マーケティング

2026.02.27 09:43

ロイヤルティプログラムの飽和時代、顧客が本当に求めているものとは

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胸に手を当ててほしい。15%オフのウェルカムクーポン目当てにロイヤルティプログラムへ登録し、その直後に忘れてしまったことが何度あるだろうか。デビッド・ベッカムが語ったように、正直になろう。まさに今この瞬間も、使っていないアプリがスマホにいくつもあり、モバイルウォレットには会員証が並び、財布の中にさえ物理カードが残っているかもしれない。消費者も同じだ。そこで当然、疑問が浮かぶ。なぜなのか。ロイヤルティプログラム疲れは起きているのか。買い物客は会員制度に飽きたのか。

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さまざまな業界、地域、成熟度のロイヤルティプログラムに長年携わってきた経験から言えば、「疲れ」こそが本当の問題だとは確信していない。市場が混み合っているのは事実だ。多くのプログラムが似たり寄ったりに見えるのも事実だ。しかし本当の問いは、顧客がロイヤルティプログラムに疲れたかどうかではない。「質の低い」ロイヤルティプログラムに疲れたのではないか、という点である。本稿ではその理由を詳しく解説し、飽和した市場でロイヤルティを機能させるためのヒントをいくつか共有したい。

ロイヤルティプログラムはどこにでもあるが、ロイヤルティはそうではない

小売、旅行、ホスピタリティ、食料品など、いまやほぼすべての業界がロイヤルティを「必須機能」のように扱っている。これは朗報でもあり悪い知らせでもある。朗報なのは、よく設計されたロイヤルティプログラムは成長エンジンとして機能し、大きな増分収益をもたらし得るからだ。悪い知らせなのは、その結果として各セグメントが過飽和になり、毎週のように何十ものプログラムが立ち上がっている点にある。そこには戦略的計画というより、「競合がやっているなら自社も必要だ」という発想がある。

顧客もそれに応じて反応する。より正確に言えば、反応しない。登録して、ウェルカム特典をすぐ使い切り、二度と振り返らない。アプリを開くたび、会計のたび、コーヒーを頼むたびにオファーを浴びせられることに慣れてしまっている。彼らがうんざりしているのは画一性であり、ロイヤルティプログラムそのものではない。

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いま顧客は、より多くを求めている。より大きな価値、よりシンプルさ、より利便性、よりワクワク感。ロイヤルティプログラムが日々の生活を実際に底上げし、節約につながり、なおかつ楽しく、真の喜びの瞬間をもたらし、コミュニティ感や「大切にされている」という感覚を提供してほしいのだ。基準は動いた――静かに、しかし不可逆的に。

ロイヤルティのパラドックス:登録即離脱

もし顧客がロイヤルティそのものに本当に疲れているのなら、全体的に登録数が減っているはずだ。しかしそうはなっていない。人々は依然としてロイヤルティプログラムにチャンスを与えることに前向きだが、登録時に期待した価値やパーソナライズが得られなければ、離脱も早い。

何が離脱の引き金になるのか。例えば次のようなものだ。

• 貯めるのに時間がかかりすぎるポイント

• ありきたりで無関係、あるいは手が届かないと感じる特典

• 感情的な引力のない「貯めて使い切る」仕組み

• 価値が「いずれ提供する」と約束され続ける一方で、いまはほとんど得られない

行動の観点から言えば、これは疲労ではない。合理的な選択である。ロイヤルティとはプログラムではなく、価値の交換だ。その交換が一方的に感じられたとき、顧客は文句を言わない。ただ離脱するだけである。

ロイヤルティプログラムを本当に際立たせる

よくある戦略上の誤りは、ロイヤルティプログラムにおける「価値」について、企業側が考えるものと顧客側が考えるものの間に大きなギャップを放置することだ。事業KPIだけに集中するのではなく、顧客の目線で考え、自分なら何があればロイヤルティプログラムに関わり続けたいと思うかを本気で見極めてほしい。本当の価値、本当のインパクト、本当の分かりやすさを加える。私が言うのはこういうことだ。

広く届けるより、「自分ごと」にする設計を

際限のないカタログではなく、数は少なくても質の高い特典を。顧客の全員が同じものを価値あると感じるわけではないが、価値を求めている点は共通している。マーケターの75.3%がパーソナライゼーションは効果的だとしている。それなら特典においても最大限に活用すべきではないだろうか。「特典を選べる」オプション、贈れる特典、カスタマイズ可能なアイテムなどを用意することを検討したい。

支出だけでなく、行動に報いる

エンゲージメント、推奨、学習、参加。こうした行動は関係性を深め、購買力だけでなく意図を示す。

継続的に進化させる

ロイヤルティプログラムは「作って放置」ではない。顧客の期待は(当然ながら)変化し、適応しないプログラムは静かに陳腐化していく。当社の「Global Customer Loyalty Report 2025」は、この変化を裏づけている。ブランドはこれまで以上にロイヤルティへ投資しているが、最も成功しているブランドはポイントを超え、体験主導で柔軟な価値モデルへと移行している。

疲れは不可避ではない。不可避なのは陳腐化だ

では、ロイヤルティプログラム疲れは存在するのか。私は「ない」と主張したい。私たちが目にしているのは、「陳腐化」に対する疲れである。買い物客はロイヤルティプログラムを拒んでいるのではない。自分の時間や注意、期待を尊重しないプログラムを拒んでいるのだ。似たものだらけの海を突き抜ける機会は、いまも確かに残っている。ただしそれは、ロイヤルティを機械的な付け足しではなく、戦略的で顧客中心の関係性として再考する意思のあるブランドに限られる。

forbes.com 原文

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