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2026.02.26 16:27

AIモデル訓練という仕事の光と影──現場ワーカーが見た実態

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スー・ギロリー

LinkedInの求人をくまなく探せば、次のような募集を半ダースは目にするはずだ。「コンテンツレビュアー:AIコンテンツの明確さをレビュー。勤務時間は自由」

こうした職種にはさまざまなバリエーションがあるが、求人サイトを埋め尽くす勢いから読み取れることは1つ。AIモデルの学習は、れっきとしたビジネスだということだ。世界経済フォーラムの調査によると、市場で最も急成長しているスキルは「AIとビッグデータ」だという。

AIに対して当初はためらいがあった(私はライターであり、AIに自分の役割が置き換えられることを懸念してきた)ものの、データアノテーションとAIデータトレーニングに加わることにした。ここ数カ月、会社を渡り歩きながら取り組んできたので、その内側から見えた体験を共有したい。

まず、データアノテーション業務のポジティブな側面

執筆の仕事が停滞していた中で、こうしたデータアノテーションの案件を引き受ける時間が確保できた。案件の有無という条件はあるが、基本的には自分の都合に合わせ、やりたい分だけ働ける点が気に入っている。これまで関わったエージェンシーはいずれも毎週きちんと支払ってくれた。中にはボーナスを出すところもある。

報酬はプロジェクトの必要性によって大きく異なるが、最近は、数カ月前に見かけた時給15ドルの汎用求人の洪水よりも、特定分野の専門家向けの高単価な機会が増えているのを目にする。

AIワーカーのオンボーディングプロセス

自分に合っていると思う職種に応募すると、たいてい面接用リンクが届く……が、相手はAI採用担当だ。カメラに向かって話すのに、画面の向こうに人がいないというのは、なんとも奇妙である。面接質問の質はまちまちだ。良い質問もあれば、私の見立てでは、その仕事にしては技術寄りすぎるものもある。

採用に値すると判断されると、合格のメールが届く。

オンボーディングは、Slackへのアクセス、タイマー、システムへのログインなどが記されたメールが立て続けに届く形で進む。オンボーディング資料を読むことが求められ、ときには理解度を測るクイズを受ける。合格すればタスクにアクセスでき、仕事を開始できる。

データアノテーション業務の欠点

オンボーディングのプロセスは効率化されている場合もあるが、実際の仕事は混沌としていることがある。データアノテーション業務を検討しているなら、次の欠点を把握しておきたい。

1. AIトレーニングは競争が激しい市場だ

履歴書にデータアノテーションの経験を載せるようになってから、LinkedInでほぼ毎日のように求人のメールが届く。しかし、実際に何が起きているのかを理解しておくことが重要だ。MercorやMicro1のような企業は、新規採用に対して紹介料を支払う。金額は数百ドルに及ぶこともある。つまり、連絡してくるプロフェッショナルが名乗る「採用・紹介パートナー」とは、要するに、紹介リンクをクリックさせて自分が報酬を得たいという意味だ。同じ求人について、別の「紹介パートナー」から複数のメールが届くこともよくある。

これはワーカーの立場から見れば必ずしも悪いことではないが、同一の仕事について(文言が少しだけ異なる)複数の掲載が出回ることを意味する。結果として、同じ求人を何度もクリックしてしまい、仕事探しに時間を無駄にする。

2. AIエージェンシーは過剰採用する

私が関わったAIエージェンシーはいずれも、短期プロジェクトのために数百人を採用してきた。多くの場合、プロジェクトに着手する機会すら得られない。ピラニアのように先に入った人たちが仕事を食い尽くし、ほどなくプロジェクトがクローズしてしまうからだ。

Slackのチャンネルは混乱している。質問がすでに回答済みかどうか検索もせず、同じ質問を何百人もが投げる。不要なおしゃべりで場を埋め尽くし、仕事に必要な情報を探す人にとって見つけにくくなる。

数日でプロジェクトが終わることもある。私は、実際に報酬が発生する仕事よりもオンボーディングに費やす時間のほうが長いことが多く、これは本当に残念だ。

3. AIトレーニング案件は運用がほぼ成り立っていない

この領域で働くプロジェクトリードは称賛に値する。要求の厳しいクライアント、何を品質とみなすかのパラメーターが乏しい状況、そしてSlack上の絶え間ない雑談――これらに対応するのは悪夢のような仕事だろうと想像する。

ただ、時間とともに見えてきたのは、AIエージェンシーも賢くなってきているということだ。数カ月前は短いトレーニング資料だけで現場に放り込まれたが、今では、実作業に進む前にクイズの合格を求めるエージェンシーが増えている。賢明だが、欠陥もある。私は複数回、クイズに落ちて退出させられ、数週間後に「クイズに不備があったので復帰してほしい」というメールを受け取ったことがある。だが、その時点ではもう仕事がなかった。

4. AI案件では「音信不通」がよく起きる

理由の説明もないまま、プロジェクトから外されたことが何度もある。Slackをブロックされ、何が起きたのか尋ねる術もない。ここでは、ほんの少しの礼節が大きな違いを生むはずだ。これは新しい業界であり、私たちは皆学んでいるのだから、なぜもうそのプロジェクトで働けないのかを説明して、改善につなげさせるほうがよいのではないか。

5. AIプロジェクトは予告なく終わる

ワーカーがプロジェクトの期間を尋ねても、プロジェクトリードはいつも歯切れが悪い。結局のところ、仕事が完了して電源が落とされるまで、たいてい数日から数週間にすぎない。「一時停止しているだけだ」と言うリードもいるが、再開した例を私はまだ見ていない。

6. プロジェクトの指示が頻繁に変わる

これほど慌ただしいプロジェクトである以上、クライアントとエージェンシーは当初の要件と指示を詰める時間が十分に取れていないように見える。つまり、すでにプロジェクトの真っただ中にいる人たちが、突然、更新された指示に従うよう求められるのだ。

さらに AllBusinessより:

AIトレーニング業界には、なお大きな改善余地がある

確かに、これは新たなフロンティアであり、エージェンシーもワーカーもまだ学習の途上にある。AIエージェンシーには、私たちを単なる機械の歯車ではなく、労働者として扱うことを検討してほしい。数時間働かせた後、二度と来ない追加の仕事を待ちながら手持ち無沙汰でいろというより、複数のプロジェクトを用意してワーカーを満足させ(そして忠誠心を高め)、新しいプロジェクトのたびに数週間おきに新規採用者を訓練しなくても済むようにしたほうがよいのではないか。

データアノテーションの仕事は、AIエージェンシーが採用と仕事の割り振りの方法を再構築すれば、フルタイムの恒常的な機会へと発展し得る。そうなれば、従業員は職務へのコミットメントが高まり、私のように、ある機会から別の機会へと渡り歩かずに済む。

forbes.com 原文

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