経営・戦略

2026.02.26 08:56

なぜ「成長戦略」だけでは企業はスケールできないのか

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誰もが当然、それぞれの組織の成長を望んでいる。これは常に議論されるテーマだが、実現しないことも少なくない。

多くの企業は野心的な成長目標を掲げ、有望な市場を見定め、勢いを加速させるための取り組みに多額の投資すら行う。それでも、機会を一貫した成果へと転換できずに苦戦する企業は多い。なぜか。

グローバル企業と仕事をしてきた豊富な経験から言えば、根本原因が戦略の欠如であることはまれだ。本当の問題は、成長のオペレーティングモデル(戦略と実行を日々つなぐ実務的な仕組み)が存在しないことにある。

エンドツーエンドのジャーニーは誰が担うのか?

経営陣は、成長がどこから生まれるべきかを見極めることには長けていることが多い。新たなセグメント、地域、製品、あるいはチャネルだ。しかし戦略が定義された後、実行をめぐる規律が欠けがちになる。責任が分断される傾向があるのだ。マーケティングは認知を担い、営業は売上を担い、プロダクトはイノベーションを管理し、オペレーションは効率を担う。各機能はそれぞれのサイロの中ではうまく機能しても、システム全体としては期待を下回る。

スケーラブルな成長には、足並みをそろえる会議やダッシュボード以上のものが必要だ。市場のシグナルから売上の実現に至るまで、エンドツーエンドのジャーニーを明確に「誰が」担うのかが不可欠である。そのオーナーシップがなければ、どれほど優れた戦略でも、現場の現実の中で生き残るのは難しい。

成長は部門ではなく「システム」である

私が目にする最も一般的な誤解の1つは、成長が単一の機能の中に存在するという考え方だ。実際には、成長は複数チーム、インセンティブ、時間軸の交差点に位置している。

チームが共通の成果ではなく、局所的な成功指標の最適化に走ると、実行は遅くなる。マーケティングは量を優先し、営業は即効性を好み、プロダクトは長期のイノベーションを重んじるかもしれない。これらの優先事項はいずれも間違いではない。しかし統一的なオペレーティングモデルがなければ、それらは相乗するのではなく競合してしまう。

うまくスケールする組織は、成長を、定義されたインプット、引き継ぎ、フィードバックループを備えたシステムとして扱う。この明確さがあることで、チームはより少ないリソースで、摩擦を大幅に抑えながら、より速く動ける。

データが意思決定を駆動しなければならない

多くの企業はデータが不足しているのではない。意思決定に耐えうる洞察が不足しているのだ。ダッシュボードはしばしば「何が起きたか」を説明するが、「次に何が起きるべきか」を示唆できない。高い成果を出す成長組織は、データを使って徹底的に優先順位を付ける。どのセグメントに注力すべきか、どこで実行が破綻しているのか、どの前提がもはや成り立たないのか。

グローバルなスピードが増し、市場がより混み合い、断片化するにつれ、この俊敏性と決断力は決定的に重要になる。成長とは、単にチャネルや実験を増やすことではない。実行と機会が一致する場所に労力を集中させることだ。データの真の価値は可視化ではなく、集中にある。

AIは人間の判断に取って代わらない

AIは成長ソリューションとして位置づけられることが増えているが、多くの組織は基礎的な実行のギャップを埋める前にAIを導入してしまう。目標、指標、オーナーシップが明確でなければ、AIは混乱を加速させるだけだ。

戦略的かつ慎重に使えば、AIは分析、パターン認識、優先順位付けにおける摩擦を取り除く。フィードバックループを短縮し、人間が見落とし得る洞察を浮かび上がらせる。誤って使えば、すでに破綻しているプロセスに複雑性を上乗せする。

AIから意味あるインパクトを得ている組織は、まず構造から着手する。成功とは何かを定義し、人間の判断が最も重要となる領域と、自動化がレバレッジを生む領域を明確にする。その文脈において、AIはリーダーシップや戦略の代替ではなく、実行を増幅する存在となる。

実行の規律は「イノベーション劇場」に勝る

イノベーションは不可欠だが、しばしば進歩と取り違えられる。多くの企業は、パイロット、概念実証、そしてオペレーティングシステムに組み込まれない取り組みに多額の投資を行う。

スケールする組織と停滞する組織の違いは、実行の規律にある。試行は、チームの働き方、優先順位の変え方、リソース配分の仕方へと直接つながらなければならない。学びが行動を変えないなら、それは複利にならない。

スケールする成長システムは、学びを吸収し、素早く適応し、時間の経過とともにコンバージョン効率を高めるよう設計されている。単に活動を生み出すためのものではない。

持続する仕組みが築かれたとき、成長は複利で積み上がる

とりわけ複雑なエンタープライズ環境では、成長が一夜にして起きることはめったにない。長い販売サイクル、複数のステークホルダー、規制上の制約は、忍耐と一貫性を求める。

最も成功している組織は、次の戦術を追いかけることに注力しない。四半期ごとにシステムのパフォーマンスをどう改善するかに集中する。引き継ぎを最適化し、優先順位付けを研ぎ澄まし、学習の速度を高める。時間とともに、こうした改善が積み重なり、耐久性のある成長へとつながる。

真にレジリエントになるために

スケーラブルな成長とは、創造性と構造、人間と機械のどちらかを選ぶことではない。戦略が実行へと変換され、データが集中を促し、テクノロジーが人間の判断を強化するシステムを構築することだ。

成長を、取り組みの寄せ集めではなくオペレーティングモデルとして扱えば、それはレジリエントになる。そして最終的にスケールを駆動するのはスピードではなく、レジリエンスである。

forbes.com 原文

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