経営・戦略

2026.02.26 09:33

AI、気候変動、人手不足──2026年のリスク管理で押さえるべき6項目

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リスク環境は、多くの組織が追随できるスピードを上回って変化している。新興技術、人手不足、ますます予測不能な気象パターンが、企業が日々直面するエクスポージャー(損失の潜在要因)を塗り替えている。だが、最も高額な損失の多くは、定期的な保全の不備、検証されていない前提、計画上の抜けといった見過ごされがちな基本要素に起因しており、その多くは後になってから明らかになる。

2026年、経営者は短期的なリスク認識と長期的なレジリエンスを強化すべきである。来年に向けた備えを高めるため、注力すべき6つの領域を紹介する。

1. AIはガードレールを設けて使う

人工知能(AI)は、業務運営の中で急速に進化している。各社はAI搭載のチャットツール、品質管理システム、スケジューリングプラットフォーム、データ処理機能などを、十分な監督がないまま活用している場合が多い。面倒な作業を効率化できる一方で、虚偽情報によってデータを汚染し、不適切な結果をもたらす可能性もある。

課題は、AIの正確性と信頼性が、現実の高いリスクを伴う環境でまだ十分に検証されていない点にある。AIがどこで有効に機能し、どこで破綻するのかを理解するには、時間も保険損害の経験値も足りない。AIは活用しても安全だと見なされるかもしれないが、検証を前提に使用したい。

• 経営判断に影響するAI生成アウトプットは必ず検証する。とりわけ、偏りや不正確さが生じうるアウトプットは慎重に確認する。

• 重要なプロセスでは、人間を必ず介在させる。

• データが蓄積されるにつれて、AIツールを継続的にテストし、改善する。

AIは効率性を高めるが、実質的な人間の監督なしで稼働させる段階にはまだない。2026年にAIをワークフローへ統合するなら、慎重に進めるべきである。

2. 新たな予期せぬ地域でも気候事象へのレジリエンスを構築する

事業運営をどこで行うかは、組織の成功と存続にとって、かつてないほど重要になっている。今日の気候は予測不能である。深刻な気象事象は、歴史的に備えがなかった地域でも発生している。

2024年には、ノースカロライナ州で前例のない降雨による壊滅的な洪水が起きた。一方、テキサス州は2021年に破局的な寒波を経験している。かつては低リスクと見なされていたカリフォルニア州のコミュニティも、いまや定期的な山火事の脅威に直面している。

多くの企業はいまだに、どのような潜在的エクスポージャーがあるかについて古い前提に頼っている。2026年には、極端な気象事象は起こり得るだけでなく、実際に起こるものだと想定すべきである。

それに合わせて備えることだ。洪水対策、断熱、温度監視、山火事対策、植生管理を見直し、バックアップ電源、緊急対応、事業継続計画も再点検する。

気候事象は不意に起こり得る。気象パターンは変化し、早期に適応する者ほど混乱ははるかに少なくなる。

3. リチウムイオン電池の安全性を中核的なオペレーショナルリスクとして扱う

組織は、どのようにツールの電源を確保しているだろうか。リチウムイオン電池は遍在している。小型の手工具から大型の重機フリートまで、あらゆるものを動かしている。電池が劣化するにつれ、熱暴走、過熱、火災のリスクは高まる。さらに問題を複雑にしているのが、リチウムイオン電池メーカーの中には、品質管理基準が一貫しない製品を輸出しているところがあるという事実だ。リチウムイオン電池で動く機器を使っているなら、施設と事業全体をリスクにさらしている可能性がある。

多くの企業は、電池の保管を軽く扱いがちだ。劣化した電池をクローゼットや倉庫、バックヤードに積み上げるような管理である。だが、不適切な保管の結果は深刻になり得る。2026年に向けて組織の電池安全を確保するために、次の点を実施したい。

• 安全な充電・保管について、全米防火協会(NFPA)などの機関が示すガイドラインに従う。

• 電池のリサイクル計画を導入し、損傷した電池や劣化した電池を新しい在庫から適切に分別する。

• 電池故障の兆候を見分けられるよう、従業員に教育する。

• こうした電池の充電にサードパーティ製充電器は使用せず、電池に付属していた充電器のみを使用する。

電池火災は防げる。電池管理を、後回しではなくリスク低減の要として位置づけるべきである。適切な廃棄といった基本的な措置が、組織を破局から遠ざけることもある。

4. 人手不足で基本的なリスク管理を揺るがせない

近年の重大な損失の一部は、基本の軽視から生じている。その大きな要因の1つが人員不足である。かつて5〜6人いたメンテナンスチームが、いまは2人というケースもある。温度の監視、施設の巡回、機器の試験を行う人数が減ることで、小さな問題が大きな損失へと発展し得る。

2026年にこうした落とし穴を避けるために、保全および施設監督の人員水準を見直し、可能なところでは温度・水の監視を自動化し、点検・試験・メンテナンスのスケジュールを優先することだ。

従業員が十分な知識を持ち、どのような課題にも対応できる装備を備えていることを確認したい。どんなリスクも小さいと決めつけてはならない。

5. 自動運転車の未知に備える

自動運転車、あるいは自動化システムを活用する車両に依存しているだろうか。新たな利便性をもたらす一方で、リスクを生む変数も提示する。

天候、視界、道路状況の変化はセンサーや車載システムを妨げ、自動運転車の性能に影響を与え得る。また、普及が進むほど損失環境は変化し、継続的に注視する必要がある。自動化されたフリートや機器を活用するなら、次を実践したい。

• メーカーのガイダンスを常に最新化して把握する。

• シナリオプランニングを行い、システム障害時のアクションプランを策定する。

• 自律システムの能力と限界を従業員が理解していることを確実にする。

自動化車両は使いやすさを約束するが、業務を混乱させ、賠償責任のエクスポージャーを増大させ、最終的には長期的なレジリエンスを損ない得る。

6. リスク領域のパートナーシップを強化する

年次の保険更新は、リスク低減に取り組む絶好の機会である。今日のリスク環境では、訓練を受けていない目には見えにくい脆弱性の特定を支援できる、助言型のパートナー、ブローカー、保険会社が求められる。

効果的なリスクコントロールには、潜在損失につながる要因を、破局的事象へと拡大する前に特定できる専門家との協働が必要である。2026年は、自社の運営に合わせた専門知見、ロスコントロールのリソース、ガイダンスを提供できる相手とのパートナーシップを優先したい。

来年に向けた備え

危機の可能性を高める条件を理解することは、リスク管理の基盤である。適切に準備すれば、急速に変化する世界の中でレジリエンスを高め、より大きな確信を持って事業を運営できる。

forbes.com 原文

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