今年は、オペレーションから経理まで、チームの全メンバーが「開発者のように考え、動き、日々のタスクをこなす」方法を学ぶべきだ。そう、開発者とはコードの魔法使い、パーカー姿でエナジードリンクをあおる人物、何か壊れたときに呼ぶIT担当者のことだ(開発者から開発者へ)。
新たなフロンティアの多くは、データと入力(インプット)、そして言うまでもなくAIのオーケストレーション(編成・統合)に依存している。私は、モデルの知能そのものではなくオーケストレーションこそが、今年の企業にとって最大のボトルネックであり最大の機会になると考えている。
私たちは昨年、AIツールを活用して新しいスピード感で運営し、考え、実行することで、コンサルティング会社をゼロから立ち上げた。初年度はスペシャリストを採用したが、今年はジェネラリストのみを採用する方針に切り替えた。
そして、こうした動きは私たちだけではない。AIに関する記事をいくつか読めば(あるいは、お気に入りのLLM(大規模言語モデル)にいくつか選んでもらえば)、言及されているイノベーターの多くが、元開発者、SaaSの創業者、生涯学習者、そして自ら手を動かすビルダーであり、自分で学ぶことをいとわない人たちだと分かるだろう。これは2026年の採用において、あらゆる領域で広がっているトレンドである。
変革における信頼の構築
この変革における最大のハードルは何か。それは、経験豊富なスペシャリストにジェネラリストのマインドセットを受け入れてもらうことである。
何時間もの研修や露出に頼るのではなく、リーダーはまず信頼と対話から始めるべきだ。カスタム開発の力によって社員の生活がどう変わり得るのか、という対話である。それは社内外の双方で、新たな能力を解き放つ。
AIの導入を成功させることは、本質的に人間中心のチェンジマネジメントの課題である。
SaaSから「Proof-As-A-Service」へ
私がSaaSエージェンシーを率いている立場なら、懸念を抱くだろう。競合がローンチするからではない。多くの企業が高額な仲介(中間業者)を排し、直接「源流」に行けるようになっているからだ。もちろん、そのためには思考を切り替えようとする適切な人材が必要だが。
平均的な大企業は90を超える別個のツールを管理しており、サブスクリプション費用は年15〜25%で増加している。多くの企業では、SaaSのサブスクリプションへの支出が、部門全体の人件費を上回ることすらある。
新しいリーダーシップのパラダイム
中核となる役割を担うのは、最高イノベーション責任者(CINO)や最高執行責任者(COO)かもしれない。彼らの仕事は、チームを「オーケストラの奏者」から「交響曲の指揮者」へと移行させることだ。同時に、社員にこれから訪れる未来を常に思い出させるべきである。課題は、自動化できる反復タスクに対する思考を一段引き上げることだ。
AIは著しく進化しており、私たちの創業初年度の中だけでも、開発、デザイン、自律的なワークフロー(自動化された業務プロセス)で大きな変化を目にしてきた。6カ月前には不可能だったことが、いまや多くの人間より80%も良い品質で実行されている。誇張ではない。AIは、熟練の専門家なら何時間もかかるタスクを、いまや自律的に数分で完了できる。そしてこの能力は7カ月ごとに倍増している。
課題
AIの実装は、決してプラグアンドプレイではない。私が組織全体で目にする最大の課題は3つある。セキュリティとデータプライバシーへの懸念、チェンジマネジメントと研修疲れ、そして新たな脆弱性を持ち込まずに複数のAIシステムをオーケストレーションする複雑さである。
ユーザーのメール、カレンダー、社内システムへのアクセスといった広範な権限をAIエージェントに与え、自律的に行動させると、設定ミスのある導入は現実的な負債となる。経営層は、何かが壊れるまでセキュリティ上の影響を過小評価しがちであり、あるいは社内のSOP(標準業務手順書)、リソース、ドキュメントをすべて洗い出すことの複雑さに直面して初めて気づくことが多い。
人間面も同様に難しい。経験豊富なスペシャリストがジェネラリストのマインドセットへの転換に抵抗するのは、能力が足りないからではなく、アイデンティティが専門性と結びついているからだ。その感情的な現実に向き合わないまま導入を急げば、表層的な実装と静かな反発を招きやすい。
技術面では、変化のスピードそのものが課題である。6カ月前に最先端だったツールがすでに置き換えられつつあり、チームには一度きりの展開ではなく、継続的に適応するための枠組みが必要になる。
だからこそ、オープンソースのフレームワークは注目に値する。チームを別のSaaS依存に閉じ込めるのではなく、組織が自社インフラ上でAIエージェントをセルフホスト(自社運用)できるプラットフォームが存在する。これによりデータの主権を保ち、ワークフローを直接管理できる。これは、知能を借りる(レンタルする)ことから所有することへの転換を意味し、AI導入を停滞させるセキュリティやベンダーロックインの懸念に正面から対処する。
「Both/And」の未来
イノベーターとして、私たちにはこれらの力を善のために使い、世界をより良い場所へ形づくる責任がある。人間が互いに時間を過ごし、物語や体験、意見、真実を共有できる世界である。私たちはアイデアのキュレーターとなり、解決策のビルダーとなる。単純作業を自動化することで、AIは人類にとって最も貴重な資源である「時間」を取り戻し、判断、共感、創造性に集中できるようにしてくれる。
私たちの多くは、単一の商品ではなく、相互に連結したオファーのポートフォリオを持つようになるだろう。未来は専門特化からジェネラリストの領域へと進化しており、最後のピースは選択の自由だと私は考えている。物語と人間性に動かされながら、私たちは誰と、なぜつながるのかを選べる。
私が信じたいのは、私たちが築いているのがこの「both/and」の未来だということだ。スピード、効率、卓越性をもって運営しながら、人間性を守れる未来である。歴史が示してきたように、イノベーションは進歩へと弧を描く。そして私たちは、そのカーブの正しい側にいる。



