ナディーン・カッツ博士は数え切れないほどの会議に出席している。長引く会議の場合には、食べ物をオーダーしたり部屋を変える必要もある。メディカルセンターの副所長を務めていた時に、カッツは会議をもっと効率的に進めるにはどうすればいいかを考え出し、それを医師会に提案した。
事前の準備が最も重要だとカッツは言う。参加者たちに重要なテーマを伝えておくだけでなく、会議室の場所や室内の温度、飲み物の準備なども大切だ。
また、細かなルールを定めておくことも必要だ。遅れてくる参加者がいる時にはどうするか? 必要な課題をこなしてこなかったメンバーがいた場合は? 自分勝手な方向に話をもっていく人が出てきた場合はどうするか? そういったケースにあらかじめルールを決めて対処すれば、以前より効率的に会議を運営できる。
カッツ博士が提案する、会議運営のコツを以下にまとめてみた。
1.最大限の準備をする
最大限の注意を払いながら議題を前もって準備すること。それだけではなくミーティングに使う部屋の冷暖房や照明、飲み物に至るまで入念にチェックし準備を進めることが大切だ。
2.重要なポイントは簡潔にまとめておく
取り扱いに注意が必要な情報が多く飛び交うミーティングの場合は、リーダー役を務める人が事前に資料を読み込み、ポイントとなる点を要約して参加者に伝える。
3.話を関係ない方向にもっていこうとする人を抑える
議題を無理やり変えようとするメンバーがいたらどうすればいいのか? カッツは会議のリーダーにこう言うようアドバイスする。「重要な提案をありがとうございます。極めて重要な案件だと思います。他に予定されている議題を検討し終わった後に、この提案に取り掛かっていいかについて運営委員たちと検討したいと思います」
4.長々としゃべる人を止める
参加者の誰かが長々と話し始めて止まらなくなったらどうすればいいか? 「その人が息継ぎをするタイミングを見計らって割り込むことだ」とカッツはアドバイスする。ポイントとなる点を要約してみせ、話がきちんと伝わっていることを示す。それからおもむろにこう告げよう。
「とても重要な点を提示していただきました。この点について議論を続けるか、次のミーティングのトップで扱う項目にするかをみんなで検討したいと思います」。みんなで検討するということにすれば、リーダーが偉そうに遮ったという印象を与えずにすむ。
5.参加者の激務をねぎらう
もしその会議が激務を伴ったプロジェクトの総括を目的とするものだったら、会議のリーダーは参加者たちに何か感謝を示して報いる方法を考えよう。例えばこんなことだ。経営陣の誰かにミーティングに出てもらいメンバーたちに感謝の言葉をかけてもらう。あるいは感謝の気持ちを表すちょっとしたもの、例えばメンバーたちが共有できるスローガンやジョークなどをプリントしたマグカップなどを贈るのはどうだろう。