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2026.03.04 13:30

AIは直木賞を選べるか:川村雄介の飛耳長目

現段階のAIは鉄人28号のレベルだが、やがて鉄腕アトムにまで進化するのであろうか。それは人間にとって朗報なのか凶報なのか。鉄腕アトムは家族愛、友情、そして恋愛感情までもつ。鉄腕アトムレベル以上の人型生成AIロボットが、人間との間に子孫を設けたり、不倫に走ったりすることがあるのだろうか。ここまでの疑問には答えの出しようがない。

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ただし、AIがすでに個々の人間の知識や分析力とそれに伴うスピードを凌駕していることは間違いない。難しい判断を求められる複雑な問いにも、やがて人間より適確に対応するだろう。現在の花形職業の担い手が、AIに仕事を奪われる、と危惧するのは当然だ。

では、人間にはどのような能力が残るのか。それは、「答えのない問い」に答えを出すことだと思う。すべてを論破できるAIと絶対に論破されないAIが対決したとする。どちらも勝たないし負けない。だが、判定はしなければならない局面だとする。ここで登場するのが人間なのではないか。典型的な分野が経営判断だ。AIをフルに活用しながらも、最後に結論を出すのは経営者という生身の人間である。人間が判断するためにAIがある。AIが判断するために人間が存在するのではない。

元文学青年グループの末席を汚す私が尋ねた。「なら、文学賞は鉄腕アトムに審査させるってことかね」。沈黙を守っていた曹洞宗の住職が応えた。「面白いアイデアだが、俺たちは誰も賛成しないだろう。修証義も上手に唱えれば良いってもんじゃない」。一同頷き、一斉に自分たちのAIアプリに、修証義についてのプロンプトを入力し始めた。

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川村雄介◎一般社団法人グローカル政策研究所代表理事、公益財団法人日本証券経済研究所研究顧問。1953年、神奈川県生まれ。長崎大学経済学部教授、大和総研副理事長を経て、現職。

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川村雄介の飛耳長目

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