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2026.02.26 09:06

ディープテック投資の転換点:AI・宇宙・コンピュートで真に有望な領域とは

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2020年代前半の大半、資本はほとんど宗教的ともいえる確信を伴ってディープテックに流れ込んだ。人工知能、宇宙、計算基盤(コンピューティング・インフラ)は、必然的に勝者になる分野として扱われていた。前提は単純だった。規模を拡大しさえすれば価値が解き放たれる、と。だが2026年、その前提はより規律ある現実へと置き換えられている。

ベンチャー投資家として、私は日々、米国、欧州、中東、アジアの起業家、機関投資家、企業、政策担当者と話している。そこで一貫して耳にするのは、際限のない興奮ではない。むしろ、冷静さが増しているという感覚である。

焦点は「作れるか?」から「持続可能な形でスケールできるか?」へと移った。これは減速ではなく、成熟だ。私たちは現実主義の局面に入りつつある。そしてそれは良いことでもある。この環境を進む投資家と起業家にとって、次の10年を定義するのは見世物ではなく、産業レベルの実行力である。

AI:大きいことが「より良い」を意味しなくなるとき

AIの進歩が並外れていることに変わりはないが、スケールのためのスケールの時代は収穫逓減に直面している。GPT-4は前例のない能力を示したが、そうしたモデルの訓練コストは1億ドル超(有料記事)とされ、ROIのハードルを大きく引き上げた。さらに、環境への影響はもはや脚注ではない。大規模AIモデルの訓練に伴うカーボンフットプリントは、CO2換算で数十万ポンドと推定されている。

技術的能力とビジネス価値のギャップこそ、投資家がいま最も重く見なければならない要因である。次のような傾向が見て取れる。

ROIのギャップ:マッキンゼーの2025年版「State of AI」レポートによれば、組織の88%がAIを定常的に利用している一方で、「高い成果を上げる」企業に該当するのは6%にとどまり、EBITへの影響が5%以上とされている。

コスト対効果:多くの企業は「十分に良い」性能で事足りると気づき始めており、わずかな改善のために計算コストが3〜5倍に膨らむことは、正当化しにくくなっている。

投資家にとって、いま有望な機会はモデルサイズ競争ではなく、基盤となるインフラにある。これには、AIアクセラレーターのような専用ハードウェアや、明確なガバナンスのもとで独自データを活用するソフトウェアシステムが含まれる。現実主義に根差した投資アプローチは、信頼性、経済合理性、スケーラビリティを成功の中核指標として位置づける。

宇宙:ビジョンから事業成立性へ

宇宙セクターは、夢想家たちの遊び場から、プロフェッショナル化された産業へと移行した。ただし投資の焦点は、数十年単位の月面居住地よりも、短期的な収益可能性を持つ領域へと軸足を移している。

市場は現在、3つの主要因によって特徴づけられている。

1. 劇的なコスト低下:SpaceXのFalcon 9は、低軌道(LEO)への打ち上げコストを1キログラムあたり約2720ドルまで引き下げた。これは10年前に一般的だった2万ドル/kgの水準のほんの一部にすぎない。

2. 打ち上げ頻度:世界の軌道投入打ち上げは2024年に過去最高の258回に達し、2023年の212回から増加した。産業が高い工業的テンポで稼働していることを示している。

3. 軌道上の密度:2025年初頭時点で、軌道上には約1万5000基の衛星が存在し、2030年までに10万基に増える可能性が示されている。

成立する宇宙投資を考えるなら、技術が既存の地上需要と交わる地点を見極めたい。具体的には、軌道上サービスのための宇宙ロボティクス、気候・安全保障向けの地球観測、そしてNASAのアルテミス計画のような既存の政府プログラムを支える地球・月圏(シスルナ)インフラが挙げられる。

コンピュート:知能の物理的限界

AIの成長は電力網に前例のない圧力をかけ、「未来のエネルギー」をニッチな関心事から、計算負荷の高い産業にとっての中核要件へと変えた。

エネルギー需要:データセンターの電力消費は2倍以上に増加し、2030年までに約945TWhに達すると見込まれている。これは日本の年間総消費量に相当する。

電力網の制約:データセンターは2030年までに、世界の総電力消費の最大12%を占める可能性があり、既存の電力網はこの急増に十分備えられていない。

物理的・資源的制約を、後付けではなく中核のエンジニアリング課題として扱うシステムは、投資機会を評価するうえで投資家が重視すべき要素である。選択肢としては、強靭性と自律性(マイクログリッドなど)を重視する技術や、極限の効率(電力使用を削減し得る液体冷却システムなど)を追求する技術がある。

今後10年にとっての意味

いまはディープテックが成熟する局面である。次の世代の市場リーダーとなるのは、理想化されたデモではなく現実の条件に合わせて構築する者だ。いま成功を手にするのは、ビジョナリーな発想と、産業レベルの実行という規律を両立させるビルダーである。Beyond Earth Venturesでも同じ基準――見世物より信頼性、誇張より経済合理性――を用い、責任ある形で未来を定義する起業家を見極めている。

ここで提供する情報は、投資、税務、または金融に関する助言ではない。自身の状況に関する助言については、資格を有する専門家に相談すべきである。

forbes.com 原文

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