経営・戦略

2026.02.26 10:26

人材投資がインパクトを生む──成果拡大の条件とは

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人材不足、燃え尽き、期待の高まりが特徴となる時代にあって、ビジネスリーダーにとって無視しがたい真実が一段と明確になってきた。成果を拡大するには、その成果を生み出す人々をまず安定させなければならない。

それでも多くの組織は、労働力への投資を戦略的なレバーではなく、場当たり的な費用として扱っている。予算が厳しくなれば福利厚生は削られる。医療制度は利用しにくい。感情労働を最も求められる役割ほど、支援が薄いことが少なくない。実際、2023年の調査では、不況を見越して、学費ローン返済支援やウェルネス手当といった金銭的ベネフィットを削減している人事責任者が25%に上った。2025年までに、従業員1人当たりの企業負担によるウェルネス関連給付は、2023年比でさらに20%減少した。

その事業上の帰結は見慣れたものだ。離職率の上昇、パフォーマンスのばらつき、信頼の低下。人に直接サービスを提供する組織では、影響はさらに深刻になる。

メリーランド州を拠点に、障害のある人々を支援し、州内でインクルーシブなコミュニティづくりを後押しする非営利組織Felloでは、これらのベネフィットへの資金を維持することが不可欠であると実感してきた。従業員が意味のある実務的な形で支えられると、仕事に集中できる。集中できれば、支援を受ける人々が恩恵を受ける。

労働力への投資は、インパクトと並走するものではない。それを可能にするものだ。

この力学は業界を超えて見て取れる。最前線の医療従事者、小売の店舗スタッフ、カスタマーサービスのプロフェッショナルを考えてみたい。いずれも、プレッシャーのかかる状況で、現場への臨場、判断、感情のコントロールが求められる役割である。こうした従業員が手薄になり、不確実なシフト、利用しにくい医療、家計の不安定さに振り回されると、パフォーマンスは損なわれる。ミスは増え、エンゲージメントは低下し、顧客は即座にそれを感じ取る。

調査によると、世界の最前線で働く従業員の58%がストレス水準は上がるか、少なくとも変わらないと見込んでいる。医療現場では、最大93%の労働者が強いストレスを経験していると報告している。

同様のことは、障害福祉サービスにも当てはまる。そこではDirect Support Professionals(DSP)が、障害のある人々に日々の実地支援を提供している。DSPは、障害のある人が自立して暮らし、地域社会に参加し、日常生活を営むための支援を担う。仕事には技能と訓練、そして深い関係性に基づく信頼が必要だ。にもかかわらず、この仕事は何十年もの間、過小評価されてきた。低賃金、資源不足、そして代替可能なものとして扱われてきたのである。

高度な技能を持つプロフェッショナルが、十分な支援のないまま不可欠な仕事を期待されると、システムがそのコストを吸収する。離職は増え、関係性は分断され、一貫性は損なわれる。そして、安定して信頼できる支援に最も頼っている人々が、最初に、そして最も痛切に影響を受ける。

このレベルの不安定さは、労働力そのものにも負担を与える。例えば医療現場では、労働者の76%が疲弊と燃え尽きを報告しており、75%が圧倒されていると感じている。こうした長期的な負荷は、ウェルビーイングを損なうだけではない。集中力や意思決定能力、そして労働力の長期的な持続可能性をも低下させる。

これは単なる労働力の問題ではない。ビジネスの問題であり、社会の問題でもある。

DSPのような役割を一時的な仕事ではなく長期のキャリアとして捉える組織は、異なる結果を得ている。従業員が安定性、成長機会、そして現実の生活ニーズに対応するベネフィットにアクセスできると、定着率は向上する。時間が経つにつれ、定着はシグナルとなる。人々が支えられ、価値を認められ、将来を描けていることのサインである。

Felloでは、従業員を一人の人間として支えることを目的に設計したTotal Rewardsのアプローチを通じた意図的な労働力投資が、定着率と密接に結び付いてきた。競争力のある報酬と専門能力開発を、摩擦を増やすのではなく取り除くベネフィットと組み合わせている。

今年、FelloはTotal Rewardsへの投資を継続した。その結果、今四半期の定着率は92%。これは、メリーランド州の障害福祉サービス部門全体で空席率が26%に及ぶというデータや、40〜50%に達する全国的な離職率と鮮明な対照をなす。

一例が、Health Connection(ヘルス・コネクション)である。これは、院内に設置されたプライマリケアおよび救急診療のプログラムで、当日予約、ケアの連携、障壁の低減により、従業員とその家族が医療にアクセスしやすくする。重要なのは、正社員、パートタイム、新規採用者、さらにはFelloの医療保険に加入していない人を含め、すべての従業員が利用できる点だ。

医療アクセスは、労働力の安定性における「見えにくい要因」であることが多い。ケアにアクセスしにくい、あるいは費用負担が大きいと、ストレスは職場に持ち込まれ、時間とともに集中力をむしばむ。医療を簡素化することで、従業員は制度の煩雑さに費やす時間を減らし、役割に集中する時間を増やせる。

その「現場にいられること」が重要なのだ。

サービスを基盤とする組織では、より強い関係性と一貫した本人中心の支援を可能にする。医療、小売、ホスピタリティなど顧客接点のある業界では、より良いサービス、ミスの減少、そして信頼の強化につながる。セクターを超えてパターンは同じである。組織が労働力にどう投資するかが、提供する成果を直接形づくる。

適切なリーダーシップのコミットメントと資源があれば、Health Connectionのように医療アクセスを改善するモデルは、業界を超えて適用可能である。ただし、より大きな教訓は単一のプログラムにあるのではない。労働力への投資は「特典」や「見栄え」のためではなく、不可欠な仕事を高い質で遂行し、長期にわたり持続させる条件を整えることだと認識することにある。

従業員が十分に支えられているとき、彼らは最も重要なことに集中する自由を得る。

その集中こそが、真のインパクトが始まる場所である。

forbes.com 原文

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