資産運用

2026.02.26 15:26

いま投資すべきAI企業の条件とは

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2年前まで、AI企業はビジョンと印象的なデモを前面に押し出すだけで資金を調達できた。だが今日、その語り口はもはや通用しない。投資家は可能性への賭けから、実際のオペレーション上の価値を示す証拠の要求へと軸足を移した。

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この変化は、AIがついに生産性向上を生み始めたことを示唆する米国の経済データとも符合する。フィナンシャル・タイムズの記事で、スタンフォード大学デジタル・エコノミー・ラボのディレクターであるエリック・ブリニョルフソンは、雇用数が減る一方でGDPは堅調であることを指摘した。ブリニョルフソンは「このデカップリング(大幅に少ない労働投入で高い生産を維持すること)は、生産性成長の特徴である」と記している。

それに伴い、AI企業の評価と資金供給のあり方も再調整されている。このシフトを理解するため、筆者はオルデンブルク・キャピタル・パートナーズの創業パートナーであるパトリス・メニエと、多額のベンチャー資金を調達した財務計画・分析プラットフォームアバカムのCEO、フリオ・マルティネス以前にも取材した人物)に話を聞いた。両者の見解は、AIへの投資環境がいかに変容したか、そして生き残る企業とひっそりと消えていく企業を分けるものは何かを明らかにしている。

デモから依存へ

デューデリジェンスは、物語主導からよりオペレーション重視へと変わった。メニエによれば、彼のファームは「デモでどれほど印象的に見えるかではなく、AIが実際に本番環境でどう使われているか」を理解することに注力している。焦点は、顧客の実際の依存度と、特に価格が変わった場合でもプロダクトがどれだけ「粘着性」を持つかへと移った。

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メニエが追っている見落とされがちなシグナルの1つが、コスト圧力下での行動である。AI処理コストの増加を受けて企業が利用上限を導入したり値上げしたりしたとき、顧客の行動は実質的に変化するのか。顧客が直ちに利用を減らしたり離脱したりするなら、提示されている価値提案は見かけほど強くない。コスト上昇にもかかわらず使い続けるなら、そのAIはオペレーション上「粘着性」を獲得している。

これが重要なのは、多くのAI企業が根本的な問題を覆い隠すような目を引く成長指標を示しているからだ。マルティネスは、急成長を遂げながらも解約率も高い企業を指摘する。「数百億ドルの評価を受ける最も派手な名前の一部は、リテンションの基本を解決できていない。顧客に提供している価値の持続性には疑問符が付く」と彼は語る。

防衛力という問い

AIが別のモデルに置き換えられても混乱が限定的で済むなら、ブランドやUIの品質にかかわらず防衛力は弱い。「AIがコンプライアンス、決済、物流、あるいは意思決定システムに組み込まれると、置き換えはリスクが高くコストもかさむ。そこに真の防衛力が生まれる」とメニエは言う。

アバカムにとって、防衛力は2つの源泉から生まれる。AIネイティブであることは、同社が根本的により現代的なコア技術を持って市場に参入し、より少ないリソースでより多くを成し遂げられることを意味する。マルティネスは「半分のリソースで、より良いプロダクトを30%速く作ることが可能だ」と述べる。

2つ目はデータ基盤である。顧客は、重要なデータがすべて1カ所に集約され、常にクリーンであることを必要とする。マルティネスはこれを「単一の真実の源泉」と呼ぶ。筆者自身の会社でも明らかになったように、価値はデータの正規化とクレンジングにある。これがなければ、組織内のダイナミクスを特定できず、アバカムもクライアント組織の複数の人々が分析できる財務分析のための「単一の真実の源泉」を提供できない。

このデータ基盤は、裏付けのないデータにAIのブラックボックスを被せるだけの企業と比べたときの防衛力を生む。

資本はどこへ向かうのか

筆者が話をするPE企業の多くは、エンタープライズ向けAIに注目している。その中でメニエは、彼が「イネーブリング・テクノロジー」と呼ぶ領域に焦点を当てる。そこには、インフラ、データパイプライン、独自IP、コンプライアンス向けツールが含まれる。メニエによれば「これらの事業ははるかに目立たない一方で、いったん組み込まれると置き換えがはるかに難しい」。完全に組み込まれれば、長期契約、高いスイッチングコスト、規制による摩擦の恩恵を受ける。この組み合わせが持続的な価値を生み出す。

メニエの見立てでは、AIバブル(とりわけ消費者向けAI)について多くが語られているものの、「突然の崩壊は起きず、むしろ強いプレーヤーが生き残り、バリュエーションは徐々に圧縮され、資本はより選別的になっていくだろう。技術は健在だが、人々が支払ってもよいと考える金額が変わっている」とする。

マルティネスは、特定の垂直領域での過飽和を懸念する。「大きな意味を持つカスタマーサービスAI企業は、いったい何社あり得るのか。売上をはるかに先行する大きなバリュエーションを伴って、50社や60社の新しいカスタマーサービスAI企業があるのかもしれない。うち5社は巨大になれるかもしれないが、60社も?」

AIへの信念は依然として強い。とりわけAIインフラはそうだ。変わりつつあるのは、実証されていない物語に対して投資家がいくら支払う意思があるかである。期待は平準化し、バリュエーションは圧縮され、資本はより選別的になる。ドットコム・ブームと同様、技術は消えないが、あらゆるAIプロダクトがベンチャー並みの価格付けに値するという前提は薄れつつある。

「インフラの局面は、明白に見える前に高く見えるものだ」とメニエは言う。「誤りは、早すぎる段階で投資しないことではない。早期に投資する人が全員生き残ると想定することだ」。AIが消えるわけではないが、資本はどのAI企業を支援するかについて、はるかに選別的になっている。筆者の2026年に向けたAI予測で述べたように、AIの引き締めは起きるだろう。しかし崩壊ではない。

forbes.com 原文

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