経験の配当」を生み出す役割を担う点を指摘する。すなわち、高齢化する労働力の知恵を、具体的な競争優位へと変換するということだ。

組織にメンタリングを根付かせるための実践的な戦術を3つ挙げよう。

  • 正式なメンターの組み合わせ:若手・中堅・年長の従業員を明確に組み合わせ、構造化された双方向のメンターシップ関係を構築する。相互の学習目標、予定された対話の機会、そして説明責任を明確にし、知恵の交換が効果的かつ継続的に行われるようにする。TELUSのMBAプログラムでは、プログラム修了者とチームメンバーを「バディ・メンター制度」で組み合わせ、年齢の異なる人々が交わり、互いに学び合えるようにしている。
  • 短期のローテーションとアサインメント:キャリア開発計画に短期ローテーションを組み込み、筆者が「Spark Up assignments」と呼ぶ取り組みを導入する。例えば、年長の従業員がデジタルに強いチームに一時的に入り込み、新興技術を実地で体験することが考えられる。反対に、若手のメンバーがよりシニアで経験豊富なチームにローテーションし、重要な組織内知を吸収することもできる。組織には、学習のために若手が参加するローテーション型のシャドー経営幹部チームや、若手で構成された理事会のような仕組みはあるだろうか。若手が年長の従業員と並んで働けるよう、徒弟制度を設けることはできるだろうか。こうした意図的な経験は相互理解を深め、スキルを豊かにし、世代間協働を当たり前のものにする。
  • Mentor Moments:特定のスキルやテーマについて、チームメンバーが短いメンタリングの機会を提供したり、求めたりできる、短時間で非公式な「Mentor Moments」を導入する。このアプローチは知恵の共有を民主化し、階層的なスティグマを取り除き、レベルや肩書き、年次にかかわらず、すべてのチームメンバー間で知識の流れを柔軟でアクセスしやすく、即時性のあるものにする。

たとえ組織にタレント・マーケットプレイスがなくとも、これらのメンターシップのアイデアは検討できる。導入によって、メンターシップは受け身の後付け──あるいはそもそも検討すらされないもの──から、組織内に浸透する年齢差別に対抗するための戦略的資産へと変わり得る。

リバースであれ従来型であれ、メンターシップは年齢のサイロを真に打ち壊し、経験の価値を積み上げていくことができる。

組織文化の織り目にメンターシップを意図的に織り込むことは、チームメンバーのあらゆる年齢層の間で、知恵が継続的かつ包摂的に共有され(そして更新され)続ける組織づくりにつながる。

forbes.com 原文

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